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LIVE REPORT

『筋肉少女帯 vs 特撮』

2014年02月01日
@赤坂BLITZ

筋少ファンや特撮ファンはもちろん、当然“オーケン”こと大槻ケンヂ(Vo)ファン、そしてロックファンなら、この対決は見逃せない! 言ってしまえば、ジャパメタバンドvsパンクチーム。どちらも雑食的なJ-ROCKだからこそのサウンドであり、センスとテクは圧倒的で、そこにオーケンの歌が乗れば孤高だ。そんな両バンドがぶつかり合うわけだから、そのパフォーマンスに否が応でも期待が高まる。また、大槻と“エディ”こと三柴理(Key)はどちらのバンドにも属するため(三柴は筋肉少女帯ではサポートメンバー)、48歳という彼らが体力的に大丈夫か!というのも見所のひとつだろう。

トップを飾ったのは特撮。カーゴパンツにTシャツ、そして眼鏡という出で立ちで登場したオーケンが、両手の拳を高く突き上げて“シネマタイズ”とタイトルコール! NARASAKI(Gu)がエッジの立ったリフで攻め込み、三柴が媚薬のような流麗なピアノの旋律を踊らせ、ARIMATSU(Dr)&RIKIJI(サポートBa/OBLIVION DUST)による屈強のリズム隊がボディブロウのような重心の低いグルーブを下腹部に響かせる。いきなり場内にオイコールが起こり、熱気が渦巻き始めたことは言うまでもないだろう。そして、畳み掛けるように「ヌイグルマー」「オムライズ」と痛快なナンバーを連続投下! しかも、“特撮はストレートでシンプル、ヴォーカルがダラダラと喋らないことが特徴。なぜなら、ヴォーカルがダラダラと喋るとドラムのアーリーが怒ってすぐに曲にいっちゃうから”と珍しくMCを手短に済ませ、序盤から熱狂を生むのだった。その後も「くちびるはUFO」や「殺神」などのヘヴィチューンで観客をダイナミックでディープな音像の深部へと引き込み、爆走感全開の「5年後の世界」で大合唱を誘い、「林檎もぎれビーム!」や「綿いっぱいの愛を!」といったスリリングなナンバーでオーディエンスの高揚感を加速させていく。まさにノンストップで突っ走るステージ...とはいえ、やはり喋り出してしまうオーケン。
“エディ、次、筋肉少女帯だよ、俺たち。何やんのかな、筋少? 「日本の米」とかやんのかな?”(大槻)
“でも、今日さ、楽屋弁当、4食食えるんだぜ”(三柴)
“あー。俺、最近食べないんだよね。お腹が減らなくなっちゃって”(大槻)
“そんな萎れたジジィみたいなこと言うなよ”(三柴)
...とエディとの緩いトークに突入してしまうが、そこに割って入るようにARIMATSUが“どうでもいい”とカウントを刻み出し、ラストナンバー「じゃあな」へ。重厚かつドラマチックなサウンドと爽快なピアノがピースフルな空間を作り出し、中原中也の詩の一節である“ゆあーん ゆあゆよーん”を会場中で大合唱させ、特撮のステージは幕を下ろした。

セットチェンジを経て、後攻の筋肉少女帯。ちなみにオーケンは背中に“筋肉少女帯”と刺繍が入った特攻服を羽織り、顔にはひび割れメイクを施した、恒例のスタイルだ。幕開けを飾ったのは「サンフランシスコ」。橘高文彦が超絶ギターソロを魅せ、内田雄一郎は存在感のあるベースを唸らせ、長谷川浩二(サポートDr)の高速ドラミングを爆裂し、三柴は荘厳なオルガンの音色や躍動的なピアノの旋律を紡ぎ、本城聡章のギターが楽曲に表情を付け、のっけからジャパメタ特有の激しくも叙情的な様式美サウンドが炸裂する。また、止める者がいないせいか、オーケンのMCも“舌”好調! 1曲目が終わったばかりなのに、すでに彼の独擅場だ。そんな緩い空気を引き継いで“踊ってくれると問うならば!”とプレイされたのが、フロントの4人が4MCよろしくハンドマイクでマイクリレーする筋少流ダンスナンバー「ワインライダー・フォーエバー」。そして、そのままフロアー全域でタオルがぶん回された「これでいいのだ」へと突入する。曲中で“イエーイ! もうじき48歳、俺は元気だぜー!”と力いっぱいに叫び、コール&レスポンも決めるオーケンだったが、曲終わりのMCで“みんなに嘘をついてたんだよ。疲れちゃった”と三柴とふたりでステージを去ってしまう。すると...
“疲れてる奴らを元気付けるためにも、これはやらないだろうって曲を僕らで歌ってみないかい?”(内田)
“これが筋少だっていうところを見せてやろう”(橘高)
...と、残ったメンバーで内田×橘高×本城ヴォーカルというレアバージョンの「日本の米」を披露。さらに元気になった三柴を迎えて、“ベースなんか弾いてらんねぇぜ。スタンドマイク、持ってこーい”と内田がセンターに立って「モコモコボンボン」を熱唱する。ギターソロでは橘高がフライングVを弾き倒し、王道メタルサウンドで会場を大いに沸かせると、オーケンがステージに戻ってくる...“戻ってくる”となれば、筋少ではこの曲、再結成ライヴでもオープニングを飾った「トゥルー・ロマンス 」。そんな計算されたパフォーマンスも、筋少らしいひとつの様式美である。そして、定番曲「釈迦」からラストスパート。三柴はキーボードを弾き倒し、橘高はギターを嘶かせ、客席はサビを大合唱し、大盛況のライヴは「イワンのばか」で完全燃焼となるのだった。

最後に特撮メンバーをステージに招き入れての記念撮影で終幕した『筋肉少女帯 vs 特撮』。この後、筋肉少女帯は3月29日と30日に作曲家別でセットリストを組む恵比寿LIQUIDROOMの2デイズ、4月には12日と13日にTSUTAYA O-EASTでの2デイズを予定している。一方、特撮はツアー『世界中のロックバンドが今夜もツアー!冬も...』で、2月9日に大阪umeda AKASO、11日に名古屋・池下CLUB UPSET、15日には恵比寿LIQUIDROOMを回る。この機会にぜひとも両雄のアクトを体感してもらいたい。