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LIVE REPORT

a flood of circle

『Tour“PARADOX PARADE”』

2010年03月05日
@恵比寿LIQUIDROOM

a flood of circleにとって、このツアーがどんなものだったか。そのツアーをすることになったアルバムがどんなものだったか。そこには避けては通れないバンドの出来事があったが、それが生半可なものではないから僕には書けない。でも、ただひとつ書けることがある。そういったバンドの予備知識がなくとも素晴らしいライヴだったということだ。
奥村 大(wash?)のギターから始まる「Forest Walker」でスタート。まずはソリッドなサウンドを聴かせ、「博士の異常な愛情」のスリリングで破壊力のある音塊にオーディエンスは一気に揺れ出す。「Ghost」「Paradox」と次々に繰り出し、まるで音を出すことを止めたら、もう再び動くこともできないかのように一心不乱に音を鳴らす。ブルースや70年代のロックを組み込み、圧倒的なエネルギーでもってロックをぶちかます彼らの音楽。しかし、それは決して濃すぎる味付けではなく、渋すぎるギターソロも、「Buffalo Dance」のネイティブアメリカンな雄叫びも、彼らの楽曲の中では適材適所。しっかりとした歌メロの中での振り幅だから、興奮剤として威力を発揮する。時にはクラップを促したり、MCではメンバー同士で和気あいあいツアーの思い出を語ったり、観客がふっと懐に入り込める隙も見せる。そして、「水の泡」に入る前、佐々木亮介(Vo&Gu)は“やってきたことが水の泡になっても歌うしかない”とひと言。その言葉を言った彼の歌はそっくり彼らが音楽をする説得力になって響いてきた。アンコールは2度に渡った。大ラスは「ブラックバード」。その歌と同じくa flood of circleも未来に向けて歌い続けることしかない。そんな隆々とした推進力を感じたライヴだった。