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LIVE REPORT

間々田優

間々田優 渋谷O-nest

2009年03月17日
@渋谷O-nest

ぼんやりとステージ脇に掛けられた、黒板風手書きのツアータイトル。これだけ凝視していると、やり場のない気持ちが彷徨いだしてくる。救ってくれるのか、突き落とすのか、もしくは逆に助けて欲しいのか...。インビテーションには、“さあ、追い詰められた私を見に来い”とある。流行事に線引きするような創造主の彼女が、流行病のインフルエンザで床に伏せてから早1ヶ月の延期公演。「自己管理がなってなくてすいません。」そう、音楽性が“今風”でなくても、彼女は普通に現代っ子なのだ。立ち上がり「狼」?「真夜中」と淡々と空気を重く引っ張り世界観を創っていく。が、間奏の雄叫びから一転、魂がはじけ飛びだす。葛藤と不信、そして奥底に眠る素直で純朴な感覚が、ブレンドの仕方で狂気に映ったり、口当たり良く混ざれば、ファンタジー感で頭を撫でてあげたくもなる。そんな、間々田優という曖昧な想いがドキドキを煽り揺さぶる。「原点に戻る感じで、今日から時間を回し始めたい」。演るはずで演れなかった曲達が、表現者の復活に新たな息吹の色を添え綴られていく。唐突にクラップを求めたり、ステージの前っツラで客に迫ったり、一人芝居のように体表現で舞ってみたり、決して上手いと言えない口笛を奏でたり、叫びに似た生歌だったり、客中を走り回ったり... あがきとも思えるその姿は“生きようとする、生きもの”として、原始のDNAを刺激し、伏せたがる現実を叩き付ける。商売とは言い難い代物“間々田優”。だからこそ、“光”として存在するのも確かだろう。いつの世も人は未完成で、本音が心を掻きむしるもんだ。ぼそっと「本音過ぎて恥ずかしいけど..」と告げ最後に披露したのは、追いつめられた前夜、眠れずに作ったという新曲だった。“歌い続ける、これから..”の意思表明。