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LIVE REPORT

OLDCODEX

『OLDCODEX "Capture" 2015 in Budokan』

2015年02月11日
@日本武道館

いきなりの暗転、そこに下から煽られたライトを受け、シルエットになったTa_2(Vo)とYORKE.(Painter)が姿を現すと、大歓声が轟いた。1曲目は、2010年にリリースされた初の音源であるミニアルバム『OLDCODEX』の1曲目に収録された「cresc.(クレッシェンド)」だ。Tシャツにジーンズ、キャップ姿のTa_2は、両手でがっしりマイクを握りしめ、声を張り上げる。そして、黒ずくめのYORKE.は、長い両腕をめいっぱいに広げて観客を煽り立てた。

“やっとこの日が来ました。初めてのイスありのライヴだけど、1秒たりとも座らせね~からな!”とTa_2。“客席との距離はあるけど、すごく近くに感じてるぜ”とYORKE.。

文字通り暴れまくったふたり。「Ignite」では、ギタリスト大村真司の横で激しくリズムを取るTa_2に、観客はサビの「Audience」のコーラス部分を大合唱で応戦。「#4」では、ドラムセットのある段からジャンプするTa_2の“叫べ!”という声に、9,000人のシャウトが響いた。YORKE.は4カ所に設置されたキャンバスを行き来しながらペイントの合間に客を煽り、マイクを掴んではコーラスを奏でる。そして、「Meteor train」ではラップを披露し、ときには、Ta_2と丁々発止のヴォーカルの掛け合いも聴かせた。特に圧巻だったのは、「How Affection」や「Elephant over」などミディアムのナンバーが並んだ中盤。マイクスタンドにもたれながら、目を閉じて歌ったTa_2。客席は一気に静まりかえり、しかし席に座る者は誰ひとりなく、ジッとその歌声に魂を傾けた。「Abendsonne」では、オレンジ色のライトに照らされながら、YORKE.が夕日が海に沈む絵を描き上げる。壮大なスケールを感じさせながら、ハートのこもった温かいムードを持ったTa_2の歌声には、惜しみない拍手が贈られた。

武道館ならではの演出もたっぷり。キャンバスのひとつは、機械仕掛けでバカッと6つに割れる仕組み。YORKE.は“どう? これカッコ良いでしょ”と。Ta_2も“『スパイダーマン』に出てくるオクトパスアームみたい”と、実に嬉しそう。観客をステージに上げて歌わせることでお馴染みの「kick out」では、Ta_2から、デビュー当時から彼らを支えてくれているディレクターに指名があり、照れくさそうにPA卓でマイクを握り、武道館のステージに“歩み”の花を添えた。

この日のセットリストは、前述の『OLDCODEX』をはじめとした2枚のミニアルバムと、3枚のアルバムからもれなく楽曲が披露され、中盤には1stシングル「〔BLUE〕」のカップリング「sad day in the sunlight」を歌うなど、OLDCODEXのデビューからの歴史を感じさせる内容になった。実際にステージ上には、YORKE.がこれまでステージのセット用に描いてきたペイント作品を切り抜き、額装したものが飾られ、目でもその歴史を辿ることができる趣向になっていた。MCでも、YORKE.が“OLDCODEXに入る時に悩んだのは、俺の人生全てをかけられるものかどうかということだった”と加入当時を語ったほか、Ta_2が長年仕事でお世話になっている人のことを語ったりと、過去に感謝するような場面がたくさんあった。OLDCODEXのこれまでと現在、そして未来をも感じさせる内容には、ホロッときたファンも多かっただろう。

決して優等生ではないふたりが、支えてくれたスタッフやファンへの恩返しの気持ちとして選んだのが、この日本武道館というステージ。そこでふたりが見せたものは、最高で最強のライヴだった。ノドがちぎれるんじゃないかと思うくらい声を張り上げたTa_2、髪までペンキが飛び散るほどに描き続けたYORKE.、そして3ピースながら圧倒的な音量で分厚いサウンドを鳴らし続けたバンドメンバー。MCで“調子乗ったこと言っていい? 武道館、こんなもんかと思ったよ!”と、笑ったTa_2。彼らが持てるものすべてで臨んだ武道館で、OLDCODEXとして過去最高・最強のステージを見せてくれた記念すべき一夜だった。

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