“僕らはある意味自由になった。だから、みんな楽しもうぜ!”。波多野裕文(Vo&Gu)が語ったものだが、しばらく頭から離れなかった。さらに“今まで正しい、間違ってるって暫定的に決めて生きてきたけど、世界が一変してこれからはトライ&エラーしかない”と、震災後から心に抱えていた思いを言葉にした。思い返すとまさにそんなライヴだったと思う。これまでのライヴに比べ、プレイがとても衝動的で、3人のみで鳴らされる音像が生々しさを帯びている。その結果目まぐるしい感情が錯綜する1曲1曲の世界観が突き抜け、開けていく。自身の楽曲でさえ新しい表現方法でトライしていくようで、観客も僕もただ聴き入るしかなかった。People In The Boxにとって音楽、ライヴとはどうあるべきかを真っ直ぐにかたちにしたステージだったと言える。