吹きこぼれて消えた火がなんだか僕らみたいだな。

KANA-BOON
吹きこぼれて消えた火がなんだか僕らみたいだな。
また会う日を楽しみに。そんな花言葉を持つ『ネリネ』をご存知ですか? この花は秋~冬に咲き、花へ日が当たると宝石のようにキラキラと輝くことから、ダイアモンドリリーとも呼ばれているんです。さて、今日のうたコラムではその『ネリネ』をタイトルに掲げた“KANA-BOON”のニューアルバムから「湯気」という新曲をご紹介いたします。 寒くなったな そろそろ 晩御飯は何にしよう きっと夜は冷えるから あったかいものにしよう たまには鍋でも 野菜切ってるビートに 合わせて歌うメロディー パッパッタララ なにそれと笑った君の袖まくり 覗いたまな板 細い指に巻かれた絆創膏が愛しいな 「湯気」/KANA-BOON 今回のアルバムには、冬をイメージした楽曲を含む全5曲が収録されており、この曲からはまさに冬の恋人同士の姿が見えてきますね。もしかしたら冒頭は<僕>と<君>の会話やLINEなのかもしれません。「寒くなったな~そろそろ」「晩御飯は何にしよう?」「きっと夜は冷えるから…」「あったかいものにしよう!」「たまには鍋でも!」と。 そして夜は同じ部屋で、晩御飯です。野菜を切るビートに合わせて<僕>が歌うメロディーは<パッパッタララ>と少しリズムが不規則。きっと<君>は、まだ慣れない料理で<細い指に>傷を作りながらも、懸命に<鍋>の用意をしているのでしょう。その<君の袖まくり>も<絆創膏>も愛しくて仕方ない様子で<僕>は<まな板>を覗くのです。 湯気の向こうで君が笑えば また光る 明かり灯る 暗い夜照らす月 「苦手なものも残さず食べて」 また君が少し睨む すぐに話を逸らすよ 「湯気」/KANA-BOON やがて、完成した<鍋>を囲みながら、美味しい時間を過ごす二人。仕事で嫌なことがあっても、月のない暗い夜だったとしても、寒い冬でも、湯気の向こうの<君>という明かりがいつだって“今”を照らし、温めてくれます。「苦手なものも残さず食べて」というお説教から話を逸らしながらも<僕>は愛情と幸せを噛み締めていたことでしょう。 寒くなったな そろそろ 一袋のビニールを片手に帰る 宇宙のような部屋に彷徨う ただいま 「湯気」/KANA-BOON しかし、2番では一転…。1番と同じ<寒くなったな そろそろ>という呟きは、次の言葉に続くことなく消えてゆきます。食材は一人分で十分なので<一袋のビニールを片手に>帰ります。一人きりの<宇宙のような部屋>に「おかえり」の返ってこない<ただいま>をこぼします。つまり、もう<君>はいません。1番は幸せの“回想”だったのです。 湯気の向こうで笑う君はもう 蜃気楼 幻だろう わかってはいるけれど 悩みを聞いてよ 涙を拭いてよ まだ誰も ほんとのとこ わかってはくれないんだ 吹きこぼれて消えた火がなんだか僕らみたいだな 「湯気」/KANA-BOON それでも<湯気の向こうで笑う君>をまだ<蜃気楼>で思い浮かべてしまう様子が苦しいですよね…。<君>という明かりが消えたことで、日々には<悩み>も<涙>も増えた。だけど、世界でただ一人<ほんとのとこ>をわかってくれていた<君>には二度と会えない。これからを一人で乗り切っていかなければならない孤独と、これまでを忘れられない孤独が重なり、いっそう強い切なさになって伝わってきます。 二人は愛し合って、愛しすぎて<吹きこぼれて>終焉を迎えてしまったのでしょうか。おそらく、憎み合っての別れではなかったのでしょう。そして今は、思い出だけが<湯気の向こうで笑う君>の幻に照らされて『ネリネ』の花のようにキラキラと輝いている…。まだまだ、この恋を忘れることは難しそうです。 失恋して心が冷え切ってしまっているというあなた。是非、KANA-BOON「湯気」の景色に、想いを重ねながら聴いてみてください。 ◆紹介曲「 湯気 」 作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪 ◆ニューアルバム『ネリネ』 2018年12月19日発売 初回生産限定盤 KSCL-3127~3128 ¥2,500+税 通常盤 KSCL-3129 ¥1,500+税 <収録曲> 1. ネリネ 2. アフターワード 3. 春を待って 4. 湯気 5. ペンギン
























