秋螢 -あきほたる-

一人旅して 来たはずなのに
いつか未練と二人連れ…
一軒宿の 湯舟の窓に
季節はずれの 秋螢
恋の残り火 消せないままの
私を見るよで つらくなる

思い出すのは 良(い)いことばかり
思い切ろうと つとめても…
お前も同じ 叶わぬ恋に
きっと身を灼(や)く 秋螢
聴いて呉(く)れるか 女の愚痴を
私の心が 読めるなら

愛にさよなら 出来ない内は
どこへ行こうと 同じこと…
一軒宿へ 哀しみ置いて
旅に出るやら 秋螢
胸の未練火 涙で消して
私も笑顔で 発(た)つつもり
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