2月21日にリリースしたCD+MUSIC FILM『FLY』を引っ提げ、北は札幌から南は福岡まで、全国7か所を回る『FLYING R TOUR 2018』を行っているReiが、ツアーの中盤となる3月29日、念願だったという渋谷CLUB QUATTROで東京公演を行なった。ライヴの定番曲に新曲を織り交ぜながら、自らの殻を破ろうとする彼女の挑戦をレポートする。
この日、Reiはドラマーとキーボーディスト、そしてシンセもプレイするベーシストを加えた4人編成でライヴに臨んだ。曲によっては同期の音も交えながら、ほとんどMCを挟まずに90分間みっちり演奏したこの日のライヴが印象付けたのは、常に自ら殻を破りながら、進化し続けることに挑戦している果敢なアーティストの姿だった。ライヴはジャムセッション風の演奏から、2月にリリースした『FLY』の「Sky Girl」に雪崩れ込むようにスタート。そこからライヴの定番曲を次々につなげていったから、満員のファンで埋まったスタンディングのフロアーからは早速力強い手拍子とともに歓声が上がった。しかし、殻を破るという意味では、この日の一番の聴きどころは、彼女の代名詞とも言えるギタープレイではなく、じっくりと歌を聴かせた「we can fly,」以降の中盤のパートだったように思う。
圧巻はミッドテンポの「Wings」。弱さを曝け出した歌詞も含め、そこに込めた感情がじんわりと聴き手の胸に染みるような曲がライヴのセットリストに加わった意味は大きい。その後、ピアノが跳ねるポップソングの「Cinnamon Girl」、コール&レスポンスで客席を盛り上げた「Oo-Long-Cha」から演奏は再びテンポアップ。シンセがブ〜ンと唸って、サイケな音像を作り出した「Pay Day」という変化球を投げてからの終盤は存分にギターを弾き、再び観客に大きな歓声を上げさせた。「BLACK BANANA」ではメンバーとソロの応酬...からのエビ反りポーズ。そのまま後頭部でキーボードを鳴らすというアクロバティックなパフォーマンスも飛び出した。そして、そこにいる誰もが、小柄な身体にあふれ返るガッツに惜しみない拍手を贈ったのだった。
撮影:SATORU HAYASHI/取材:山口智男
Rei
レイ:1993生まれ、兵庫県伊丹市生。卓越したギタープレイとヴォーカルを持つ、シンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターを始め、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1stミニアルバム『BLU』をリリース。国内外のフェスに多数出演し話題を呼ぶ中、17年7月にはCD+MUSIC BOOK『CRY』をリリース。18年2月にはCD+MUSIC FILM『FLY』をリリースし、3月より全国7カ所に及ぶリリースツアー『FLYING R TOUR 2018』も決定している。