セルフカバーアルバム『ROLLY'S ROCK WORKS』を引っ提げ、永井ルイ(Ba)、松本タカヒロ(Gu)、小畑ポンプ(Dr)とのROLLY & GlimRockers名義で展開しているツアー『ROLLY'S ROCK SHOW TOUR 2019』の東京公演が、8月23日に渋谷CLUB QUATTROにて開催された。アルバムがROLLY節が全開なら、ライヴはその何倍もの濃度! “Mr. ロックンローラー”たちによる最高の“ROCK SHOW”が繰り広げられた。
“ロックは魔法だ”ーーステージとフロアーのコミュニケーションを観て、そんな言葉が頭の中を駆け巡っていた。《燃え上がる この想いを伝えたい》と高らかに歌う「天地創造」をSEに登場したメンバーは、まずはハッピーな和風グラムロック「Eejanaika」を投下。魔法がかけられたように会場中に笑顔が花咲き、その後もROLLY(Vo&Gu)の世界が広がっていく。インタビューでも“聴いてくれた人に元ネタを探る旅をしてほしい”と語っていたが、サウンドに音楽ファンがニヤリとするQueenやT. Rexなどのフレーバーがあったり、メロディーに古き良き時代の歌謡曲やポップスの要素を感じさせるのも醍醐味。さらに“恋”シリーズの三連発では、蒼さを引きずったロックのロマンチシズムにどっぷりと浸らせてくれた。
また、表情豊かなギターのフレーズや音色に合わせて、いわゆる“顔で弾く”妙技も炸裂し、「戦慄のグリム団」などのGlimRockersのナンバーでは各メンバーがメインヴォーカルを務めたり、ソロ回しがあったりと、とことん観客を楽しませる。そして、「眠れる森の少女」や「未来泥棒」といったディープな楽曲は、例え提供曲であっても独擅場に。ROLLY節全開の濃厚なスケープを描き、その音像の中で青春期の自分と出会っていたのは筆者だけではないはずだ。
オーラスに再度「Eejanaika」を演奏し、カラオケで「Dear Music」を歌い上げてフィニッシュとなった本公演。ロック好きをこじらせたまま大人になってしまったけど、メンバーもちろん、この場にいた全員から“ええじゃないか”と肯定されたような温かい余韻が残った。これぞロックの魔法だろう。
撮影:土田 紘/取材:土内 昇