片恋椿

波の彼方に あなたを乗せた
船が涙で にじむのよ
声を限りに 叫んでみても
想いとどかぬ 海の上
どうせ私は 小島の磯に
咲いて散るのよ 片恋椿

遠い沖から 吹く潮風が
乱す私の 黒髪を
そっとやさしく 直してくれた
旅のあなたと ゆきずりの
恋におぼれた 浜辺の宿よ
夢は儚い 片恋椿

今日も岬で あなたを待てば
船は都へ 帰り船
別れ間際に また逢おうねと
云った言葉は 嘘かしら
つのる恋しさ 抱きしめながら
炎えて散るのよ 片恋椿
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