1stアルバム『創』の1曲目「8to1 completed」が始まりの時を告げると、どこからともなく始まったクラップが会場中に行き渡る。そして、紗幕越しにメンバーのシルエットと生命の息吹を感じさせる映像が投影される中での「今、透明か」。彼らの奏でる力強さと美しさに翻弄されながら、観客は早々に熱狂の渦へと引き込まれていった。
バンド結成15年、メジャーデビューからは10年という年月を迎え、ベストアルバムやインストゥルメンタルアルバムの発表、さらにはアニバーサリーツアー開催と、バンドだけでなくバンドを取り巻く仲間たちと一緒に節目を分かち合おうとするACIDMAN。“各地でみんなに“おめでとう”と“ありがとう”を言われました。そうではなくて、僕たちがみんなに感謝をするライヴです”と大木伸夫(Vo&Gu)がしみじみと述懐したようにファンの存在は大きい。しかし、だからと言って己の美学を曲げるわけではない。これまでの歩みを振り返り、“音楽には嘘を付かずにやってこれた”と言うだけあって、14年前に作られ、演奏されること自体希少だが今の時代にぴったりだという「酸化空」や、大きな意味での愛を高らかに歌う「ALMA」など、一曲一曲の選曲に大きな意義があり、それらを全力でプレイすることに感謝の気持ちがこもっていたように思う。
特にそう感じたのは、“生まれ変わりの歌。未来を願う歌”として最後に演奏された「廻る、巡る、その核へ」である。何度この曲と出逢っても、映像が訴えかけるメッセージと掻き鳴らされるバンドサウンドの迫力に毎回圧倒される。過去から現在の軌跡を総括し、この先の未来へと突き進んでいくACIDMANは、いっそうのまばゆい光を放ちながら自身の描く音楽を響かせるに違いない。