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  • 川村結花
    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。
    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。

    川村結花

    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第20回をお届けいたします。 第20回歌詞エッセイ:きっかけは『言葉の達人』 窓外の緑道では今日も朝から蝉たちが命の限りとばかりに鳴きたおしており、嗚呼やたらと長かった8月ももう終わりなのだなあ、と猛暑でおかしなってしもた頭でぼんやり考えております昨今。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 わたしはといえば、外へ出るたびあの蝉たちの叫ぶような鳴き声に囲まれては、その命の短さに思いを馳せ切なくなり、はあー、と溜息をついて視線を足元に落とすと半透明で黄土色した彼らの抜け殻たちに遭遇してぎょえええ、と震え上がる。そんな残暑の頃を過ごしております。 最近、本当にほんの少しですが夕方の風がベタッ、からもわっ、へと変化した気がします。暑さ寒さも彼岸まで、というほどではありませんが、明らかにお盆の前後で風の感触は変わると思うのです。この温暖化により昔ほどではないにせよ、不思議に毎年それは感じるのです。ということで今年も無事に秋がやって来てくれるのでしょう。ああよかった。 というような、ちょこっとした近況から書き始めるのがデフォルトになって参りましたこのエッセイ。昨年の1月より毎月書かせていただいておりますが、そのきっかけになったのは、というか歌ネットさんとの初コンタクトは、このサイト内の『言葉の達人』というページでした。 その内容は、作詞家をはじめ音楽プロデューサーやミュージシャン全般において作詞をする人達が、歌ネットさんからのいくつかの質問にお答えすることで、作詞に対する己の考えをお話しするという趣旨で、今も続いているコーナーです。さっき見たらもう第210回になっていました(すごい!)。ちなみにわたしは 第187回 に出させていただきました(その節はありがとうございました!)。 そう、そんな『言葉の達人』の質問の中で「自分が思う『良い歌詞』とは?」というのがあったのですが、それに対してわたしは「その世界へ連れて行かれてしまうもの。トリップさせてくれるもの。自分にそんな経験がなくてもあるような気になったり、経験のあることは痛いくらい共感できるもの。」と答えています。今でもそう思っています。要はわたしが思う素晴らしいな、っていう作品はどれだけその世界へ連れてってくれるか、どれだけトリップさせてくれるか、ということなのだろうなあと思うのです。 ただ「歌」なのですからメロディがあります。サウンドがあります。歌っている人の声があります。その作品の繰り広げる世界への案内人は歌詞だけでは勿論ありません。ですから中には「歌詞なに言うてるんかさっぱり聴き取られへんけどなんかめっちゃ連れてかれる~」というような素晴らしい作品も数え切れないほどあります。 そしてそれと同じように「どうしたってここの歌詞が胸きゅぅってなるねん」「この歌詞聞いたらなんかむっちゃ恋愛したくなるねん」等々、歌詞のフレーズがかなり重要な曲が多数存在することも確かです。ていうか9割がたそんなええ歌詞にはむちゃくちゃええメロディついてますが(歌詞最高やねんけどなんじゃこのメロディ、みたいのはあんま出会ったことないので、、、)。 ちなみに、さっきの歌ネットさんからの質問のわたしの答え「自分にそんな経験がなくてもあるような気になったり」ということで言えば、ぱっとすぐ思いつくのは、 「 真夏の果実 」 です。 わたし海なんか全然行かへんけど、ゼッタイ砂に恋人の名前書いたことあるわ!と思わせてくれる(ないけど)。四六時中「好き」って言われて海辺のコテージで夢見心地やったことあるわ!と思わせてくれる(ないけど)。ロマンティックでどこか刹那的でダルな真夏だけの恋の世界に思いっきりトリップさせてくれる等々、なーんの実体験もないのにこの歌詞の世界に思いっきり連れて行かれてしまう。サビでハモッてしまったりなんかした日には涙ぐみさえしてしまう。そんな経験全然ないのに(何回も言わんでええわ)。 そして言うまでもなくとろけるような美しいメロディ。こらもうたまらん、、、。ていうか、そうやわ、夏の終りかけの今にぴったりハマるやん、、、。と今気付きました。聴きましょう。そして連れて行かれましょう。経験ある人は痛いくらい共感を。ない人もとろける真夏の恋の世界にトリップさせてもらいましょう。そして今年の夏の終わりをともに味わいましょう。 では今回はこの辺りで。また来月-、とはいうものの、1ヶ月先さえも読めない世の中ですが、皆様どうかこの閉塞感に負けないで。何より心も体も負けないで。時々はアホなこと言ったり見たりしてクスッと笑っていてくださいね。わたしも日々努めてそうしています。どうぞお元気で。また来月。です。 <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】 【第17回】 【第18回】 【第19回】

    2021/08/26

  • ハルカトミユキ
    人と会うことが悪になり、孤独が善になった、こんな世の中で。
    人と会うことが悪になり、孤独が善になった、こんな世の中で。

    ハルカトミユキ

    人と会うことが悪になり、孤独が善になった、こんな世の中で。

     2021年8月25日に“ハルカトミユキ”がニューアルバム『明日は晴れるよ』をリリース!約4年2カ月ぶりとなる今作。日本テレビ系『NNNストレイトニュース』のウェザーテーマ曲「夏にだまされて」を含む全8曲が収録。新作についてハルカ(Vo, G)は「『わかんないけど、晴れるよ、大丈夫』このアルバムを通して、自信満々にそう言いたい」、ミユキ(Key, Cho)は「“ラブソング"と“応援歌”がテーマの今作、ど真ん中に勝負を挑む気持ちで曲を作りました」とそれぞれコメントしております。  さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ハルカトミユキ”のハルカによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、収録曲「 君に幸あれ 」に通ずる想いです。彼女が「他人事とは思えなかった」様々な人の姿。コロナ禍で人と会う機会が減り、他者に対する想像力が薄れてゆく今だからこそ、多くの方にこのエッセイと歌詞が届きますように。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 君に幸あれ 」~ 去年の四月、とんかつ店を営んでいた五十代の男性が火災で亡くなるというニュースがあった。周囲には店をたたむと告げていて、店内には油をかぶった痕跡があったという。その数カ月後、路上生活者と見られる六十代の女性が、通りすがりの男に頭を殴られて亡くなるというニュースがあった。女性は、人気のないバス停でひっそりと夜を明かしていて、亡くなる数カ月前までスーパーのパートとして働いていたそうだ。 この二人の半生を伺い知ることは私にはできないけれど、どうしても他人事とは思えなかった。 これらのニュースに限ったことではない。給付金が途絶えて来月の生活費さえままならない、とワイドショーの取材に答える事業主も、過去の作品の一部を切り取られて非国民と言わんばかりの非難を浴びたアーティストも、到底、他人事とは思えない。次々に標的が変わり集中砲火を浴びるのを目にするたび、どうしてみんな、そんなにも全力で火炎瓶を投げつけることができるのか、恐ろしくてたまらなくなる。 人間には想像力がある。経験していないことや、知り得ないものについて、頭の中で思い描く力だ。綺麗事かもしれないけれど、想像力とは、優しさなのだと思う。 亡くなった路上生活者の女性が、試食販売の職でささやかな喜びを見出したり、所持金が底をついても誰にも頼らず(頼るすべもなかったのかもしれないが)自力で立ち直ろうとしていたり、他人に迷惑をかけないよう真夜中のバス停にじっと座っていた姿を想像すると、彼女の人間としての気高さを痛いほどに感じる。どうして彼女が死ななければならなかったんだろう。そして、自分がそうならない保証はどこにあるんだろう。 その疑問が虚しいものだとしても、たとえ想像が間違っていたとしても、最低限思いを巡らせてみることしか今はできない。でもその想像すらやめてしまったら、人が人でなくなってしまうんじゃないかという気がする。 もしもバス停で彼女に会えたなら、今までの人生で楽しかったこと、苦しかったこと、幸せだったことを聞きたかった。今までしてきた仕事のことや、若い頃のこと、家族のこと、たわいもないことを話してみたかった。その気高さの理由を知りたかった。助けになることがあるなら、したかった。 でも、と思う。私が本当にそうすべき相手は、自分の母親や、友達や、近くにいる誰かなんじゃないだろうか。今、一番近くで、ギリギリの苦しい思いをしている誰かを見逃していはいないだろうか。人と会うことが悪になり、孤独が善になった、こんな世の中で。大切な人を思う想像力を持ち続けることだけが、私たちに残された、微かな希望なんじゃないだろうか。 <ハルカトミユキ・ハルカ> ◆紹介曲「 君に幸あれ 」 作詞:ハルカ 作曲:ハルカ ◆4thアルバム『明日は晴れるよ』 2021年8月25日発売 QAIR-10178 ¥3,000(税込) <収録曲> 1. RAINY 2. 鳴らない電話 3. 夏にだまされて 4. 言えたらいのに 5. TIME 6. 君に幸あれ 7. あの場所で 8. 約束

    2021/08/25

  • フレンズ
    聞こえて来た藤井アナウンサーの言葉に心が動いた。
    聞こえて来た藤井アナウンサーの言葉に心が動いた。

    フレンズ

    聞こえて来た藤井アナウンサーの言葉に心が動いた。

     2021年8月4日に“フレンズ”が2ndフルアルバム『SOLAR』をリリースしました。本作には、ドラマ『きのう何食べた?』の主題歌「iをyou」をはじめ、数々のタイアップに起用されたこれまでのシングル曲のほか、新曲「東京今夜」を含む全15曲を収録。加えてBonus Rare Trackとして新録で「NIGHT TOWN(神泉ver.)」まで収められた、これまで以上の多彩なサウンドが詰まった、まさにフレンズの真骨頂と言える作品となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“フレンズ”のおかもとえみによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその最終回。綴っていただいたのは、新曲「 海のSHE 」に通ずるお話です。ある日のニュース番組で、心が動かされた理由とは。そして曲に込めた想いとは。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 海のSHE 」~ 去年の2月、コロナが蔓延し始めて、何がなんだかわからない未知のウイルスに怯えていた。あれやこれやと慌てふためいているうちに緊急事態宣言が発令され、家に篭った。ぼーっとテレビを見る機会も増え、世の中がどうなっているのか確認するためにニュースもよく観た。 ある日の夕方『news every.』を観ていた時に聞こえて来た藤井アナウンサーの言葉に心が動いた。普段ニュースを読んでいるアナウンサー、テレビの中の人たちは“テレビの中の人たち”と、どこか一線を引いて見ていた。そんな偏った感覚で彼らを見ていたのだが、ある日の藤井アナは自分の言葉で喋り出した。まっすぐにこちらを見て。 「感染者数に一喜一憂しないでください。この数字は2週間前の結果です。私たちは2週間後の未来は変えることができます」 「命より大切な食事会やパーティーはありません」 「たくさんのものを我慢してあきらめる日々を過ごしていますが、他人を思いやる心まで失わないでいることが大切です」 など、自らが感じた言葉を丁寧に視聴者に伝えてくれた。そんな藤井アナを見て、ああ、テレビの中の人たちも私と同じ人間なんだなあと。今までも自分の言葉で語る人たちはいたが、時代と相まって私の心に刺さった。同じ不安を抱えて、同じ夜を過ごしているんだ。あなた自身だって苦しくて折れちゃう時もあるだろうに。視聴者のために希望を与えて、事実を伝えて、大切な気付きを与えてくれた。 私は音楽を作っている。これを見ているあなたは、誰かのために働いている。自分のためだって人もいるだろう。職業年齢性別関係なく不意に襲ってくる不安や、誰にも言えなくて辛いこと、ふと寂しくなるような瞬間は、中身は違えど誰にだってある。 私がテレビを見て感じたあの人、SNSで見かけるあの人、ライブでよく見るあなた。私を知ってくれているあなた。ふと通りがかったあなた。あの時、私自身に心に刺さった感覚と感情を。少しでも誰かの救いになれるようなものを作りたいと思わせてくれたあの人とあなたへの感謝を込めて、この曲を作りました。 “大丈夫さ 僕も同じ 夜を過ごしているよ” <フレンズ・おかもとえみ> ◆紹介曲「 海のSHE 」 作詞:おかもとえみ 作曲:おかもとえみ ◆2ndフルアルバム『SOLAR』 2021年8月4日発売 初回盤 AICL-4030-4031 ¥4,400(税込) 通常盤 AICL-4032 ¥3,300(税込) <収録曲> 1.東京今夜 2.急上昇あたしの人生 3.FUTURE PEOPLE 4.Hey Boy Hey Girl 5.夢って 6.海のSHE 7.元気D.C.T~No at all~ 8.いつものサタデー 9.iをyou 10.8月31日の行方 11.約束 12.あくびをすれば 13.楽しもう 14.ボルテージ! 15.いいんじゃない?

    2021/08/24

  • Sano ibuki
    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。
    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。

    Sano ibuki

    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。

     2021年7月7日に“Sano ibuki”がニューアルバム『BREATH』をリリースしました。今作には、ドラマ『ソロ活女子のススメ』のオープニングテーマ「Genius」や映画『滑走路』の主題歌「紙飛行機」、映画『ぼくらの7日間戦争』の主題歌「スピリット」「おまじない」を含む12曲が収録。彩り豊かな“BREATH”の世界をお楽しみください…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Sano ibuki”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。今回は第1弾です。とある日、混雑した病院へ行ったことがきっかけで改めて考えた、苦手なもの、一種のアレルギー。そして、印象的だった女医さんの言葉。どこか今のSano ibukiの音楽に通じているかもしれないお話を綴ってくださいました。 ~歌詞エッセイ第1弾~ 病院に行くときはスマホはマナーモードにしておくべきだ。 久しぶりに病院に行った。病院といっても歯医者なのだが。夏休みの子供達と親御さんでごった返しており、地方イオンのフードコート並に音で溢れていた。私は人の多い場所が得意ではない。苦手だ。 もう今日は諦めて帰ってしまおうかとも思ったが、そんな私を救うかのように、「予約をしていたサノさんですね。診察室Aへお願いします」と受付の方に奥に通された。半個室のようになっている診察室は待合室よりも少しだけ冷房が効いていた。そのせいか、ひやっとしており、カーディガン持ってくればよかったな…なんて事を思っていると、「椅子にどうぞ。あっ、荷物、そちらのカゴに入れてくださいね」と同い年くらいであろうか、今時の紺色インナーカラーをちらっと覗かせた女医さんに勧められた。手早く荷物をカゴに置き、椅子に座った私は、マスク越しでも分かる笑顔を向けた女医さんのおでこを見つめながら、診察室にも轟く、待合室の子供と親御さん達の声が鳴り止むことを願っていた。 音楽を聴くと辛い瞬間がある。いやもう少し語弊のない言い方をするならば、人の声が極端に苦手になる時がある。一般的な歌声のある音楽が総じて、苦手になるのだから、音楽を聴くと辛い時期があると言っても過言ではないだろう。作っている本人がこんな事を書くのはどうなのか? とは自分自身でも思うが、好きだが苦しくもなるのだ。仕方がない。 この症状を私は突発性声アレルギーと呼んでいる。このアレルギー、ある日突然ではなくジワジワと体感していくもので、気づいた時には発症していた。特に酷かった学生時代、友人に相談した際、人酔いじゃない? と一掃されてからは、治るまで待つ。という荒療治のみでどうにかしてきた。 しかし全く音楽を聴いていなかったわけではない。寧ろ、人よりも聴くことは多かったと思う。そもそも声が苦手になるということは、音楽だけではない。声で溢れている日常の世界は、船の上のようなもので、船酔いが止まらなかった。当時、今ではお世話になりっぱなしのノイズキャンセリング付きイヤホンを買うお金もなく、それに加え、クラスに居場所がなかった私にとって、音楽は一つの城壁であり、「敢えて一人でいるんです」と主張するための技でもあったため、酔うからと簡単に手放すわけにはいかなかった。 イヤホンを付けているだけでいいだろう。という声が上がりそうだが、それではいけなかった。万が一「何、聴いてるの?」とまだ見ぬ友人、恋人に、片耳からイヤホンを取り上げられた時、何も音が鳴ってないことがバレでもしたら、貼られるレッテルは口にもしたくないものであろうことは要因に想像できたからだ。 そんな好きなものに苦しめられるというジレンマを抱えた自分を支えてくれていた音こそが、サウンドトラックだ。ゲームやアニメ、映画の中で流れている音楽であり、台詞がある事を前提として作られているため、基本的には人の声が入っておらず、声が苦手な私でも聴けるものは多く、尚且つ思春期特有の自分だけが知っているという優越感にも浸れた。 周りの音をかき消すように爆音で聴きながら、本を読む時間はアレルギーの事も、一人であるという事も忘れさせてくれた。問題の本質から逃げていると言われれば、その通りだったが、逃げること、忘れることで私は私を救っていた。 「うーん」とも「むーん」ともつかない女医さんの唸り声で我に返った。しまった。雑談にしては重過ぎた。「人が多い場所って平気ですか?」なんていう質問をされたせいで、律義に声アレルギーのことを答えてしまった。早い者勝ちということわざがある。何か言われる前に冗句の一つでも披露しなければ。 「まあ、僕はちょっとネガティブな思考なので、もう少しこう、変わらないと駄目ですね」 うーん、と女医さんが唸りながら言った。「私、やっぱりこういう仕事なんで、歯が汚い人って苦手だなって思うんですよ。でもそれ以上に私が治してあげたい!って思っちゃうんですよね。だからどんどん惹かれていくことがあるんですよ。サノさんも世の中の音を自分好みに変えてやる!って思えば、良いんじゃないですかね?」 正直、好きなものも苦手になってしまうというジレンマを話した事への返答としては、的外れも良いところだったが、自分が音楽を作っている真理を当てられたような気持ちになった。 私みたく好きなものにすら拒まれ、苦しくなってしまう。逃げたい。忘れたい。と思っている人のそばにいられる音を作りたい。そんな一心で音楽を作ってきた。でもそれは当たり前のように、自分自身のためでもあった。生きるための逃げ場を作る。それが誰かのためにもなっていたら嬉しい。それこそが私の根底になっていた。 ユニットに座らされ、大きすぎるライトに照らされながら、「じゃあ、大きく口開けてくださーい」と語りかける女医さんの声、コポコポと鳴り続ける機械音、高らかに鳴り響く誰かの懐かしいゲームのバッタもんみたいな着信音、キュイーンという音と共に、響く、少年達の叫びにも近い泣き声、それを叱咤する母親の声、全て心地がいいと思えた。それは新鮮で、嬉しくもあり、心が温かくなった。 懐かしい。この着信音、ロックマンじゃん。あの中にも自分と同じようなものに惹かれ、好きになって、同じように、傷ついて、苦しんで、逃げ続けた人がいるのかもしれない。そう思うと一人じゃないのかもしれないな。寂しく思うことはないな。ありがとう、女医さん。アレルギーも克服できそうだ。 と柄にもなく、ポジティブな事を考えていた私に「サノさん。スマホ、鳴ってますよ。ゲームの音楽ですかね? こういうのって良い意味で、オタクって感じで良いですね」とにこやかに女医さんがロックマンのテーマを響かせるスマートフォンを渡してきた。 「やっぱり、おれは独りだ。それでいい」 これほど強く心に思ったのは久しぶりだった。終業式に「サノくんって下の名前なんだっけ?」と言われた時と同じくらいの強さだった。 あと“良い意味で”を枕詞にすれば、なんでもフォロー出来ると思っている人は、本を読んだ方がいい。もっと言葉が溢れている。とも思った。これは間違いない。彼女に勧める本を見せるために、スマホを受け取った。 おまけにもう一つ、私は忘れていないぞ。人の渾身の駄洒落を無視するな。 <Sano ibuki> ◆2ndフル・アルバム『BREATH』 初回仕様 UPCH-29396 ¥3,300(税込) 通常仕様 UPCH-20586 ¥3,300(税込) <収録曲> 1. Genius 2. ムーンレイカー 3. ジャイアントキリング 4. pinky swear 5. lavender 6. あのね 7. おまじない 8. 伽藍堂 9. スピリット(BREATH ver.) 10. emerald city(BREATH ver.) 11. 紙飛行機 12. マルボロ

    2021/08/23

  • postman
    一つ目の「テラモトの根」。ずばり“野球”である。
    一つ目の「テラモトの根」。ずばり“野球”である。

    postman

    一つ目の「テラモトの根」。ずばり“野球”である。

     2021年8月25日に“postman”が配信シングル「アネモネの根」をリリース!前作の第103回全国高等学校野球選手権愛知大会テーマソング「ダイヤモンド」に続く新曲です。花を咲かせるために土の中でもがく葛藤と苦悩、そして決意が込められたミドルバラード。バンドの新たな方向性を導き、メッセージ性を全面に打ち出した楽曲となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“postman”の寺本颯輝による歌詞エッセイを3回に分けてお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、新曲のタイトル「 アネモネの根 」にも通ずる3つの“ご自身のルーツ”について。その一つ目は野球のお話。是非、歌詞と併せてお楽しみください…! ~歌詞エッセイ第1弾~ どうもお久しぶりです。postmanのボーカルギター、寺本颯輝でございます。またここでコラムを書かせて頂けること非常に嬉しく思います。前回は自己紹介から始めようと思い、メンバーとの出逢いまで遡って書いてみた所、小学一年生まで遡ってしまった為、バンド結成の経緯のみで三週全てを使い切る結果となってしまいました。なので今回こそはコラムらしくテーマを決めました。 8月25日リリースの新曲が「アネモネの根」ということで寺本颯輝の根っこの部分、つまり“ルーツ”について三回に分けて書こうと思います。そう「テラモトの根」である。はい、ダサイって思った人、廊下に立ってなさい。※この“テラモト”に限っては“アネモネ”と同じイントネーションでお願いします。手羽元と同じ(勿論手羽先でも可)。 では、一つ目の「テラモトの根」。ずばり“野球”である。前回のエッセイでも書いた通り、僕は小学校の六年間所属していた少年野球チームにてpostmanというバンドを結成した。それくらい人生においてもバンドにおいても、僕と野球とは非常に縁ある存在だ。もしも押し入れで見つけたギターや、影響を受けたバンドの数々と出逢っていなかったら、ずっとプロを目指して野球を続けていたと思うくらいに野球が大好きな少年だった。きっと中学や高校ではちゃんと大人しく坊主にもしたと思う(多分してない)。 当時は、本気でプロ野球選手になることを夢見ていたので、プロに入ったらファンである広島カープへ入団、いつかはメジャーリーグへ挑戦。投手ならレッドソックス、野手ならマリナーズなんてことを友達とずっと話していた。今も変わらず野球は一番好きなスポーツです。今年の高校野球も愛知県大会決勝を観に行き、ノックの時点でグッと来て泣いちゃいました。 ところで何故、愛知県出身なのに広島カープファンなのかというと、それは両親の影響だ。しかし両親も広島県出身ではないのでややこしい。ならば何故か。単純に言うと僕が小学生だった当時の広島カープは、今と違いお金もなく万年Bクラスと呼ばれていて、それはそれは弱かったからである(最近また調子よくないけど)。 少々脱線したが、実はこれは根っこの話に繋がる。寺本家は少し捻くれていて、天邪鬼な家系であり“世間と逆をゆけ”という家訓が存在するのかという程に、流行りの歌やゲームをシャットアウトさせられて僕は育ったのだ。しかしその家訓は、今の僕のライフスタイルや音楽にも影響を与えている根っこであるので、このマイペースな性格も嫌いではない(結構友達の話についていけない時あるけど)(たまにマイペース過ぎてメンバーに迷惑掛けちゃうけど)。 野球の泥臭くも繊細で緻密な部分や硬派な姿勢は間違いなく僕のルーツであり、それは根っことして常に持っておきたい信念である。 そんな大好きな野球を辞めてでも掴みたくなった夢がミュージシャン。こっちの道も中々に険しい。しかしこの“音楽”とも、野球に打ち込んだ頃と同じく少年の様に純粋な心で向き合い、愛し続けられているので、この選択と変化は間違っていなかったのだろう。 才能とは他人より優れた技能でも、何でもこなせる適応力でも、ましてや頭にある知識量でもなく、其れを好きと思い続けられるかどうかだと僕は思った。興味あるもの全てに挑戦をやめなければ、きっと自分の才能とマッチする職業や場所や人と出逢うだろう。 最後にもう一つ大きな夢の話をさせてください。その昔、僕には“もしもプロ野球選手になったら、バッターボックスへ入る時の登場曲には、絶対にBUMP OF CHICKENさんの「ダイヤモンド」を使う”という夢があった。 しかし中学へ上がる頃、野球を辞めて僕はミュージシャンになることを志した。その頃から夢は形を変え“いつか僕が書いた「ダイヤモンド」という楽曲をプロ野球選手が登場曲に使う”という新たな大きな夢に生まれ変わったのだった。 そして遂に、今年『第103回全国高等学校野球選手権大会愛知大会テーマソング』として「 ダイヤモンド 」という楽曲を書き下ろしリリースすることが出来ました。なのでいつかの高校球児の方がプロ野球選手になった暁には、是非postmanの「 ダイヤモンド 」を使って欲しいなと密かに心から願っています。 では次週、二つ目の「テラモトの根」は“お笑い”について。暫しの間お付き合い宜しくお願い致します。 <postman・寺本颯輝> ◆紹介曲「 ダイヤモンド 」 作詞:寺本颯輝 作曲:postman ◆紹介曲「 アネモネの根 」 作詞:寺本颯輝 作曲:postman

    2021/08/20

  • I Don't Like Mondays.
    僕はノラリクラリ暮らしたいのです。
    僕はノラリクラリ暮らしたいのです。

    I Don't Like Mondays.

    僕はノラリクラリ暮らしたいのです。

     2021年8月18日に“I Don't Like Mondays.”がニューアルバム『Black Humor』をリリースしました。2019年11月より約1年半に渡り精力的に発表してきた数々の配信シングル曲に加え、新録4曲を含む全17曲を収録。また、9月からは16都市24公演を回る全国ツアーも発表したアイドラ。この夏は彼らから目が離せません…!    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“I Don't Like Mondays.”のYUによる歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作『Black Humor』を制作する上での歌詞面の変化。そして、その変化を表す代表的な収録曲「 ノラリ・クラリ 」についてのお話です。“大人”として“社会人”として生きているあなたへ。是非、エッセイと併せて、歌詞をお楽しみください…! ~歌詞エッセイ:「 ノラリ・クラリ 」~ I Don't Like Mondays.というバンドの、前作のアルバムから2年越しとなる今作のアルバム『Black Humor』。最も変わった部分と言えば、恐らく作詞に対するスタンスだと言えます。 前作が、“共有のためのアルバム”であったならば、今作は、より個人的であり、パーソナルに焦点を当てたアルバムとなりました。 そのようなスタイルチェンジを行うには、これまで作り上げてきたスタイルを一旦壊す作業もしなくてはならず、作詞を担当する僕としては、その作業が一番大変だったかもしれません。メンバーとも何度もぶつかる羽目になりました。 しかし僕にとっては、やらなくてはならない工程だったように思います。 無論、去年のツアーが延期になったり、思うようにLIVEができなくなった環境の変化というのも大きかったのだと思います。ただ、それらの環境の変化が、この際これまでのスタイルを抜本的にチェンジしてもいいんじゃないか? という後押しになったと、今振り返ると感じます。 模索しながら進んでいく中、新アルバムの『Black Humor』のコンセプト作りをしていきました。そして、アルバム全体像が見えてきた段階で、作詞したのが、「ノラリ・クラリ」という曲です。 未だかつてないほどの等身大の詩になっています。そのような意味では、今作で焦点を当てたかったパーソナルな唄の代表的な一作になりました。恐らく前作のアルバムの時では、制作し得なかった曲です。 一見、恋人とのすれ違いから始まるストーリー展開のようにも見えますが、僕の中では、この曲は「社会人の“嘆き”と同時に“気付き”」を歌った唄であります(もちろん恋愛の唄として楽しんで頂いても一向に構いません)。 僕自身、今年で32歳であり社会では歴とした「大人」の部類になるものの、そのレッテルと、本来の自分とのギャップに苦しみながら、生きている世代でもあります。 恋愛や仕事、一通り経験してきて、それでいて尚、正解がわからない。でもそれすら受け入れるしかないのでは? と気づき始めたのが、今日この頃の僕という人間です(30代)。 同じ世代でしたら、少しは共感してもらえる部分があるんじゃないかなあ。と思っております。もちろん、上の世代の方も、下の世代の方にも、共感してもらえる部分があったのなら、少しでもなんとも憂鬱になりがちな日々に希望を見出せたなら、それ以上の喜びはありません。 新アルバム『Black Humor』から「ノラリ・クラリ」の歌詞について。 <I Don't Like Mondays. YU> ◆紹介曲「 ノラリ・クラリ 」 作詞:I Don't Like Mondays. 作曲:I Don't Like Mondays. ◆ニューアルバム『Black Humor』 2021年8月18日発売 <収録曲> 1 Black Humor 2 MR.CLEVER 3 地上を夢見る魚 4 独り占め 5 ノラリ・クラリ 6 MOON NIGHT 7 全部アナタのせいなんだ 8 馬鹿 9 Sunflower 10 愛言葉 11 サボテン 12 gift 13 Plastic City 14 モンスター 15 ENTERTAINER 16 東京エキストラ 17 ミレニアルズ ~just I thought~

    2021/08/19

  • ハルカトミユキ
    物を借りたり貸したりするのが苦手だ。
    物を借りたり貸したりするのが苦手だ。

    ハルカトミユキ

    物を借りたり貸したりするのが苦手だ。

     2021年8月25日に“ハルカトミユキ”がニューアルバム『明日は晴れるよ』をリリース!約4年2カ月ぶりとなる今作。日本テレビ系『NNNストレイトニュース』のウェザーテーマ曲「夏にだまされて」を含む全8曲が収録。新作についてハルカ(Vo, G)は「『わかんないけど、晴れるよ、大丈夫』このアルバムを通して、自信満々にそう言いたい」、ミユキ(Key, Cho)は「“ラブソング"と“応援歌”がテーマの今作、ど真ん中に勝負を挑む気持ちで曲を作りました」とそれぞれコメントしております。  さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ハルカトミユキ”のハルカによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲「RAINY」に通ずるお話です。物の貸し借りが苦手だという彼女。その理由はきっとみなさんもどこか共感できるのではないでしょうか。あなたの部屋にもいつのまにか誰かの“異物”が紛れ込んではいませんか…? ~歌詞エッセイ第1弾:「RAINY」~ 物を借りたり貸したりするのが苦手だ。返さなければいけないものは借りない方が気が楽だし、絶対に返して欲しいものは貸さない方がいい。この性質はそのまま、人との距離の取り方に直結している気がする。 「もしかして君の家に、俺の白いスニーカー、置きっ放し?」 何年も前に別れた恋人から、突然そう連絡がきたことがある。確かに、ある。玄関の狭い下駄箱の奥に、行き場なく置かれたままのスニーカーが。忘れていたわけではない。かと言って、常にその存在を意識していたわけでもない。新しい靴を買って下駄箱にしまおうとした時に、スペースがなくて、うわぁ、あれがなければ入るのに、と邪魔に思うくらいだ。 邪魔なら捨てればいいのだ。こんなに長い間取りに来ないのだから、さほど必要な物でもないのだろう。でも一応他人のものである以上、勝手に捨てるのはなんとなく忍びない。見たところまだ真新しいし、いっそのこと売ってしまおうかとも思ったけれど、それもどうかと思う。 いや、何より億劫なのは、捨ててもいいか確認の連絡をすることなのだ。いくら他人同士に戻ったとは言え、一度は二人しか知らない恥部まで共有してしまったような相手と、どういう顔で連絡を取るのが正解なのだろう。 ごちゃごちゃと考えるのが面倒臭くなって扉を閉め、そしてまたしばらく忘れる。その繰り返し。相手から連絡をしてきてくれたことに内心ホッとしながら、「ああ、あったかも」と短く返信する。 スニーカーだけなら、まだいい。私の家の本棚には、自分で買った覚えのない本が何冊もある。買ったはずの本が見当たらないこともまた、ある。明らかにサイズの大きい男物のTシャツが、引き出しの奥からくしゃくしゃに丸まって出てくることもある。 自分のものではなかったはずの“異物”は、いつの間にか生活の中に紛れ込んで、景色に馴染んで、気づかないうちに私という人間の一部になっている。 本を一冊ずつ仕分けることはできても、一緒に買った家具を真っ二つに割ることはできないし、勧められて好きになった映画を今更嫌いになることもできない。誰かと長く一緒にいるというのは、そうやって相手と自分の境界線が曖昧なグラデーションになっていくことだ。それをもう一度別々に引き剥がすという作業は、ものすごく痛い。 だから、物を借りたり貸したりするのがやっぱり苦手だ。本当はずっと返さなくたってよかった物が、返さなければいけない物になったとき、それは「さようなら」を意味するから。たとえ互いの荷物が綺麗さっぱりなくなっても、自分の一部になってしまった誰かと本当の意味で“別れる”のはきっと無理なのだと思う。 連日のように記録的な猛暑が続いている。今朝見た天気予報には、夕方から雨マークが付いていて、玄関に溜まったビニール傘の中から一本を手にしてドアを開けた。その傘は、私のものだったかあの人のものだったかもうわからないけれど、もう全てが、今の私の一部だ。 <ハルカトミユキ・ハルカ> 4thアルバム『明日は晴れるよ』 2021年8月25日発売 QAIR-10178 ¥3,000(税込) <収録曲> 1. RAINY 2. 鳴らない電話 3. 夏にだまされて 4. 言えたらいのに 5. TIME 6. 君に幸あれ 7. あの場所で 8. 約束

    2021/08/18

  • フレンズ
    そんな日に私が見た、夢の話。
    そんな日に私が見た、夢の話。

    フレンズ

    そんな日に私が見た、夢の話。

     2021年8月4日に“フレンズ”が2ndフルアルバム『SOLAR』をリリースしました。本作には、ドラマ『きのう何食べた?』の主題歌「iをyou」をはじめ、数々のタイアップに起用されたこれまでのシングル曲のほか、新曲「東京今夜」を含む全15曲を収録。加えてBonus Rare Trackとして新録で「NIGHT TOWN(神泉ver.)」まで収められた、これまで以上の多彩なサウンドが詰まった、まさにフレンズの真骨頂と言える作品となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“フレンズ”のおかもとえみによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第2弾。綴っていただいたのは、新曲「 夢って 」に通ずるお話です。とある日に、彼女が見たちょっと変わった夢とは? そしてその結末は…。みなさんは最近、どんな夢が印象的でしたか? ~歌詞エッセイ第2弾:「 夢って 」~ ミュージシャンは夜型だ。 と、言い切ってしまうほどSNSを見ると夜中まで起きている人を多く見かける。私も御多分に漏れず夜更かしだ。その上寝付きが悪い。 ネットのありとあらゆる睡眠導入方法をチャレンジしてみたが、どれもピンと来ず。最終的に三遊亭金馬の“孝行糖”を聴くと眠りにつける事に気づいた。遠い親戚なのでは? と思うほど声のトーンが私に合っているようで、心地よい眠りにつける。そうやってなかなか寝付けなかった日は決まって眠りも浅い。 そんな日に私が見た、夢の話。 舞台は洗面台。顔を洗って、歯を磨いてコンタクトをつけるいつものルーティン。あまりにもいつも通りすぎて、夢なのか現実なのかわからない(夢を見始めた瞬間は常に現実だと思い込んでいる)。いつも通りの慣れた手つきでコンタクトを目に入れる。あれ? おかしいな? 入らない。 再度、形を整えてチャレンジ。 ん~入らない。 寝ぼけ眼でレンズをちゃんと見てみると、たまげた!いつもより分厚い。レンズをむにむにしてみる。すると、1枚、2枚、3枚…4枚も重なってる~~~~~~~~~~~~!!!!!!ということは、これは夢か!夢に違いない。夢だと気づいても、せっかく眠りにつけたのに、まだ起きたくはない!夢vs現実の戦いだ。 しかし、この夢にはつけたいオチもない。これがラブストーリーなら、夢をコントロールしてどうにかハッピーエンドに持っていくであろう。学校や職場に遅刻する夢なら、時間内にたどり着けるよう空を飛んだり、たまたまちびまる子ちゃんに出てくる花輪くんの車が通りかかって乗せてもらえるラッキーを演出してみたりするだろう。 でも、今回の夢はコンタクトが4枚重なっていただけなのだ。ただ1枚にすれば済む話だ。その後、夢の中で生活を始めるか、と考えがよぎったが、一体どこまで? 日常過ぎて際限がないのだ。このまま夢の住人でいるのも悪くないけど、現実世界でまだまだやるべき事がある!でも寝ていたい!やっぱり寝ていたい!この気持ち良いまどろみを続けたい!夢の勝利~~! そう洗面台の前であたふたしているうちに、現実世界でガッシャーーーン!カンカンカン!ドンドンドン!と、物凄い音がした。隣のビルで工事が始まったのだ。否応なしに起きるしかない。現実の大逆転。ああもう!いい感じだったのに!突然すぎるぞ。 ちょっと味わえるのが夢だもの。 儚いな、夢って。 <フレンズ・おかもとえみ> ◆紹介曲「 夢って 」 作詞:おかもとえみ・三浦太郎 作曲:三浦太郎 ◆2ndフルアルバム『SOLAR』 2021年8月4日発売 初回盤 AICL-4030-4031 ¥4,400(税込) 通常盤 AICL-4032 ¥3,300(税込) <収録曲> 1.東京今夜 2.急上昇あたしの人生 3.FUTURE PEOPLE 4.Hey Boy Hey Girl 5.夢って 6.海のSHE 7.元気D.C.T~No at all~ 8.いつものサタデー 9.iをyou 10.8月31日の行方 11.約束 12.あくびをすれば 13.楽しもう 14.ボルテージ! 15.いいんじゃない?

    2021/08/17

  • Ms.OOJA
    二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。
    二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。

    Ms.OOJA

    二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。

     メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリース!2021年8月16日に第6弾となる新曲「Cold Kiss」をリリースしました。世界中で大ヒット中のJapanese City Pop Movementの流れと歌謡テイストをリンクさせたミッドチューン。真夏の夜を彩る甘く艶のある大人の1曲に仕上がった今作は、これまで数々の楽曲でタッグを組んできたJiNと、気鋭の作・編曲家の川嶋フトシとMs.OOJAとで制作されました。    さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届け。今回はその第7弾。綴っていただいたのは、新曲「 Cold Kiss 」にまつわるお話です。100曲近くの楽曲をカバーしてきた彼女だからこそ、生み出すことができたこの曲。Ms.OOJA流の“City Pop”を、エッセイと併せてじっくりとお楽しみください…! ~歌詞エッセイ:「 Cold Kiss 」~ 今回のコラムは7ヶ月連続配信第6弾「Cold Kiss」。ついに7ヶ月連続配信も6弾まで来て、このコラムも今回と残すところあと1回となりました。 「Cold Kiss」はシティポップをテーマにJiNとのコライトで出来上がった楽曲。JiNとはデビューの頃から一緒に制作をしていて、数々のオリジナルはもちろん。カバーのアレンジでも大変お世話になっている。JiNは、R&BやHIPHOPはもちろん、王道のPOPSやラテンや歌謡曲テイストなメロディーラインも得意とし、国内外問わず数々のヒット曲も手がけているプロデューサーだ。 数年前に韓国料理を食べながら、「いつか歌謡曲のカバーアルバムを出したいからJiNちゃんアレンジしてなー」という話しの流れから、JiNにもアレンジ参加してもらった昨年「流しのOOJA~VINTAGE SONG COVERS~」のリリースに至っていたりもする。その中に収録された松原みきさんの「真夜中のドア/Stay With Me」が今世界的にリバイバルヒットしていることは知っている方も多いと思うが、これは本当に偶然のタイミングだった。 2015年にNHKの歌謡番組『新BS日本の歌』に初出演した時に、プロデューサーからリクエストされた楽曲が「真夜中のドア/Stay With Me」だった。その時、あまりのかっこよさに衝撃を受けたことを覚えている。そこから歌謡曲、歌謡ポップスというジャンルに興味を持つようになった。 デビュー前からカバーというものをライフスタイルにしてきて、かれこれ100曲近くの楽曲をカバーしてきた。正直、サブスクのランキングなどを見てもわかるように、オリジナルよりもカバーが上位にいる割合が圧倒的に高い。昔はそのことにやきもきしたり、「カバー聴いてます!!」というファンの声に素直に喜べない部分もあった。でも本来、私はカバーが大好きだ。 そして原曲に対するリスペクトはもちろんありながらも、カバーでもオリジナルでもMs.OOJAが歌うということには変わりなく、数ある曲の中からMs.OOJAを選んで聴いてもらえている事実を誇らしく感じている。カバーが導入となりファンになってくれた人もたくさんいる。私にとってカバーもオリジナルも同じくらい大切なものと今ならはっきり言える。 カバーの良さは、リスナーの間口を広げてくれるだけではなく、シンガーとしての経験値を一気にあげてくれるところだ。これはレコーディングをすることで初めて得られる体験かもしれないと思っている。レコーディングをする上では、それこそオリジナルもカバーも関係なくなるからだ。歌手として、ただの1曲と丸裸で向き合って、共同作業をしていく感覚は変わらない。 しかしそこにあるのは、まだ誰にも知られていない新曲ではなく、多くの人に愛され歌い継がれてきた名曲なのだ。あの有名歌手もこの過程を経たのかと、つまり名曲が生まれる瞬間を追体験出来ると言っても良いのかもしれない。 名曲を歌える喜びと、それを歌い継いでいく責任感。それは歌手としてたくさんのことを学ばせてくれている。だから私はこれからもたくさんの名曲をカバーしたいし、それを超えるオリジナルも作っていきたいと、カバーに対する闘志も燃やしている。 そんな中、生まれたのがこの「Cold Kiss」だ。まさに「真夜中のドア/Stay With Me」から感銘を受け、City popをMs.OOJAなりに落とし込んで表現したいと制作していった1曲。うねるようなベースラインと爽快なブラスが、アーバンでトレンディな雰囲気を醸し出しているし、アンニュイみのあるボーカルと歌詞も我ながらとても気に入っている。 この曲はストックではなく、いわゆる書き下ろしだ。まさに今!という感じで作り上げた。素晴らしいアレンジをしてくれたJiNとFutoshi Kawashimaに大きな感謝だ。早くライブで歌いたくてしょうがない。 そういえばこの曲を作りながら思い出したことがある。2019年のSHINE TOURを終え、東京公演を観に来てくれた、10代からの旧友であるHOMEMADE家族のKUROとシンガーソングライターのルンヒャンとご飯を食べていた時のこと。 二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。ステージを見ていてそれを感じたそうだ。OOJAには絶対合う!ヒットする!と言われて正直、当時はぴんと来なかったのだけど、なんとも自然な流れでCity popを歌うことになって、まるで予言のような言葉に驚いている。 「Cold Kiss」がヒットすれば更に予言は大当たりになるわけで、そうなることを強く願っている。 <Ms.OOJA> ◆紹介曲「 Cold Kiss 」 作詞:Ms.OOJA・JiN 作曲:JiN・Ms.OOJA

    2021/08/16

  • MOSHIMO
    いつも泣きたくなったら星を見る。月を見る。
    いつも泣きたくなったら星を見る。月を見る。

    MOSHIMO

    いつも泣きたくなったら星を見る。月を見る。

     2021年8月4日に“MOSHIMO”がフルアルバム『化かし愛』を日本コロムビアよりリリース&メジャーデビュー!様々な恋愛における「シーン」をリアルに赤裸々に切り取った楽曲を中心に、コロナ禍でソーシャルディスタンスが叫ばれる中、ファンへの思いを重ねた楽曲や、ライブシーンで話題のMOSHIMOらしいエネルギッシュな楽曲など全12曲を収録。バンドがメジャーシーンに飛び込む決意の現れた1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放ったMOSHIMOによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回はその最終回です。岩淵紗貴が執筆。綴っていただいたのは、今作のラストを飾る楽曲「 調子どう? 」のお話。コロナ禍の苦しかった気持ち。泣いてくじけて落ち込んだからこそ気づけたこと。これからの意志。様々な想いが込められたこの曲の歌詞とエッセイを是非、受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 調子どう? 」~ コロナ渦、リリースできなくてライブもできなくて すごく苦しい活動をしてました。 この曲はね、皆んなに会えないし 元気にしてるかなっと思って作った曲です。 私からのMOSHIMOを聴いてくれてる人に向けて お手紙みたいな感じかな…!! コロナ渦はずっと続いてるけど皆んなは何を感じて どう過ごしてた?? 正直ね、、、めちゃめちゃしんどかったよ笑 沢山失くして、亡くして、失って。 心がいくつあっても足りない感じ。 落ちるところまで落ちたら 怖いもんなんかなくなっちゃった。 だから言えるけど 思い通りに生きてきたことなんてなかったなって 思い返すタイミングになったよ。 多分、私はとっても欲張りなんだと思った。 好きな事して生きていたつもりだけど 正直、足りない!!!! 表現したりないし、もっともっと自由がいい。 何にも縛られたくない。 もっともっと刺激が欲しい。 知りたい。探しに行きたい。 欲深いことは何も悪いことじゃない!! 見方を変えればいいだけ。 向上心、目指すものが多いだけ。 だからさ、今の自分を否定しないでね!! 経験に勝るものは無いじゃん!? いつも泣きたくなったら星を見る。 月を見る。 今の自分の所在地を確認するため。 天体は未来も過去も現在もぼんやり見せてくれる。 タイムマシーンみたいな感じ。 「調子どう?」の2番は その苦しかった時の気持ちを書いてるんだけどさ 帰り道は一人 星を見る 精一杯駆け抜けて いっぱいいっぱい泣いちゃった 流れ星にお願いは しないで しないで 叶えるもの!! って書いてるのね。 流れ星ってお願いしちゃうじゃん。 でもそれは願いだから自分の叶えたいこと。 つまり目標なんだよ。 沢山亡くした時に、私の1番のお願いは叶わないことが 分かった。 だからお願いはしない!!!! 流れ星を見た数だけ目標や達成する課題があるんだと 思ってる!!!! 沢山見れると可能性がいっぱいなんだと嬉しくなる。 今だってなんとかこうやって繋がっていられる 読んでくれた皆んなに感謝してます。 ありがとう!!!! さぁ、、、今からどんな風になってくのかな? 皆んなと共に生きて泣いて笑ってるバンドでいたいな!! <MOSHIMO/岩淵紗貴> ◆紹介曲「 調子どう? 」 作詞:岩淵紗貴・一瀬貴之 作曲:岩淵紗貴・一瀬貴之 ◆メジャー 1st Full Album『化かし愛』 2021年8月4日発売 COCP-41503 ¥3,000( 税込 ) <収録曲> 01.化かし愛のうた 02.以心伝心ディストーション 03.獅子奮迅フルスイング 04.飛んで火に入る夏の虫 05.倦怠期 06.蜂蜜ピザ 07.青いサイダー 08.3年前に別れた彼はどっかの誰かと結婚したらしい。何とも言えない何とも言えない何とも言えない敗北感の歌 09.断捨離 NIGHT 10.侘び寂び 夜遊び 夏祭り 11.神様ちょっと 12.調子どう?

    2021/08/13

  • 椎名慶治
    ぶっちゃけちまえば「本物」になって君の愛を根こそぎ奪いたい。
    ぶっちゃけちまえば「本物」になって君の愛を根こそぎ奪いたい。

    椎名慶治

    ぶっちゃけちまえば「本物」になって君の愛を根こそぎ奪いたい。

     2021年9月15日に“椎名慶治”がオリジナル5thフルアルバム『and』(よみ:あんど)をリリース!2つの世界(現在、過去)を知ることで、より深く、より強くつながる。今を生き抜くために、後ろを振り返り、【そして】前を見据える。2つの世界をありのままに感じさせる2 in 1な作品となっております。2020年11月10日にソロ活動10周年を迎え、新たなスタートを切る椎名慶治の最新作をご堪能あれ…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“椎名慶治”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 アイムリアル 」の制作秘話です。カッコいい原石(楽曲)を最大限に活かすための歌詞に迷っていたとき、作詞家・野口圭と交わしたやり取りとは。歌詞の裏に詰まった本音とは。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。 ~歌詞エッセイ:「 アイムリアル 」~ どうも椎名慶治(しいなよしはる)です。 知らない人も多いかと思いますが今日覚えてくだされば(笑)。 椎名慶治ソロ名義としては約3年振りのアルバムから「アイムリアル」にスポットを当てて文章書いといて!とスタッフから言われました。 あまりそんな事を過去に言われた事もないなぁと思っていたらなんと!歌ネットさんが掲載してくれるみたいな流れで。 自分の歌詞をど忘れして確認の為に物凄く利用させてもらってます!毎回本当に助かってますありがとうございます!バンザイ!イェーイ! …が、一体どんなエピソードがあったかなぁ?と考え出したら、なんか他力本願な話にしか聞こえなくなりそうなエピソードしかないけど真実だしそのまま書きまーす(笑)。 では、最後までお付き合い頂けたらと。 そして少しでも椎名慶治と言う存在を気にしてもらえればと! 気になったら2021年9月15日にリリースされる『and』と言うアルバムから関係をスタートしませんか!気が早いですか!そうですね! 椎名ソロ初期から一緒に制作をしている山口寛雄(レコ大2回も取ってるすげぇ奴)と作曲した曲で、今回のアルバムに向けて最初に生まれたのが「アイムリアル」でした。自分が思うより更にカッコいい原石(まだ歌詞がないデモテープ)が生まれ(勿論山口寛雄のおかげ)俺は直ぐにペンを取る事が出来なかった。 「ひよった」って言葉が適切なのかな? どうこの曲を最大限に活かせるのか?がパッと浮かばない。間違いなくアルバムで1番の推し曲になると感じていたからこそ。個人名義では3年振りのアルバムと言えどもその間制作が止まる事は一度も無く、別の名義でリリースを続けていました。1年に1枚フルアルバムをリリースしてるんですよ(SURFACEってユニット知ってます?)。コレって結構ハイペース。だからこそなんですけど、ソロとユニットの線引きが自分の中で上手く出来ないでいたんですね。 何をもって個人、ユニット、明確な答えはきっと無いと思うんです(あるのかな?)。それでもやはり少しこだわりたい部分でもある。 じゃないと、 Q:何の為にソロをやっているの? と問われた時に、 A:なんとなく になってしまう。なんとなくやってる音楽を自信をもってみんなに届けられるわけもない。こう言った悩みは初めてではなく、毎回起きる。 ありがたい話でもあるんです。個人名義以外に、ユニットやバンドなど、様々な顔で歌を唄ってきたわけですから。恵まれてるよなって思ってはいるんです。いるけど迷うじゃん!(なんかキレた) そんな時にキッカケをくれるのが作詞家の野口圭(以下:野口)で。小学校低学年からの友人なんだけど、とにかく迷った時はいつも彼に頼ってしまう。 野口は俺に一緒に音楽をやりたいと言ってきた初めての人でもあるんですよ。 結局、実力的に裏方(表現としてあってるのかはわからないけど)として支えてくれる形になりましたが、そんな野口といまだに仕事が出来てるなんて凄い事ですよね。 そんな彼から返ってきた最初の提案を一字一句いじらず、届いたメッセージのまま添付したいと思います。 野口:まだまとまってないんだけどね。 彼女に写真写りが悪いって言われて、それって逆に言えば本物の方がかっこいいってことだよね?みたいな流れで、本物がいいよねとか本物でありたいとか本物になりてーんだよみたいなのってどうかな? ありのままで本物みたいなのもあるけど君に見せたいのはそう言うのじゃないんだよみたいな。 野口の許可は得ていないが(笑)、こんなメッセージが返ってきた。 あ、そうそう、2人のやりとりは主にメッセージだけのやり取り。電話で話すなんてしない。むしろ彼の電話番号を俺は知らない(機種変でデータ消えて以来謎)。 お互いある程度歌詞をいじったら相手に投げる。投げた歌詞を見て更に歌詞を進める(1番までの歌詞が来たら2番を書いたり)。そんなキャッチボールを数回繰り返して形にしていくのが俺と野口の歌詞の書き方。 その取っ掛かりとして、今回テーマが「本物」となったわけです。そこからは話が早かった?と言えばそうでもなく多少時間のかかった歌詞ではありました。 ふざけ過ぎず、真面目過ぎず、軽快なノリで、だけど言いたい事が伝わるギリギリのラインを狙うわけですから。 椎名:野口の歌詞だとBメロで一旦答え出ちゃった気がするんだよね。 野口:そう!Bメロなんだよね!Bメロがサビ側のチームにいるのが問題だったんだよね!俺も今日それに気づいたw ありがとうございます。その感じで進めてください。 椎名:御意。 今度は逆に野口が俺に歌詞を預ける。こうやってお互いの得意そうな部分を相手に任せる事で更に歌詞の精度を上げていける。なかなかこんな書き方をするアーティストはいないと思う。 そこから今度は2番までを書いて野口に送る。 椎名:ねぇ 逆に君ってば スマホの中じゃキラメイちゃってるけど あぁ 最近ちょっと もしかして 太ってきて…いやなんでもないです 野口:2Aいいなぁ 元々描いたテーマから大きくそれないように、何度もやり取りを繰り返して行く中でゴールを目指していく。 途中からはこの歌詞の世界観だけではなく、自分自身がもっと「本物」のアーティストになりてぇなぁなんて想いもこの曲にぶつけていた事を覚えています。 その全てをぶつけるラストサビの、専門用語で言えばオチサビなんて言われる2行に全ての想いを託しました。 ぶっちゃけちまえば 「本物」になって 君の愛を根こそぎ奪いたい 結局愛されたい!なわけです(笑)。その為にはもっと素敵な人(本物)にならないとね!ってアーティストとしても同じ事が言えるなぁと。 ミニマムな恋愛の歌詞でありながら、その裏には本音が詰まったそんな歌詞になっていますよと。 ソロで10年が経ちました。 ソロとしても様々な楽曲を歌ってきましたが、いまだにこんな凄い曲(断言します凄いです)を世に生み出せる事に安堵してるし、俺は本当に周りに恵まれているなぁと。 俺より才能溢れる右腕が何本もあります(笑)。 コレからも他力本願で素晴らしい楽曲を作り続ける所存です。← 是非一度聴いてみてくださいね。 先ずは「アイムリアル」から!  その先はフルアルバム『and』がありますからね! 気が早いですか!そうですね! <椎名慶治> ◆紹介曲「 アイムリアル 」 作詞:椎名慶治・野口圭 作曲:椎名慶治・山口寛雄 ◆オリジナル5thフルアルバム『and』 2021年9月15日発売 HWCL-0046 ¥3,300(税込)

    2021/08/12

  • THE BEAT GARDEN
    ぼくの音楽は音楽以外で出来ている。
    ぼくの音楽は音楽以外で出来ている。

    THE BEAT GARDEN

    ぼくの音楽は音楽以外で出来ている。

     2021年8月4日に“THE BEAT GARDEN”がニューアルバム『余光』をリリース!DJのSATORUが脱退することもあり、今作が現体制最後の作品です。前作以降にリリースされたシングルと、書き下ろしの新曲「好きな人がいる人を好きになった」、「Everglow」を追加した計11曲が収録。デビュー以来掲げてきた"EDR=エレクトリック・ダンス・ロック"に縛られることなく音楽性の幅を果敢に広げた、会心のアルバムに仕上がっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BEAT GARDEN”のUによる歌詞エッセイをお届け!音楽は音楽以外で出来ている。その“音楽以外”の大切な記憶や感情を、2012年の“あの頃”までさかのぼって、綴ってくださいました。そして2021年の今、彼が想うこととは。是非、今作の歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 ~歌詞エッセイ~ 音楽は 音楽以外で出来ている。 誰かが言ってた。 リズムと言葉 メロディーと和音。 鳴っているのが これらだとしても 辛いとき 幸せなとき 描き方も 聴こえ方も 同じはずがないから だから その言葉をずっと信じている。 THE BEAT GARDEN アルバム『余光』リリース。 ――2012―― 東京、大阪、名古屋を中心に ベタ踏みでも80kmしか出ない ボロボロの軽バンに乗って 路上ライブで行脚していた。 事務所が決まっても 動員も曲もほとんど 生み出していないから バイトをして 夜中に出発して 目的地に着くと いい感じの道に停めて車内泊。 リクライニングできる広さはない。 背中はみんな90度。 冬は寒くて夏は暑い。 花粉で嫌いだった 春と秋が少し好きになった。 当時スタッフをしてくれていた 地元の後輩さとるは 20歳を越えても高校に通っていて 家がなく車に住んでいた。 それでも会うときは スタバを差し入れてくれたり 洋服も高そうなブランド物を身に付けていて そのお金があったら部屋借りたら?と 総ツッコミを入れても 断固として駐車場に住み続ける 不思議なやつだった。 ちなみに車は ホンダの“LIFE”に乗っていて 「おれLIFEでLIFE送ってるっス!」と ニカっと笑う彼が 冬を越せるのか心配になった。 その後。 迷いなく人生を生き続けた彼は 春を迎え DJ SATORUになった。 ―――― 一方、僕は迷っていた。 音楽の枝分かれは どんどん加速している。 ロックだけでも パンク、ヘヴィ、ハードコア、サイケ、グランジ、シューゲイザー、グラム、ガレージ、オルタナティブ 好みを分かりやすくする為のものが 余計に分かりづらくさせてる感さえある。 それに加え やりたい音楽と やり続けられる音楽はちがう とか 楽器、ダンス、コーラス 全部出来るけど中途半端だ とか 考えすぎて余計に 行き先が不透明になっていく中で 先輩のツアーの手伝いをして 移動中に車の中で曲をつくって 夜はクラブでライブをして ただただ 流れに流されながら 「握手会」を 始めることになった。 ――握手会―― 初めてそれを見たのは 派遣のアルバイトで設営に行った時。 幕張メッセで椅子を並べながら 「大変そうだなー」と あんなに縁遠いと思っていた 世界線。 そこにいま 立っている。 とある対バンの日 ずっとうしろのほうで 携帯をいじっている二人組。 そうね。 何言っても伝わんないよね。 イライラして 歌い終わって 真っ暗なステージ袖の壁を殴って ヘコんで 手の甲も腫れて もうそのままひとりで帰りたかった。 そんな日でも どんなに 今日のライブはダメだって日でも 自分と話してみたいと 思ってくれているひとがいるかもしれない。 だからすぐに気持ちを立て直して 握手会にいかないといけない。 トイレで水をバァーと出して 冷やした。 少し遅れて物販に行くと いつもの あの人が はじめましての あの子が 嬉しそうに 並んでくれてた。 ―――― 眠れなくなるくらい 食べることを忘れてしまうくらい 声が出なくなるくらい 伝えたい 歌いたい 何かが確かに宿ったのは この「握手会」だった。 手の甲が腫れたあの日からずっと 大事な時間。 目標をもって動いているひと 目的を探しているひと 何もないと言いながら 何もないとは真逆の 忙しい毎日を過ごしているひと。 何かと戦っている人たちばかりだ。 ぼくはみんなと 一緒にいい風に年をとって 一緒にあがっていきたいと思ってる。 ゆっくりだけど ずっとよくなってきた。 年をとるのが嫌ではないのは みんなのおかげ。 味方がいるっていいな。 味方でいたい。 間違えていてもいい。 この道を進むんだ。 話す度に そう思える。 だからもう 迷っていない。なう。 ――2021年―― 12ヶ所24公演 自身最大規模の全国ツアー。 こんな時期だというのに チケットがSOLDOUTしてくれた。 ずっとドキドキしてた。 会社の人たちも喜んでくれた。 ほんとにありがとう。 チケットを取れなかった 今回会えなかったあなたにも また必ず会いに行かせてね。 ごめんね。 元気でいてほしい。 やっと歌える。 Beemer(最高に人間らしい粋な仲間達) 事務所やシグマのみなさん ライブハウスのみなさんも 消毒 検温 ソーシャルディスタンス 会場の確保 移動の手配 SNSのメッセージ 手にあざができるほどの拍手 今まで以上に一緒にライブを 作ってくれているに他ならない。 覚悟を持って来てくれたひと 覚悟を持って行かないことを選んだひと みんなと みんなが また会えるように。 今日を繋いでいきたい。 そんなふうに考えていると ベッドに入っても眠れなくなって 3時間も経ってしまった。 瞼は重いのに 脳は軽やかに動き回って どういうことなのあれ。 同じ体なのに 主人は眠たいと申しているのに なんで 眠ってくれないの。 なにか 魔法が使えるようになるなら いつでもすぐに寝られる 魔法がほしい。 その時は 女の子の抱き枕も セットで出しちゃう。 (もっと眠れない) (いやん) さらに 喘息が出た。 こうなるとやばい。 寿命が5年縮まってもいいから ライブのとき お願いだから 声が出て欲しい 大袈裟ではなく そう思った ――グループ―― 4人のグループLINEに 「寝れない」と送った。 深夜2時。 既読2人。 日付変わって 今日になっても明日のイメトレを続けるREI (もはや本番) カップラーメンを食べてるSATORU (まじで浮腫め) 爆睡するMASATO (当日は寝坊。なんでやねん。) 喘息の漢方を飲んで LINEをしてたら眠ってた。 当日は 無事に声も出て良かった。 グループでよかった。 ――余光―― このアルバムも リリース当日にオリコン3位をいただいて ビートガーデンも 少しずつ ランクイン出来るようになった。 素直に うれしい。 いい曲だね。 いい歌詞だね。 褒めてもらえるのは 描いた本人だけかもしれない。 もちろん 聴いてくれるひとに こちらの事情全てを思い浮かべて 踏まえて聴いてほしい なんて 思わない。 ただ、 マイクを持たない スポットライトにも当たらない 誰かがいて 生まれる言葉があって ぼくは あなたと出会えて変わって 音楽をして 生きている。 これから先 いちねん先 じゅうねん先 どんなじぶんに どんなあなたに どんな音楽に 出会えるんだろ。 ―――― 陽が沈んでも 消えない光を「余光」と呼ぶ。 悲しいことがあっても 強い逆風に 晒されて 消えそうになっても。 何度でも もう一度 もう一度って 昇っていくんだ。 辛いとき 幸せなとき あなたの“LIFE”でも この「余光」が流れてくれたら 幸せです。 ぼくの音楽は 音楽以外で出来ている。 THE BEAT GARDEN / U 最後まで読んでくれたみなさん Beemerのみんな 歌ネットさん いつもありがとうございます。 これからもビートガーデンを 何卒よろしくお願い致します。 ========== ◆ニューアルバム『余光』 2021年8月4日発売 <収録曲> 01マリッジソング 02 Snow White Girl 03 遠距離恋愛 04 Morning Glory 05 夏の終わり 友達の終わり 06 好きな人がいる人を好きになった 07 光 08 ぬくもり 09 Everglow 10 スタートボタン 11 エピソード

    2021/08/11

  • フレンズ
    夜よ、このまま明けないで。
    夜よ、このまま明けないで。

    フレンズ

    夜よ、このまま明けないで。

     2021年8月4日に“フレンズ”が2ndフルアルバム『SOLAR』をリリースしました。本作には、ドラマ『きのう何食べた?』の主題歌「iをyou」をはじめ、数々のタイアップに起用されたこれまでのシングル曲のほか、新曲「東京今夜」を含む全15曲を収録。加えてBonus Rare Trackとして新録で「NIGHT TOWN(神泉ver.)」まで収められた、これまで以上の多彩なサウンドが詰まった、まさにフレンズの真骨頂と言える作品となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“フレンズ”のおかもとえみによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 東京今夜 」にまつわるお話です。東京の夜の中、とあるひと言から蘇ってきた光景とは…。みなさんにとって“東京”とはどんな存在の街ですか? ~歌詞エッセイ第1弾:「 東京今夜 」~ 東京の夜は冷たく光っている。 夜の帳が下りた後、駅前で別れを惜しみながら抱き合うカップル、一方ビルの隙間からは微かにすすり泣く声、それをなだめる低い声。2人の愛は私にまでたどり着いた。正直、家でやってくれ!と思いながら横目で見つつ通り過ぎた時、「帰りたくない」という一言が聞こえてきた。その一言は、私をタイムマシーンに乗せた。 2010年、8月、0時、渋谷駅。当時学生だった私は実家に住んでいた。門限を守るタイプだったので、基本的に終電には間に合うように帰るようにしていた。 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気付けば終電ギリギリの時間に。その頃、たまにバイトをするくらいでお金もそんなに持っていなかったので、タクシーに乗るという選択肢は頭にもなかった。 時間は刻々と迫っている中、今日を振り返ってみたり、次のデートの行き先について話してみたり。2人の時間を少しでも伸ばそうと、昨日見たドラマの考察をもう一回してみたり、友達の噂話をしてみたり。話せば話すほど名残惜しい。 恋をしているその瞬間は、いつも見慣れている風景が舞台のセットの様で、書き割りの空の下、大きくて丸い月のスポットライトが優しく見守ってくれているような気持ちになった。 このまま何処かへ行けたらいいのだけれど。願いが叶わない夜の終わりはとても短い。 人混みの中、彼の後ろに広がる景色は誰もが思い描く東京だった。 東京は華やか。 東京は夢を叶える場所。 東京は私をドラマの主人公にしてくれる。 東京。 「またね。」の、余韻を残したまま電車に飛び乗る。満員電車に揺られながら今日のことを思い出しては愛しさで胸が苦しくなった。 東京のイメージを こう描いている人の声もよく耳にする。 東京は冷たい。 東京は怖い。 東京はずるい。華やかでいて冷たいんだから。あの日の気持ちとリンクしてしまった。 2021年の東京にもあの日と同じように、駅前にはカップルがいる。あと数分で最終電車がやってくる。愛してるって言ったって構わず電車はやってくる。東京の夜は冷たく光っている。 夜よ、このまま明けないで。 <フレンズ・おかもとえみ> ◆紹介曲「 東京今夜 」 作詞:おかもとえみ 作曲:おかもとえみ ◆2ndフルアルバム『SOLAR』 2021年8月4日発売 初回盤 AICL-4030-4031 ¥4,400(税込) 通常盤 AICL-4032 ¥3,300(税込) <収録曲> 1.東京今夜 2.急上昇あたしの人生 3.FUTURE PEOPLE 4.Hey Boy Hey Girl 5.夢って 6.海のSHE 7.元気D.C.T~No at all~ 8.いつものサタデー 9.iをyou 10.8月31日の行方 11.約束 12.あくびをすれば 13.楽しもう 14.ボルテージ! 15.いいんじゃない?

    2021/08/10

  • MOSHIMO
    バカなこともくだらないことも一緒に笑って。ね。
    バカなこともくだらないことも一緒に笑って。ね。

    MOSHIMO

    バカなこともくだらないことも一緒に笑って。ね。

     2021年8月4日に“MOSHIMO”がフルアルバム『化かし愛』を日本コロムビアよりリリース&メジャーデビュー!様々な恋愛における「シーン」をリアルに赤裸々に切り取った楽曲を中心に、コロナ禍でソーシャルディスタンスが叫ばれる中、ファンへの思いを重ねた楽曲や、ライブシーンで話題のMOSHIMOらしいエネルギッシュな楽曲など全12曲を収録。バンドがメジャーシーンに飛び込む決意の現れた1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放ったMOSHIMOによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。岩淵紗貴が執筆。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 倦怠期 」のお話。ずっと好きな気持ちはお互いに変わらないと思っていたのに、最近“倦怠期”かもしれない…。モヤモヤを抱えているあなたにこの歌詞とエッセイが届きますように! ~歌詞エッセイ第2弾:「 倦怠期 」~ 前回は「化かし愛のうた」のコラムを 書かせてもらいましたが今回は「倦怠期」。 表記だけ見るとすっごく重っ苦しく感じるよね。 でもね、この曲は倦怠期すら楽しんじゃおう!! っていう前向きな気持ちの歌になってます。 うーーん。本当は倦怠期とか来なくていいじゃん ずっと好き同士なんだから疑わなくていいし 一緒にいるだけで幸せ~!!♪ で、いいはず。理屈?理論?ではね。 でも気持ちはそうじゃない。 人間ってそんな単純な生き物じゃないじゃん!?笑 きっとお互いの事をどんどん知れば知るほど 気付いて欲しくて、知って欲しくて 求めちゃう。 感情と思考は別モノ、 そんな事考えて恋愛もしないけどさぁ。 恋愛は「楽しい。自分が喜びを求める」 こころの部屋だから 繰り返す毎日に ちょっとした刺激が欲しくなっちゃう!! だから倦怠期が来ちゃったら逆に理性を使って 「倦怠期来ちゃってね~~~どーするぅ??」 ぐらいの軽いノリで笑い合えるように 持っていけたらとっても最高!! いい未来を描くの。 嫌なことも苦しいことも2人で乗り越えていく未来 一緒に笑って泣いて、 時には八つ当たりしたり愚痴ったり。 でも2人で一緒にいるビジョンを お互い言葉に出してカタチにしておく。 そしたらきっと2人でその未来に進もうとする。 きっと…… そうでありたい どこまでも一緒に行こう。 バカなこともくだらないことも一緒に笑って。ね。 ごめんね。ありがとう。って ちゃんと伝えられたら大丈夫。 時間が解決してくれることが沢山あるからね!? 大好き!!!!って言っていつでもハグしちゃえ!! <MOSHIMO・岩淵紗貴> ◆紹介曲「 倦怠期 」 作詞:岩淵紗貴・一瀬貴之 作曲:岩淵紗貴・一瀬貴之 ◆メジャー 1st Full Album『化かし愛』 2021年8月4日発売 COCP-41503 ¥3,000( 税込 ) <収録曲> 01.化かし愛のうた 02.以心伝心ディストーション 03.獅子奮迅フルスイング 04.飛んで火に入る夏の虫 05.倦怠期 06.蜂蜜ピザ 07.青いサイダー 08.3年前に別れた彼はどっかの誰かと結婚したらしい。何とも言えない何とも言えない何とも言えない敗北感の歌 09.断捨離 NIGHT 10.侘び寂び 夜遊び 夏祭り 11.神様ちょっと 12.調子どう?

    2021/08/06

  • 瀬川あやか
    どうか想いを巡らせてください。
    どうか想いを巡らせてください。

    瀬川あやか

    どうか想いを巡らせてください。

     2021年7月7日に“瀬川あやか”がニューアルバム『Sprinkler』をリリースしました。今作には、“メガネのプリンス”CM曲の「DIAMOND」「アイシテル~心を込めて~」、UHB“サツコレチャンネル”テーマソング「アイデンティティ」等を含む全10曲を収録。約2年半ぶりとなるアルバム、歌詞を味わいながらじっくりご堪能あれ…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“瀬川あやか”による歌詞エッセイをお届け!今回は最終回です。綴っていただいたのは、アルバム『Sprinkler』というタイトルに込めた気持ちと、収録曲「 Someday, Someone 」に通ずるお話です。みなさんも“想いが巡る”という感覚を覚えたことはありませんか…? この歌詞とエッセイに込められた想いも「いつか、誰かの」力になりますように。 ~歌詞エッセイ最終回:「 Someday, Someone 」~ 初めましての人も、そうでない人も、今日から推しにどうですか?、、、ゴホン。読んでいただきありがとうございます。瀬川あやかと申します。 早いもので今回が最後のうたコラム。SNSで分かる範囲ですが、読んでくださった方々のリアクションが私のもとにも届いております。励みに感謝いたします。第3回もどうぞ最後までお付き合いくださいませ。そしてもしよかったら聴いてやってください。 リリースから1ヶ月が経ったアルバム『Sprinkler』。うたコラムでは既に「DIAMOND」「Laugh to Laugh」と、そこに収録されている楽曲について書かせていただきました。今回は今作のリードトラックになっている「Someday, Someone」のお話。 まず、アルバムのタイトル『Sprinkler』の意味なんですが、みなさんが10人中10人が思い浮かべたであろう、天井についている防火設備、もしくは芝生などに置かれている水やり機、それらでとりあえず間違いはありません。ただ、私がこの言葉をタイトルにした理由はその物ではなく、自分から出せる精一杯の愛やパワーや勇気や希望を声と音に乗せて「巡ってけ!ばらまけ!まき散らせ!」という想いを込めての『Sprinkler』でした。 なのでこの1枚に世界観というものは実は無く、どちらかと言えば全10曲いろんな表情を持った子たちを集めました。1枚を通して聴いた時に、どれかのほんの一言や一音が、誰かのお役に立てるようなことがありますようにと作った一枚です。 「巡ってけ!」と思ったのは「巡っていける」と思ったからです。優しさが巡るという感覚、不快な感情が巡るといった経験は、誰しもが感じたことがあるのではないでしょうか。人に優しくされた時って気持ちがとてもルンルンで、この嬉しさ100人くらいにばらまいたろか!って思えるくらい幸せな気持ちになります。 反対に、辛いことやストレスフルなことって、あったはずの人の心の余裕や余白を奪ってしまう物だと思うんです。誹謗中傷をSNSなどでする人も、きっかけはその人自身が誹謗中傷を受けた経験があったからなのかも。つい最近、大きな荷物を持っていた私が邪魔だったのか、駅のホームですれ違ったおじさんに思い切り足を踏まれたことがありました。もちろんわざとじゃなかったのかも知れませんが悲しかったです。故意だとしたら、おじさん何か嫌なことあったのかな。 そんなふうに気持ちは巡ります。でも巡るものは、できるなら全部優しい方がいいです。そしてそれは「今、あなたの」力になれなくても、巡り巡って「いつか、誰かの」力になれたらいいなと「Someday, Someone」を書きました。「誰かの」には「あなたの」も含まれています。 現実、私もデビューしてからの5年間はたくさんの出会いと別れを経験しました。今の自分ほどには、大事に出来なかった出会いもあったかも知れません。それは仕事の人も大好きだった人もそうです。どんな感情でも、少なからず自分を作ってくれた人たちに「今」という瞬間で果たせなかったものを、巡り巡って届けることが出来たらいいなと思っています。 どうか想いを巡らせてください。嬉しさや楽しさは連鎖します。辛い時こそ無理に笑う必要はありませんが、そんな時は周りからたくさんの優しさをもらってください。甘えてください。思ってるより人は独りじゃないし、独りになる方が難しかったりします。大事なことなので、、、どうか想いを巡らせてください。偉そうなこと言って、私もつい余裕も余白もなくしてしまうことが多々あるので、そんな時はみんなから優しさをいただきます(それはまるで吸血鬼のように)。 世界を巡って 誰かを支えて たくさんの愛を生み出していく そんな歌がうたえたらいいな いつか回って 誰かが君をその愛で包んでくれたならいいな そんな日を探していた 最後まで読んでいただきありがとうございました。別に世界を変えようと音楽を始めたわけではありませんが、今までもこれからも、それが歌じゃなくても、優しさ巡っていきますように。 巡っていける愛だけは いつかまたどこかで。したっけね! <瀬川あやか> ◆紹介曲「 Someday, Someone 」 作詞:瀬川あやか 作曲:瀬川あやか ◆4thアルバム『Sprinkler』 2021年7月7日発売 PNR-002 \3,000 <収録曲> 1.FILTER MAGIC 2.真っ白なジグソーパズル 3.Laugh to Laugh 4.アイデンティティ 5.プリザーブド・メモリー 6.もう一回 7.アイシテル~心を込めて~ 8.DIAMOND 9.アンコール 10.Someday, Someone

    2021/08/05

  • Hakubi
    凜とした私で「ただいま」を言えるように。
    凜とした私で「ただいま」を言えるように。

    Hakubi

    凜とした私で「ただいま」を言えるように。

     2021年9月8日に“Hakubi”がメジャーデビューアルバム『era』をリリース。先行配信シングル「アカツキ」「在る日々」「道化師にはなれない」、そして映画『浜の朝日の嘘つきどもと』の主題歌「栞」を含む全12曲を収録。バンドが歩んできたこれまでの歴史と、図らずもこの1年、一変した生活。その中で、自らと向き合いながら、それでも前に強く突き進んでいく、これから先の“時代”へのメッセージを詰め込んだ意欲作です。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hakubi”の片桐(Vo.)による歌詞エッセイをお届けいたします。今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作に収録される新曲「栞」のお話です。今の自分にたどり着くまでに、支えてくれた大切なひとたちを頭に浮かべながら、このエッセイと歌詞を受け取ってください。   ~歌詞エッセイ第2弾:「栞」~ お久しぶりです。Hakubi vo./gt. 片桐です。 先月に引き続きエッセイなるものを書かせて頂きます。 今回は、1st Album『era』の一曲目に入っている 「栞」という曲です。 この曲は、 映画『浜の朝日の嘘つきどもと』の主題歌として 自分自身の学生時代に支えてくれた友人や家族、先生を思い浮かべ書き下ろした楽曲です。 拙い文章ではありますが、お付き合いください。 「栞」 横断歩道で信号待ちをしている後ろ姿が とても似ていて急に声が聞きたくなった。 電話をかけると、一言で自分だと気付いた。 照れ臭くなって、 「なんでもない、似ている人がいたから」 そう伝えると、 それだけでも嬉しいのだと笑っていた。 不思議とその声がどんな顔をしているのかわかった。 昔の自分は何もかもを諦めていた。 学校の人間関係も、ずっとやっていたスポーツも、 1番になれなかった自分にはもう何もない、 価値がないのだと塞ぎ込んでいたことがあった。 優しい言葉もうまく受け取れずに 嫌味に聞こえてしまうくらい張り詰めていた。 何も知らないくせに、と 怒りをぶつけてしまった事もある そんな自分にも変わらずあっけらかんとした 「いってらっしゃい」「おかえり」をくれた その言葉が救いだった。 高校卒業を機に、 地元である岐阜を出てしまった私は、 年に2、3度ほどしか顔を見せなくなってしまった。 音楽をやって今度メジャーデビューすることも、 ちゃんと伝えられていないのだ。 その人がくれたものは大きすぎて まだ返しきれないけれど、 いつか強くなった姿を見せられるように 凜とした私で「ただいま」を言えるように 精一杯今日も歌い続けようと思う。 <Hakubi gt./vo. 片桐> ◆メジャーデビューアルバム『era』 2021年9月8日発売 初回限定盤 WPZL-31869 ¥4,000(税込) 通常盤 WPCL-13298 3,000(税込) <収録曲> 1 栞 2 在る日々 3 辿る 4 フレア 5 :|| 6 道化師にはなれない 7 color 8 灯 9 mirror 10 誰かの神様になりたかった 11 悲しいほどに毎日は 12 アカツキ

    2021/08/04

  • 須澤紀信
    生きるということは心の中にドライフラワーの花束が増えていくこと。
    生きるということは心の中にドライフラワーの花束が増えていくこと。

    須澤紀信

    生きるということは心の中にドライフラワーの花束が増えていくこと。

     2021年7月21日に“須澤紀信”が最新EP『遠近法-Reconstruction of perspective-』をリリース!1年前から続く新型コロナウィルスによって新しく生まれた、肘でのタッチ、マスク越しの会話、オンラインでの授業やテレワークなど、コロナ禍の「ニュースタンダード」とよばれる新しい「距離感」の中で、過去の常識との間で生まれる「孤独」を須澤紀信の独自の視点を通して再構築した5曲が収録されております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“須澤紀信”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回はその最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ドライフラワー 」に通ずる想いです。彼が“ドライフラワー”という存在に重ねたものは…? 恋の終わりを引きずっている方、どうしても忘れられないひとがいる方、是非このエッセイと歌詞を受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 ドライフラワー 」~ 知り合いのミュージシャンに、お客様からいただいた花束は全てドライフラワーにして飾っているという方がいらっしゃいまして、興味本位に、部屋に吊るしてあるというドライフラワーの写真を見せていただいた。部屋の壁にズラッと逆さまに吊らされている花束。「こうやって水分を抜いていくんだよ」と説明を受けながら僕は、枯れているけど咲いているという矛盾を両立させているその不思議な存在に、どこかときめきに似た感情を抱いていたと思う。 枯れているけど咲いている。視点を変えると、咲いていないし枯れていない。忘れられない人や過去に想いを寄せ、現在も引きずってしまっているこの女々しい気持ちを比喩するに値するものと、ようやく出会えたと思った。 皆さんは恋の終わりからすんなりと立ち直ることができる人だろうか。それとも時間がかかる人だろうか。残念ながら僕はとても時間がかかるタイプだと思う。いや、思うというか、断言できる。ちゃんと引きずるタイプだ。軽く年単位で引きずる。ずーーっと匍匐前進(ほふくぜんしん)していると想像してくれるとわかりやすい。辛いし痛いし、いい加減ハイハイくらいには進歩したいと思いながら、一応前を向いている状態を年単位で。亀の歩みといい勝負だ。横をうさぎさんに追い抜かれながらいつか二足歩行になる日を夢見る。そんな傷心ボーイ。 いろんな考え方や捉え方があるけれど、僕は、一度大切に想った人はこの先決してどうでもいい人にはならない、と思っている。初恋の人然り、友人然り、家族然り…どんなに疎遠になっていったとしても、人生の一瞬一瞬をその人と色付けた事実は変わらない。結果として別々の道へ進んでいったとしても、あの時あの場所で同じものを見て聴いて感じた、その瞬間があるからこそ現在があり、それぞれの今がある。その時の二人でなければ咲かせられなかった色の花が、お互いの心に存在し続けているはずだ。 生きるということは心の中にドライフラワーの花束が増えていくことだと思う。記憶の中で色褪せていくものたち、けれど“思い出”というカテゴリーの中で枯れながらに咲き続けるそれらは、忘れさえしなければいつまでもそのままの形で残っていてくれる。二度と風に揺れることも匂いもしないけれど、散ることもない。そしていつか、そんな数えきれないほどのドライフラワーの中に数輪だけ、枯れることのない花が咲く。 古代エジプトの王アレキサンドロスは「真の愛にハッピーエンドはない 何故なら真の愛に終わりはないからだ」と言った。 永遠に咲く花を、今日も僕らは探している。 <須澤紀信> ◆紹介曲「 ドライフラワー 」 作詞:須澤紀信 作曲:須澤紀信 ◆『遠近法 -Reconstruction of perspective-』 2021年7月21日発売 YCCW-10387 ¥1,650(税込)/¥1,500(税抜) <収録曲> 1.ドライフラワー 2.パセリ 3.希望のうた 4.一匙の魔法 5.アソート -remix-

    2021/08/03

  • 島爺
    閃いたフレーズが歌詞冒頭の<天が唾を吐いた>だった。
    閃いたフレーズが歌詞冒頭の<天が唾を吐いた>だった。

    島爺

    閃いたフレーズが歌詞冒頭の<天が唾を吐いた>だった。

     2021年7月28日に“島爺”が5th Album『御ノ字』をリリースしました。6月~Netflixで全世界配信のアニメ『終末のワルキューレ』のEDテーマとなる「不可避」や、NHK特撮ドラマ『超速パラヒーロー ガンディーン』主題歌のほか、島爺のために7名の作家が書き下ろしたオリジナル楽曲が全9曲収録された待望の新作となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“島爺”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「 不可避 」のテーマ決めからメロ作り&作詞までのお話です。神と人類の戦いを描いたアニメのED曲として書き下ろされたこの曲。現実世界でわたしたちにとっての「神からの攻撃」に近いものとは…? 是非、歌詞と併せてお楽しみください。 ~歌詞エッセイ:「 不可避 」~ 2021年6月からNetflixで開始されるアニメ『終末のワルキューレ』のエンディングテーマを任せていただけることになった。不勉強ながら原作を存じ上げなかったので買い集め、ただただ読む。ひたすら読む。何度も読む。 やばい。めちゃくちゃ面白い。 大雑把に書けば「神 VS 人類のケンカ13番勝負」。物凄い発想だし、それぞれのキャラクターが背負っているストーリーの描き方も丁寧。こりゃあアニメ化も楽しみだ。というか、Netflixで全世界に公開されてオープニングはマキシマム ザ ホルモンさん、エンディングは島爺。これはなかなか…下手こいたら死ねる案件だなぁ…、と覚悟を決めて制作開始。 アニメ本編では神と人が殺し合いをし、それを受けてのエンディングなので刺々しくヒリついた感覚を癒す雰囲気が必要だと考えた。壮大なレクイエムのようなものをイメージしながら大体のコード進行を作成。作ったことのない雰囲気だが意外と良さそう。イメージ通りに具現化できればかなり良い曲になる予感。予感だけですけど。 ここからメロと詞を書いていくわけだが、どうしたものか…。何か取っ掛かりはないものか…。 原作で印象に残ったのは「アダムの戦う理由」。気になったのは、現時点ではまだ詳細が明らかになっていない「ブリュンヒルデが人類を守ろうとする理由」。ブリュンヒルデのほうはまだ分からないので推測だが、どちらにも共通しているのは「何かを守るための戦い」ということだろうか。 しかしそれだけではまだテーマが朧気なので、何か他に無いかと再度原作を熟読。読んでいる内にふと「神様から滅亡を宣告されること」の残酷さが頭を過る。 神から言われちゃったら最早どうなったって悲劇だよなぁ…。普通は滅亡を受け入れるしかないだろうし。この作品のようにタイマン勝負ができたとして、仮に勝てたとしてもその先には「神を殺した・神のいない世界」に生きなければならない。どちらにせよ何かを失うことはもう避けられないのか。 と考えた辺りで、「現実世界で言うと、神々から宣戦布告されることってどういう状況だろう?」という疑問から「天災・自然災害」が思い浮かんだ。東北大震災の時TVで何度も見たあの津波の映像と、それを見ていた当時の絶望感。少なくとも僕が生きてきた人生の中で「神からの攻撃」と呼ぶのに最も近いものは、あの光景だった。 ここでやっとテーマが出揃った。ような気がした。「神々の攻撃(天災)から大事なもの(家族・人類)を守るために命を懸けて戦っている状態」をイメージしながらメロと詞を書いていこう。イメージさえ固まれば言葉は色々出てくるはず。大丈夫。過去、作ってきたものは全てそうだった。 ところがどっこい。 言葉は出てこない。正確に言うと、出てきてはいるが全くピンとこない。今まで作ってきたものと比べてスケールがデカすぎるのか。シリアスすぎるのか。とにかく全く納得できない。 納得できない理由もいまいち分からないまま、アコギでコードを弾きながら鼻歌を延々と歌いつづけた。「何か違う」「これじゃない」「こんなもん使えるか」とブツブツ独り言。日本語詞じゃダメなのか、とも思った。しかし生半可な英語詞では全世界公開に耐えられる気がしない。どうしよう。イメージを思い浮かべながらただただアコギをつま弾く日々。何か思いつけ。俺。 そんな日々の中、不意にメロディと同時に閃いたフレーズが歌詞冒頭の<天が唾を吐いた>だった。 恐らく、序盤で曲の世界観・スケール感を提示したいのに、それらしい言葉を使うとわざとらしくとってつけた様に聴こえてしまい、それ以降の言葉が紡げなくなってしまっていたんだろう。 <天が唾を吐いた>は、原作冒頭の人類存亡会議をそのまま表現できているし、「天に」ではなく「天が」にすることでフックが効いている。おまけにスケール感も示せているのですんなり曲の世界に入ることができる。助かった。これで言葉を紡げる。 事実、このフレーズが出てからは早かった。原作で印象的だった「人間よ 祈るのはおやめなさい」のシーンも少し変化させて入れられたし、絶望感も悲壮感も、覚悟も入れられた。 作詞の段階で鳴っていてほしい音のイメージも浮かんできたので、それに近づけるようデモを作成。ピアノの低音とかTrap的なハイハットチキチキとか。それを編曲のナナホシ管弦楽団大先生に聴いてもらい編曲が始まっていくわけですが、それはまた別のお話。 今回は島爺の曲作り『「不可避」のテーマ決めからメロ作り&作詞』までを読んでいただきました。ありがとうございました。また機会があれば、是非。 <島爺> ◆紹介曲「 不可避 」 作詞:島爺 作曲:島爺

    2021/08/02

  • Amber's
    それぞれの得意分野があって、それぞれに合った生き方が必ずある。
    それぞれの得意分野があって、それぞれに合った生き方が必ずある。

    Amber's

    それぞれの得意分野があって、それぞれに合った生き方が必ずある。

     豊島こうき(Vo.&Gt.)、福島拓人(Gt.&Programming)からなる2人組バンド“Amber's(アンバーズ)が新曲「DRIVE」と「アブノーマル」を2作連続配信リリース!1作目の「DRIVE」は2021年6月18日に配信リリース、2作目の「アブノーマル」は7月30日にリリース。2曲ともAmber'sのTikTokアカウントで既に公開されているものから、さらに磨きのかかった音源となっております…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“Amber's”の福島拓人による歌詞エッセイをお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、新曲「 アブノーマル 」に通ずる想いです。アブノーマル=通常ではない、普通ではない。そういう自分の居場所がなく今、息苦しい日々を送っているあなた。この楽曲とエッセイを受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 アブノーマル 」~ 僕もあなたも、なにも劣ってはいない。変人、奇人でもない。出来損ないというわけでもない。ただ単にそういった性質を持った人間なだけだ。自分を卑下する必要は全く無い。とはいえ、その性質を理解してもらえなくて肩身の狭い思いをしたり、上手く言葉に出来なくて心と身体が噛み合わない瞬間を経験した人はたくさんいると思う。きっと、その性質とちゃんと向き合う事が僕らには必要なんだと思う。 そんなことを自分にも言い聞かせながら、新曲「アブノーマル」を制作して感じた想いを皆さんに届けたいと思う。 自己肯定力が下がって、他人からの不当な扱いにいつの間にか慣れている日がある。 「自分は変わってるんだ。自分のせいで秩序を乱してしまうかもしれない。」 誰かが作った普通に合わせて、自分を偽り、話を合わせれば、確かに波風は立ちづらいかもしれない。自分のプライドを大きく傷付けなくて済むかもしれない。 けど、そうじゃ無いハズだ。 そもそも同じ人なんて存在しないわけで、人は生まれながらに誰もが個性的な性質を持っている。月並みな言葉だけど、表現的にではなく心の底からそう思う。自分に導かれて、心から惹かれたものが「ノーマル」であっても「アブノーマル」であっても胸を張ってそれを好きでいて、突き詰めればいいと思う。 例え、「変わってるね」と言われても、「劣ってるね」と言われても。 1しかないものを10あるかのように振る舞うこと。果たしてそれは本当に自分の為なのだろうか。1しかないなら本気の1を出すべきだと思う。その1で勝負するべきだ。どう考えてもストレートしか投げれないのに、フォークボールにも興味ありますって前髪いじってるヤツより、よっぽど清々しくてカッコいい。 それぞれの得意分野があって、それぞれに合った生き方が必ずある。 僕は今Amber's というバンドを組んでいる。 正直、自分ではそこまで自覚がないけれど“変わり者”の僕でも居場所を見つけられた。僕を“変わり者”と表現するならば、相方は“宇宙人”だ。自分の性質に向き合って生きれば、きっと居場所も見つけられる。 きっと僕らはいつまでも不器用だし、誰もが素晴らしいとは言わないかもしれないけれど、自分らしさを磨いてあなたの心の居場所になる。 「アブノーマル」をもっと。 <Amber's Gt/Programming 福島拓人> ◆紹介曲「 アブノーマル 」 作詞:豊島こうき 作曲:Amber's

    2021/07/30

  • MOSHIMO
    「好き」って理屈じゃない!!
    「好き」って理屈じゃない!!

    MOSHIMO

    「好き」って理屈じゃない!!

     2021年8月4日に“MOSHIMO”がフルアルバム『化かし愛』を日本コロムビアよりリリース&メジャーデビュー!様々な恋愛における「シーン」をリアルに赤裸々に切り取った楽曲を中心に、コロナ禍でソーシャルディスタンスが叫ばれる中、ファンへの思いを重ねた楽曲や、ライブシーンで話題のMOSHIMOらしいエネルギッシュな楽曲など全12曲を収録。バンドがメジャーシーンに飛び込む決意の現れた1枚となっております。    さて、今日のうたコラムでは最新作を放った“MOSHIMO”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回はその第1弾です。執筆を担当したのは岩淵紗貴。今作に収録される新曲「 化かし愛のうた 」に通ずるお話を綴っていただきました。素直に“好き”と伝えられたらいいのに、お互いに“化かし合い”をしてしまう。そんな恋をしているあなたへ…! ~歌詞エッセイ第1弾:「 化かし愛のうた 」~ 本気で人を好きになった事って皆んなある? 素直に恋ができたらいいのになって 化かし合う事をやめたくて作った曲なんだよ 本気でぶつかって、 自分をさらけ出して相手に求めて、求められて。 傷ついて傷つけて、笑って泣いて乗り越えて。 すれ違って重なって、想いあって支え合って。 なのに叶わない。変なのーー!! お互いの気持ちに気づいていても 言葉にして答えを出しても その先が見えないし、怖いからそのままでいるの。 ずっとそのまま。そっちの方がお互い居心地がいい。 誰も傷つかない。この関係を壊したくない。 いなくなっちゃうのが怖い。 タクシーの中で 「次どうする?帰る?もう一軒だけいく?」 って2人で話して 「じゃぁじゃんけんして、 私が勝ったらもう一杯だけ行こう!!笑」 なんてふざけてじゃんけんしたら ずっと、あいこなんだもん!! さすがに2人で吹き出して笑っちゃったのを覚えてる。 素直に「帰りたくないなぁ」 って伝えとけばいいのに。 そんな事言えないから 余計帰りたくなくなっちゃってさっ!! もう…ばかばかばか!!ほんとばか!!笑 誰にでも同じ優しさを渡してるだけ。 皆んなに同じ態度だと分かってるのに 私の欲しい言葉や優しさをくれる。 だから惹かれちゃう。 心のくすぐったいところを 猫じゃらしで撫でられてる感覚。 甘え下手だから愛でられてると勘違いしちゃって 私は「特別」だと思い込んでしまって期待する。 惹かれあってるのは確かなのに 言えない理由は沢山 ダメって分かっていても 好きな気持ちは止められないし 押し殺しちゃうと苦しくなる。 お風呂の中で限界まで息を止めてみても 苦しさは紛れない。 相手に気付いて欲しくて 分かって欲しくて押し付けちゃう。 「好き」って理屈じゃない!! これは私の中で恋愛を通して今 行き着いているところです。 化かし合ってる気持ちなんて嫌だ。 好きって気持ちは悪い事じゃない!! プラスの作用だよ。 なのになんで言えないの?伝えないの? 探り合って、騙し合って。 相手を想う気持ちがあるなら 「好き」って伝える形は沢山あるじゃん。 だから全部、冗談混じり半分本気!! ね? 煩悩、煩悩、煩悩!!!!だらけが楽しいや。 お互い全部、「冗談」にして「お友だち」 <MOSHIMO・岩淵紗貴> ◆紹介曲「 化かし愛のうた 」 作詞:岩淵紗貴・一瀬貴之 作曲:岩淵紗貴・一瀬貴之 ◆メジャー 1st Full Album『化かし愛』 2021年8月4日発売 COCP-41503 ¥3,000( 税込 ) <収録曲> 01.化かし愛のうた 02.以心伝心ディストーション 03.獅子奮迅フルスイング 04.飛んで火に入る夏の虫 05.倦怠期 06.蜂蜜ピザ 07.青いサイダー 08.3年前に別れた彼はどっかの誰かと結婚したらしい。何とも言えない何とも言えない何とも言えない敗北感の歌 09.断捨離 NIGHT 10.侘び寂び 夜遊び 夏祭り 11.神様ちょっと 12.調子どう?

    2021/07/29

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