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LIVE REPORT

『MEGAPHONE MUSIC presents メガホンナイトFES.2013』

『MEGAPHONE MUSIC presents メガホンナイトFES.2013』

2013年11月19日
@渋谷CLUB QUATTRO

日本工学院専門学校制作コース新人開発チーム
×フジパシフィック音楽出版によるメガホンナイトプロジェクト

2012年3月から渋谷Milkywayにて隔月で行なわれていた『メガホンナイト』が11月19日、渋谷CLUB QUATTROにて『MEGAPHONE MUSIC presents メガホンナイトFES.2013』として、規模もキャパシティもパワーアップして開催された。出演者はMenoz、The Cheserasera、杏窪彌、Hermann H.&The Pacemakers、CRAZY WEST MOUNTAIN、THE COLLECTORS、そしてオープニングアクトはASH I GALL。ASH I GALLは日本工学院の立体的な取り組みを示す、学園祭にて開催されたオーディションライヴでの勝ち上がりだ。全7バンドという豪華さ。年齢・性別・ジャンルなど何もかもを超えたイベントは出演者、オーディエンス、スタッフが一体となった、笑顔が絶えない時間となった。この模様は、日本工学院の学生によるライヴレポートとしてお届けしよう!


【 ASH I GALL 】
オープニングアクトを務めるASH I GALLのつんざくようなギターのハウリングから『メガホンナイトFES.2013』は始まった。横一列に並び顔を見合わせる彼らからは一切の緊張や不安は感じられない。“やってやる!”。そんな決意だけが会場内に焚かれたスモークのようにあふれ出していた。堰を切ったように始まった1曲目はメロディアスなサビが印象的なナンバー「Reborn」。地獄の扉をこじ開けてやってきたかのようなサウンドが一瞬で会場の空気を支配した。“お前ら寝てんだろ!”の煽りとともに間髪入れず始まった2曲目「No Ticket」。ここでもメンバーのテクニックが光る。ギターのずっきーによるMCが入り、ラストナンバー「HOPE」へ。一瞬、一音に荒々しく込められた彼らの熱量が心の奥底でくすぶっていた希望の灯を再び揺り動かしてくる。自然と涙を流していたのはきっと自分だけではなかっただろう。その夜ASH I GALLの持つ一本槍は確かに渋谷CLUB QUATTROに風穴を空けていった。
text by 二塚修太

【 Menoz 】
メインステージのトップバッターはMenoz。1曲目は軽快なリズムで始まった「僕らのナツ。」。城戸の伸び伸びとした歌声と楽器隊が奏でる色とりどりなメロディーが会場を一気にMenoz色に染める。2曲目の「ウェザーリポート」では、ピアノの繊細な音色が曲に彩りを添え、幻想的な光と音が会場に降り注いだ。“男子にも言いたい、女子にも言いたい...真っ直ぐに生きてくれ!”という言葉とともにラストの「アドベンチア」が始まる。会場全体が一体となり、フロアーでは観客が体を揺らして楽しんでいる。メッセージ性の強いこの曲はダイレクトに胸に突き刺さり、誰もが真っ直ぐな想いが込められたステージに心打たれたはずだ。『メガホンナイト』の出演が3回目となるMenoz。ステージを自由に使い全身で表現する、存在感あふれるパフォーマンスにはいつも驚かされるが、さまざまな表情を見せてくれる彼女たちのパフォーマンスからは心から音楽を楽しんでいるのが分かる。今後も彼女たちからは目を離すことができない。
text by 軍司沙也加・西玲子

【 The Cheserasera 】
Vol.3ぶりの登場となるThe Cheserasera。今回もお決まりのSEドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」が流れる中、メンバーが登場する。暗転したステージの上、メンバーの背中を照らし出すオレンジ色のスポットライトが夕日のようだった。オープニングは「No.8」。どこか懐かしい曲調が会場の雰囲気を作り始める。続く2曲目「風に吹かれて」ではステージ上のライトがメンバーを明るく照らし、オーディエンスがリズムに身を任せ揺れ始める。宍戸の力強い歌声から始まる「さよなら光」では、激しくなっていくメロディーと包み込むような寂しげでやさしい歌声が会場に響き渡り、その勢いは止まらないまま、続く「LOVERS」の激しい変調がさらに会場のボルテージを上げていく。荒々しいサビのシャウトが聴き手に迫りくる「Drape」ではオーディエンスは拳を突き上げ、「でくの坊」が流れ始めると突き上げられた拳は手拍子へと変わり、メンバー3人とファンが一緒に曲を奏でているような一体感を見せた。
text by 沖山春香・大須賀万織

【 杏窪彌 】
“ニーハオ”と中国語のMCでスタートした、台北生まれ日本育ちの杏窪彌(アンアミン)。メンバーによる通訳を通じて、レトロな曲調の「イエローサブマリン音頭」が始まると、会場中の視線を一気に惹き付ける存在感はさすが。誰もが楽しめる選曲と曲調で会場中を暖かい空気へと変えていった。続く「不夜城アンアミン」ではゆったりとした曲調から思わず手を叩きたくなるような軽快なアップテンポへと転調し、場内も揺れる揺れる。3曲目の「チャイナタウン」の曲中で《にーばん》《おーわり》といった可愛い言葉が魅力的に響くと会場中から手拍子が沸き上がる。オーディーエンスは杏窪彌の世界に引き込まれているようだった。その勢いを落とさずに「恋愛と先輩」が始まると、息の合ったメンバーの演奏に場内は釘付けに。そして、最後は振り付けもあるキャッチーなメロディーの「ジャンアントパンダにのってみたい。」を披露。これは脳内で何回も何回もリピートされてしまうような中毒性があるキラーチューン! 去り際に“謝謝”と感謝の気持ちを伝え、会場を柔らかくやさしく包み込んだ。
text by 小嶋千咲・関侑菜

【 Hermann H. & The Pacemakers 】
ステージ上で円陣を組み、固い握手を交わしたHermann H. & The Pacemakers。オープニングは「アクション」からライヴが始まった。メンバーの“アクション!”という掛け声にオーディエンスも手を挙げ応える。会場はど頭から熱気に包まれ、ヘルマンの世界へと変化していった。毒々しく癖になるメロディーとサウンドが特徴的な「PINKI'S ROCK SHOW」では感情をあらわにし、圧倒的なパワーでフロアを盛り上げた。その勢いを止めないまま、新曲「Mr.Memento」を披露。続く「ROCK IT NOW!!」では、待っていましたとばかりにタイトルコールで歓声が上がる。メンバーが向かい合いながら繰り出すグルーブに会場は飲み込まれ、心地良いリズムに自然と体が揺れる。《笑って歩こう》という印象的な歌詞に温かな気持ちにもなることも特筆すべきところ。まさにラストナンバーに相応しい曲で、ストレートにカッコ良いロックを見せ付けてくれた。進化をし続ける彼らのライヴパフォーマンスは観る者を心から笑顔にする。とどまることを知らないHermann H. & The Pacemakersのロックショーは拍手喝采で幕を閉じた。
text by 軍司沙也加・西玲子

【 CRAZY WEST MOUNTAIN 】
7バンド目、トリ前を飾ったCRAZY WEST MOUNTAIN。ビヨンセの「crazy in love」のSEとともにメンバーはサブステージに登場し、1曲目の「ピッツァ」を披露。“ピッツァのPはパッションのP”と最初からアクセル全開のメンバーのパッションが会場に乗り移っていくようだった。鶴岡(Vo)によるMCが始まると、唐突に“みなさん、喉が渇いていませんか?”と問いかけ、次の「鬼殺し」へとつなげた。真っ直ぐ前を見据える強い目線、堂々としたパフォーマンスは先ほどの軽快なMCとは打って変わって、重々しく漢らしい一面を見せ付ける。そして、ラストは彼らのライヴではすでに“名物”となっている「CWMのテーマ」。この日は特別ゲストのHermann H. & The Pacemakersからウルフこと若井悠樹が飛び入り参加するサプライズがあり、西山(Ba)とひとつのマイクでコーラスをしたり、ステージを自由に動き回る姿にメンバーと会場のテンションも最高潮となり、完全にフロアは彼らのホームと化する。CRAZY WEST MOUNTAINはトリ前というプレッシャーを跳ね除け、圧倒的な存在感を示したのだった。“面白さ”と“カッコ良さ”を同時に体験できるライヴを作れるバンドは少ない。彼らには自分たちにしかできないライヴをこれからも突き進めてほしい。
text by 大須賀万織・関侑菜

【 THE COLLECTORS 】
ギター&ベース&ドラムによるインプロビゼーションが響きわたる中、ヴォーカルの加藤ひさしが登場すると本日のトリである、THE COLLECTORSのステージがいよいよ始まりを告げた。ファンにとって馴染み深い「TOUGH-all the boys gotta be tough-」「Million Crossroad Rock」では会場内の至るところから拳が突き上がり、コール&レスポンスが起こる。バンドとファンとの長年の絆を物語るシーンだ。
MCを挟み、静寂の中「プロポーズソング」のイントロが流れ出すと会場はたちまち、幸せなグルーブで大きく揺れ出した。この世界で一番幸せな歌詞にうっとりと聴き惚れる人の笑顔が会場に満ちあふれる。曲が終わっても歓声の嵐は鳴り止まず、続くジャジーでポップな「恋はヒートウェーブ」で会場の揺れは加速していく。“ロックンロールは続く!”という加藤の掛け声にオーディエンスはさらにヒートアップ! 続くどこか懐かしい曲調の「NICK NICK NICK」、疾走感が際立つ「GROOVE GLOBE」でも上げられた拳は下げられることはなく、ラストの「世界を止めて」に突入。リフレインされるサビの言葉《時間を止めて》はまるで集まったオーディエンス全員の心を歌っているようだった。そして、本編終了後も鳴り止まない拍手により、アンコールでは「TOO MUCH ROMANTIC」が披露される。ファンとメンバーの終始笑顔と拍手で満たされていたステージは幕を閉じた。
text by 沖山春香・小嶋千咲


最初から最後まで見逃せない最高のイベントであった。今までも多種多様なアーティストがそれぞれの色を出しながらライヴを披露してきた『メガホンナイト』は、これからも続いていく。