グラスの海

酔えば琥珀(コハク)の その酒に
あきらめきれぬ 夢がある
追ってはぐれて 挫折(つまず)いた
消えない過去(むかし)の 傷もある

生きてきた この道程(みち)に
少しも悔(く)いは ないけれど…
涙がこころを かすめる夜は
グラスの海に 故郷(こきょう)が見える

氷ゆらせば その向こう
故里(ふるさと)行きの 船がでる
たどる潮路の 彼方には
やさしく迎える 港町(まち)がある

年老いた 父と母
達者でいれば いいけれど…
汽笛がこころを 震わす夜は
男は何故か 童心(こども)にかえる

人生の折り返し
大志(のぞみ)は今も 燃えるけど…
涙がこころを かすめる夜は
グラスの海に 故郷(こきょう)が見える
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