生活から生まれる歌により老若男女全ての人々の心を揺さぶるメッセンジャー。アルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』のリリースツアーの最終日、NakamuraEmiが爆発させたのは、そんな自らの本質だった。まずは冒頭の「Rebirth」から自分史を語るあまりに赤裸々なラップと凄まじい声量で場内を圧倒! ヒップホップはもちろん、ラテンにソウル、ジャズとさまざまな音楽のニュアンスを取り入れ、最終日ということでサックス、トロンボーン、グロッケンシュピールと音源でも演奏しているゲストミュージシャンの参加が、さらなる彩りを添えていく。
そして、1曲ずつ曲の成り立ちを話しながら丁寧に、歯切れ良くパワフルに贈られる歌の核にあるのは、ずばり人生を賢く生き抜くためのヒント。「スケボーマン」では愛する人を守ろうと男が、「使命」では仕事と女性と音楽とで道を迷う女性が覚悟を決め、「大人の言うことを聞け」では大人を反面教師を含めたお手本にしろと歌う。そこにある発想の転換が伝えるのは周りを変えるのではなく、自分が変わることが大事なのだというメッセージ。要するに全ては自分次第ということで、アンコールの「モチベーション」では“私次第だった!”という叫びに喝采が沸き起こる。
“ぶれんじゃねーぞ!”と自らの決意表明を「メジャーデビュー」で叩き付け、“明日も頑張れますように”と前置いた「YAMABIKO」で大合唱する本編ラストの熱さも圧巻。日常の中に潜む葛藤をじっと見つめ、受け入れることこそ幸せへの第一歩だと教えてくれる感動的なステージだった。
撮影:岩澤高雄/取材:清水素子
NakamuraEmi
ナカムラエミ:神奈川県厚木市出身。1982年生まれ。山と海と都会の真ん中で育ち幼少の頃よりJ-POPに触れる。カフェやライヴハウスなどで歌う中で出会ったヒップホップやジャズに憧れ、歌とフロウの間を行き来する現在の独特なスタイルを確立する。その小柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは、老若男女問わず心の奥底に突き刺さる。16年1月にメジャーデビュー。17年3月に2ndアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』をリリース。