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LIVE REPORT

VAMPS

『VAMPS LIVE 2016 追加公演 -ACCOUSTIC DAY-』

2016年09月20日
@舞浜アンフィシアター

終演後も、しばらくその余韻に浸っていたかったーー。“VAMPSは激しいライヴパフォーマンスが特徴”というこれまでの印象を覆す濃密な時間だった。今年1月に公開収録ライヴを行ない、大好評だった『MTV Unplugged: VAMPS』。それをパワーアップさせ、今年のツアー『VAMPS LIVE 2016』では名古屋、大阪、札幌公演でアコースティックライヴを組み込んだ。追加となる9月20日の千葉・舞浜アンフィシアター公演は、関東で開催される唯一のアコースティックライヴだった。今回はストリングスカルテット、ピアノ、コーラス、ドラム、ベース、ギターを従え、ライヴでお馴染みとなっている楽曲のまったく別の表情を見せてくれる。ライヴ前半で披露された「THE PAST」は、スタッカートの効いたストリングスと、流れるようなピアノの音によって、軽やかなスピードを感じるナンバーに仕上がっていた。そして、コントラバスが激しい音を響かせ、ゴシックな空気に彩られた「DAMNED」に。もともと引きずり込む力が強い曲だが、アコースティックバージョンは、もっと不穏感が増していく。観客は最初から静かに聴き入っていたが、どんどん集中力が高まり、ステージにエネルギーが注がれていくのを感じた。エキゾチックな「SAMSARA」は冒頭でコーラスと楽器が絡み合い、さらに曲が持っている幻想的な部分が強まる。K.A.Z(G)のギターを筆頭に、楽器同士が会話をしているようだった。ピアノの切ない音からはじまる「VAMPIRE’S LOVE」も、いつも以上に一音一音味わって聴く。HYDEの声が入るとガンッと大きな衝撃が走る。アコースティックライヴだと、彼の歌声が持つ底知れない艶、包み込む柔らかさ、雄大さ、ピンと張りつめる鋭さがよく分かった。

後半の「LOVE ADDICT」になると、リズミカルかつ華やかなアレンジで観客もクラップをはじめ、緊張感が少しずつ和らいでいった。“次はちょっと雰囲気を変えて、ボサノバ風「DEVIL SIDE」と「ANGEL TRIP」をやろうと思います”と告げたHYDE。『MTV Unplugged: VAMPS』収録ライヴでは、慣れていない観客をどうやってほぐせばいいか、戸惑ったという。HYDEは緊張で固まった会場の様子を、ユーモアを交えながら振り返った。ボサノバ風「DEVIL SIDE」は風に乗った軽やかさが表現されていて、曲の持つポテンシャルに驚く。毎回観客がタオルを激しく回す「ANGEL TRIP」は代わりにハンケチを回すことに。心地良いリズムに乗って、HYDEのヴォーカルがやさしく響いた。

“今日はいつものサポートメンバーが観に来てくれています。彼らともツアー最後をともにできて嬉しいです”。普段、VAMPSを支えるバンドメンバーも会場に駆けつけていることを話す。そして、“またやりましょうね”と継続する希望を口にして、会場からも大きな拍手が送られた。最後はHYDEとK.A.Zだけがステージに残り、「EVANESCENT」をパフォーマンス。お互い顔を見なくても、呼吸はぴったり合っていて、ふたつのヴォーカルが重なっているイメージを抱いた。最後はいつも通り“また戻って来るから、首洗って待ってろよ”という言葉で締め括られる。彼らの音楽に対する飽くなき探求心を感じるステージだった。今後、10月22日、23日に神戸・ワールド記念ホール、10月28日、29日、30日に千葉・幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで国内最大級規模のハロウィンライヴ、『HALLOWEEN PARTY 2016』を開催。その後11月には北米ツアーが控えている。