いつも思う。どついたるねんのライヴのラストに訪れるあの“終わり良ければ全て良し観”は何だろう?と。いろいろあったが最後は後光が射すようなハッピーエンドへと辿り着く。そこでは不思議な生命力やバイタリティーが沸き、 “明日も頑張ろう!”って気にさせてくれる。そして、この日も本編最後では、そんな気持ちを私に漲らせてくれた。
どついたるねんがフリーライヴを渋谷クラブクアトロで行なった。メジャーデビューシングル「BOY」の発売日でもあった、この日は同シングル全曲を含め20曲の大判ふるまい。現6人での初お目見えにして、サウンド的にもだいぶタイトになった反面、メンバーが減った部分もきちんと補完し合う。そんな柔軟な形態も印象的であった。ドラムの浜公氣のグラップなビートから最新曲「BOY」にてライヴは口火を切る。作品以上にどっしりしてグルービー。躍動感も増した同曲。途中からは一変し疾走感が加わると、不思議な生命力が場内に満ちていく。他にも前半は上述のデビューシングルからの楽曲が多く放たれた。ダウンピッキングの疾走感が会場に勢いを寄与した「街」では作品以上のタイトさが味わえ、疾走8ビートJ-ROCK風な「おならぷーぷーセッション」ではZEN-LA-ROCKも作品同様にヴォーカルで飛び入り。ドスの効いたラップを切り込ませる。
中盤は人気曲が会場を走らせた。疾走8ビートがさらに会場の火に油を注いだ「精神」、山ちゃんがリードヴォーカルを取るスケーターチューンの「UNCHAIN」が会場を青空の下、開放的に誘った。また、ゲストのミツメの川辺素とともにデビューシングル収録の「煙突(モクモクremix)」の実演も実現。ミツメパートは川辺が歌い、うーちゃんや先輩のパートが絡む。ラストのバンドバージョンへの一変は会場を急騰させた。
また、この日は彼らのプレイヤビリティーの意識変化も垣間見れた。ミディアムな曲を前に、聴かせることを前提にしっかりとした演奏をしたいとの想いから、きちんとチューニングをするメンバーに対し、この勢いやエネルギーを途絶えてられないワトソンの気概が伝わってくる場面もあり。これらは、これまで以上に、“しっかりとしたものを見せたい!”、そんな現われのようにも映った。中でもミディアムなナンバーでは目を見張るものがあった。ファンタジーに幻想的にロマンチックさを広げた「変身」、センチメンタルにさせる切ない「遠浅の部屋」などは不覚にも感動すら覚えた。そして、大団円ナンバー「生きていれば」では、♪生きていればいいことある♪のリフレインが、これからも一緒に行こう的に響き、会場をひとつにしていった。
アンコールは1曲。その前に“重大発表”と称され、先輩から3月28日にメジャーデビューアルバムが発売されること、4月8日にマイナビBLITZ赤坂にてワンマンライヴが行なわれることが告げられる。そして、アンコールでは会場を交えての呼応から「ゴリラ美大へ行く」に。フロアーを再び一丸にし、彼らはステージ降りた。この日も最後には彼らのライヴ独特の“何もやり遂げていないのに、何かあふれる達成感”で満たしてくれた、どついたるねん。そのバイタリティーと闇雲な自信を保っていれば、このメジャーでだって彼ら独特のスタンスを築くことができ、それを信じる者たちが大勢集まってくる。そんなことを改めて確信した一夜でもあった。そう、どついたるねんは、これからも光の射す方へ走っていく!!
撮影:yuka jonishi/取材:池田スカオ和宏
どついたるねん
どついたるねん:2008年、前身バンドを経て結成。11年に初のフルアルバム『ダディ』発表。映画の主演・音楽担当、写真家7人による撮り下ろし写真集『MY BESTFRIENDS』の刊行、ファッションブランド BEAMS のモデルへの抜擢等、多岐に渡る活動を展開。15年春には変名“SUSHI BOMBER”でアメリカ西海岸ツアーを敢行し、同年秋には初のR&Bを取り込んだ8thアルバム『ミュージック』を発表。そして、17年12月20日にメジャーデビュー作となるシングル「BOY」をリリースし、同日に渋谷CLUB QUATTROでフリーライヴを実施する。