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LIVE REPORT

176BIZ

176BIZ 渋谷O-WEST

2009年03月16日
@渋谷O-WEST

“もう少し答えを先伸ばしにすることはできないのだろうか?”。そんな往生際の悪い、彼らの決意に背くような思いを巡らせながら、最後の勇姿をひとつひとつ心に焼き付けた。 176BIZは本日のライヴを持って解散する。最初、この事実を理解するのに苦労した。改めてバンドの方向性、可能性を見出すことができたと語ったアルバム『【Hello】』の取材からさほど経っていないというのもあったし、筆者自身ここから176BIZがどう展開していくのか楽しみで仕方なかったからである。しかし、時間が経つにつれ、彼ららしい決断とも思われた。“未来へ目を向けた時、100%の176BIZを表現する事が出来ない。それはファンに対する最大の裏切りとなる。だからこその解散”。それが彼らの出した結論。だとすれば、しかと受け止めるしかない。 そんな思いを胸に、会場には開演前から多くの人が訪れた。皆、笑顔でメンバーの話をしたり、曲の話をしたりといつもと何ら変わりない時間が流れる。“本当に今日が最後なのか?”と、疑いたくなるほど落ち着き払っていて、それは登場したメンバーにも言えた。 そして、「メイヴィの碧い真珠」のソリッドなサウンドで幕を開けたライヴ。力強く情熱的に絡み合う雪希と刻のギター。存在感のあるベースを轟かせるコウタ、一音一音繊細なリズムを刻む楓栖。アッパーなものからメローなナンバーまで表情豊かに歌う青田 勇。やはり、この5人が奏でる音は魅力的だ。各々の魅力が合わさることでバンドにそのまま反映され、楽曲の世界観がグッと広がる。別れの悲しさやつらさを微塵も感じさせないステージに感銘を受けながら、前へと進むことを恐れてはいけないと教わったように思う。特に、本編ラストを飾った「DiCe」での彼らの笑顔で、その思いが確かなものとなった。 しかし、ダブルアンコール直前。それまで押さえていた思いがあふれ出て、涙する場面も。そんな涙を流せるぐらいに、全身全霊でぶつかってきた176BIZとしての数年は、色鮮やかに会場にいる者全ての心に残ったことだろう。

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