そのタイトルが物語るように、メジャーデビュー25周年を記念した本公演。セルフカバーアルバム『公式セルフカバーベスト 4半世紀』発表後ということもあって、プレイされたの当然のようにベストセレクション! しかも、復活後の筋少は橘高文彦の華麗かつ超絶なギタープレイとエディこと三柴理の奏でる叙情的かつ狂気的なピアノの絡みが聴かせどころのひとつとなっている。となれば、“ジャパメタの聖地”とも言われる、中野サンプラザがアツく燃えたことは想像に容易いだろう。
エディが奏でる流麗なピアノの調べがオープニングを飾ると、いきなり1曲目の「サンフランシスコ」から混沌としたした世界が広がり、場内にオイコールが響き渡る。橘高が操るフライングVが嘶くように叫びをあげ、壮絶なギターソロが会場を沸かせたかと思うと、「ワインライダー・フォーエバー」ではヴォーカルの大槻ケンヂはもちろん、橘高、内田雄一郎(Ba)、本城聡章(Gu)も楽器を置いてマイクを持って、4MCでマイクリレーを披露。メンバーが筋少だからできること、筋少だから許されることをとことん楽しんでいる。そうかと思うと、必殺のキラーチューン「日本印度化計画」ではモンキーダンスを誘い、「これでいいのだ 」ではタオルを客席中で旋回させ、観客を焚き付ける。...が、中盤の25周年ということでのメンバーのトークタイムで思い切り和やかな空気となり、そのまま超ほのぼのソング「じーさんはいい塩梅」「香菜、頭をよくしてあげよう」へ。この緩さ全開の切り返しはさすがだ。...と思っていたら、続いてプレイされたのは抜群の演奏力でもってドラマチックかつディープな音像を構築するミディアムチューン「孤島の鬼」。しかも、そこから盛り上がり必至の「踊るダメ人間 」「イワンのばか」で会場を爆発させる。そして、“この曲に共感してくれることが筋肉少女帯のファンの証だと思うんだ! みんなで大合唱しよう”と「蜘蛛の糸」。ドラマのような学生生活とは無縁、むしろ真逆な青春を過ごした者なら心を射抜かれる感覚...それが大槻の言う“共感”なのだろう。まざまざと“証”を感じている自分がいた。きっとそれはこの会場をソールドアウトさせた、老若男女さまざまなファン全員が感じていることだろう。
本編は再結成ライヴの際に1曲目を飾った「トゥルー・ロマンス」で締め括られるが、すぐさまアンコールに。演奏に入る前に橘高が25周年イヤーのスタートを告げ、今後の予定を饒舌にインフォメーション。それは筋少本体だけでなく、各メンバーのソロ活動にまで絡んだ予定が組まれているというもの。筋少の勢いがまだまだ加速しているということだ。その後、「少女の王国」で会場の空気を一掃するようにうっとりさせると、再び「キノコパワー」でバースト! 橘高のギターとエディのピアノの壮絶なバトル、内田のベースと本城のギターリフの攻防は本公演のハイライトのひとつである。そして、メジャーデビュー25周年記念の楽曲「中2病の神ドロシー」、ド定番の「釈迦」で大団円。アンコール含む珠玉の20曲と絶妙な大槻なMC。改めて筋肉少女帯というバンドが孤高で、異端であり、いつまでもファンから必要とされていることを実感したライヴだった。