初のホールツアー最終日は、2デイズとなった渋公。自信の表れなのか、なぜか終始余裕を感じるステージングだった。アルバム『この声』からのオープニング「蛍」でエレキを掻き鳴らし、アッパーに炸裂させた幕開け。ライヴとしては日常的な絵図だが、一連のシングルで知って聴き入りにきたファンには、心地良い裏切りだったのかもしれない。ホールだから客席がある。とはいえ、中盤戦の長いMCから6曲ほどの時間を、観客を座らせ悠々と過ごしたことは意外だ。そこは“聴かせるため”“和むため”の楽曲群、MCとはいえ、ベテランかっ!と突っ込みたくもなった。ただ、だからこそ後半戦のハジけ方は半端なく、ストイックさの反動からくる旺盛なサービスとでもいうのか、終焉まで、緩急自在に心のヒダをいじくり倒して開放させてくれた。本当に、続編が楽しみなヒューマンドラマだった。