この曲はきっとこれからもずっと我々にとって大事な一曲である。

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この曲はきっとこれからもずっと我々にとって大事な一曲である。
名古屋の4ピースバンド“postman”が、2020年7月1日に1st Full Album『HOPEFUL APPLE』をリリースしました。今作には、1st Mini Album、2nd Mini Album、会場限定シングル迷信.ep からの楽曲も含む、ここまでのベストアルバム的なフルボリュームの全13曲が収録されております。是非、その歌詞もじっくりとご堪能くださいませ…! さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放ったpostmanのボーカル・寺本颯輝によるスペシャルエッセイを3回連続でお届け!今回は 第1弾 に続く、第2弾です。綴っていただいたのは、バンド“postman”の誕生のお話の続き。高校時代にバンドを組んだ彼らはその後、プロになってゆくために、どのような選択をしたのか。そこで出会った大切なひと、生まれた大切な曲とは…? その軌跡を明かしていただきました…! ~歌詞エッセイ第2弾~ どうもpostmanのボーカル&ギター、寺本颯輝です。前回は文法間違い前身バンド「postmans」を結成した所まで話しましたが、遂にここで“あの方”の登場。第二話、果たして「s」を取ることは出来るのか!? 高校一年の7月。前任ドラマー“たまちゃん”を含めた四人はオリジナル曲を数曲携え、遂にライブハウスでの初ライブを果たす。緊張と興奮のあまり、ライブ自体の記憶はあまりないが、今でも鮮明に覚えていることが一つだけ。 それは見に来てくれていたクラスで目立つタイプの女子が後ろから「全然見えない!前にいる男子座って!!!」と怒鳴りつけ、最前列にいた男子達をライブハウスの地べたに全員座らせたことだ。 あの時は初ライブだったこともあり特に何も思わなかったが、今になってみると非常にカオスな光景だった。前の三列くらいは全員座り込んで見ていたのだから。何故、男子達も言われるがままだったのだろうか。ヒエラルキーというものか。しかし演奏は練習通り出来て、友達の反応も良く、忘れられないとても素敵な思い出である。 初ライブを終えて、音源作りを目指して本格的な曲制作に取り掛かった。しかし“たまちゃん”は曲を覚えられなかったり、普段はJ-POPしか聴かなかったりと、全くバンドというもの自体にハマっていなくて、ただ仲が良いからバンドを続けていたということが徐々にわかってきたのである。 当時から僕はプロ志向があり、絶対にミュージシャンになる!と決めていたのでこのままではこの先マズいかもしれない、と思いメンバーを呼び出して今後についての話し合いをした結果、“たまちゃん”とはバンドメンバーではなく友達に戻ることに決めた。 こうして「postmans」の活動は終了となりました。“たまちゃん”とは今も友達であり、postmanを心から応援してくれています。いつか大きな会場での凱旋ライブをする時、彼を招待するのが一つの夢。たまちゃん、いつか必ず叶えるから待っててね。 そしてドラマー探しが始まった。と言っても我々の地元・春日井市はまあまあな田舎なので同い年でドラムをやっている人なんてそうそういるものでもなかったし、名古屋のライブハウス界隈で見つけるなんて事はキャリアゼロのバンドに出来る筈もなく、どうしたらよいのかと悩んでいた。だがしかし、この春日井にも一人だけドラマーがいることを思い出したのだ。 中学二年の時に出演した学園祭のライブで、一つ上の先輩バンドとしてドラムを叩いていた“あの方”。そう岩田先輩、いや天パヲタクサイコパスドラマー“いわたんばりん”がいるではないか、と。 学年も違うし、特に友達という訳ではないし、当時から自らを“いわたんばりん”と名乗る彼にむしろ苦手意識を持っていた僕だったが、春日井市にドラマーなどこの人以外きっといないし、早くライブハウスに出なければと思っていたので一か八か、「僕等と一緒にバンドをやりませんか?」と勇気を出して誘ってみたのだ。 するとサイコパスは特に深く悩むこともなくニヤつきながら「別にいいよ~」と軽めなノリで承諾してくれて、その瞬間からこの人との長きバンド人生が始まることとなった(その際、某ハンバーガーショップに呼び出して話をしたのですが、彼は給料日だったらしく気前良くポテトを奢ってくれました)。 それから、いわたんばりんを含めた四人でスタジオに入るようになり、曲制作を再開。初めて完成した曲は自主製作盤『月前の夢 .ep』にも収録されている「innocent」という楽曲だった。現在も大事な場面で演奏しているこの曲はきっとこれからもずっと我々にとって大事な一曲である。今回リリースする『HOPEFUL APPLE』にも入れようかという案もあったけれど、何十年後かに出すであろうベストアルバムに満を持して入れようという話になったので、お楽しみに。 こうして集まったこの四人での初ライブは10月31日。その際にバンド名を改めて決め直そうということになり、色々と候補は上がったものの全員postmanという単語が妙にしっくりと来ていたので「s」を取り、「postman」と名乗ることを決めた。文法間違いにやっと気付いたのはきっとこの辺り。 では第二話はこんな所で終わろうと思います。次回がいよいよ最終回という事で自己紹介で終わってしまいそうですが、もう少しお付き合いお願いします。 <寺本颯輝> ◆1st Full album『HOPEFUL APPLE』 2020年7月1日発売 RX-172 ¥2,500+税 <収録曲> M-01. 探海灯 M-02. 揺らめきと閃き M-03. 蒼 M-04. ウキグモ M-05. セレクティブサンクション M-06. Hot Apple Tea M-07. 君影草 M-08. OLD TALE M-09. 光を探している M-10. 夢と夢 M-11. 愁吟 M-12. 転げ回れ M-13. 六芒星 - Profile - 愛知県春日井市の少年野球チームで結成された、4ピース・ロック・バンド。名古屋を拠点とし、「届ける」をコンセプトに活動中。寺本(Vo.Gt)の個性的な歌声とキャッチーなバンド・サウンドから創造される世界観を武器に、同年代を中心に熱い支持を集めている。2019年6月に発売したライブ会場限定CD「迷信.ep」に収録されている「揺らめきと閃き」のMVがYouTubeを通して海外でも高く評価をされている。名古屋のライブハウス・シーンで最も成長が期待されているバンドである。