開演時間となり、大きな歓声の中、小林武史とバンドメンバー、そしてCharaが登場。SEからセッションを経て最初に歌ったのは「Gold Rush」だ。ピアノとギターのシンプルな演奏に乗せて歌声が響いた瞬間、その場の空気がガラリと変わる。
コケティッシュな「上海 ベイベ」を歌い終えて笑顔を見せたCharaは「みんな元気ですか?グリコです」と声をかける。映画『スワロウテイル』で彼女が演じた主人公の名前だ。そして「次の曲は、グリコが会ったことのないお母さんに向けて書いた曲です」と、「小さな手のひら」を歌う。純白のドレスを着た彼女は最後まで“グリコ”としてステージに立っていた。
映画の中でも重要な位置付けとなっていたフランク・シナトラのカバー「My way」に続けては「まだタイトルは決まってないけど、僕らの中では“EL”と呼んでいます」と、新曲を披露。思わず引き込まれるような壮大なバラードだ。終盤には、この場所ならではの自然の演出も生まれていた。日が暮れてあたりが暗くなり、まるで紙吹雪のように舞う沢山の羽虫に青や緑のライトがあたり、異世界のような光景が生まれていた。「これが蝶々だったらいいのにね」とCharaが笑う。
そして「沢山の愛、多様な愛がこの世界にあればいいなという願いを込めた曲です」と小林武史が語り、新曲「アイノネ」を披露。シンプルだが力強いビート、そして包容力を持ったメロディが印象的な、新たな時代のアンセムになりそうな一曲だ。最後は全員を魅了した「Swallowtail Butterfly」。感動的な余韻を残して、バンドはステージを降りた。
単なる復活劇ではない。約20年の時を経て、架空のバンドに新たな“命”が宿った。そんな確信を抱くようなライブだった。新曲のリリース、そしてJFLキャンペーンのZeppツアーも決定している。物語はまだまだ続く。その先行きに大きな期待の高まる一夜だった。
カメラマン:Yoshiharu Ota
レポート:Tomonori Shiba
◆ニューシングル「アイノネ」
2015年12月2日発売
初回限定盤(2CD) UMCK-9796/7 ¥1,500+税
通常盤(CD) UMCK-5588 ¥1,000+税