イギリス人の母、日本人の父、そのどちらも数学者という生粋の理系家庭に育ち、その容姿がロシア人を思わせることから学生時代の友人がつけた渾名がスプートニクをアレンジした「スプツニ子!(Sputniko!)」というアーティストをご存じだろうか。ロンドン大学数学科を20歳で卒業後、世界トップの美術大学院と言われる英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに進学しクリティカルデザインを専攻。大学の卒業制作が注目を浴び、東京都現代美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で展示されるなど、学生時代から脚光を浴び、社会批評眼を持ちながらもポップな表現を貫く独特のスタイルの作品がコンテンポラリーアートシーンの新星として、世界中で高い評価を得ている才媛だ。
1つのテーマに対し、デバイス/フォトグラフィー/Music Videoという3点セットで作品発表をする彼女だが、その魅力が集約され、ユーモアと批評精神に裏打ちされた独特のストーリーが展開されるのは常にMusic Videoであり、音楽・映像に対する彼女のこだわりとユニークな手法はネットユーザーを中心に、多くの人々に支持されて来た。
そんな彼女がFOGHORNに所属後、初の作品となる「Crowbot Jenny/カラスボット☆ジェニー」の題材は、ズバリ「人と動物のコミュニケーション」。イギリスの鳥類学者らと協力し、カラスと会話の出来るロボット「カラスボット」を開発。「動物と会話を試みるフシギ理系女子」のストーリーを展開している。
YouTubeで作品を公開し、Twitterで個展の参加者を募るなど、正にWEB世代の申し子と言える彼女だが、その活動はアートや音楽に留まらず、PRADAなどハイブランドからのオファーでファッションモデルをこなすかたわら、バンクシーから理数系に至るまで幅広く文章を雑誌媒体に寄稿、更には今年だけでも上海、L.A、N.Y、オスロ、エンセデー(オランダ)でシンポジウムやトークイベントに参加するなど、マルチな才能は多くのクリエイティブを志す若い人々の新たなロールモデルとなりつつある。