奥田民生は今や超多忙アーティスト。今回も昨年のユニコーンの活動を終え、世界遺産の厳島神社で『ひとり股旅』をやっつけて、ソロツアー『おとしのレイら』に突入。ファイナルの渋谷公会堂では、ガツガツ音楽を追求してきた成果とも言える、圧巻のライヴを聴かせてくれた。ステージにはソファが置いてあり、音楽仲間が集まる快適な小部屋に招かれているような雰囲気だ。奥田と小原 礼(Ba)、斎藤有太(Key)、湊 雅史(Dr)の4人は、ファイナルにふさわしく1曲目「ギブミークッキー」からパワー全開で演奏。今回は小原の還暦祝いのツアーで、だからというわけでもあるまいが、赤一色の照明(笑)がバンドの発するエネルギーの高さを表わす。前半は徹底的にロック。中盤は小原が在籍した伝説のバンド“サディスティック・ミカ・バンド”の「ダンス・ハ・スンダ」や、超スローテンポで遊ぶ「ロボッチ」などユーモラスなパート。そして、後半は「最後のニュース」などのシリアスな楽曲から、明るい「明日はどうだ」へ抜け出していく。去年から続く困難な時代に対するOTらしいメッセージなのかもしれない。アンコールでは楽屋に遊びに来ていた斉藤和義と吉井和哉がOTと一緒に登場し、ガチで「息子」をセッション。音楽で真剣に遊ぶOTの心意気に共感したふたりの笑顔がとても素敵だった。なお、このツアーの東京公演の全てで当日録音のCDを販売するという画期的な試みがなされていて、大評判を呼んでいる。ただし、アンコールは除外されているので、この日に観れたオーディエンスは本当にラッキーだった。