春待つ女

凍るくちびる 薄紅引いて
一日三度の 汽車を待つ
お店に来そうな お客さん
見つけたくても 雪ばかり
こっこ煮たのが 美味しいのにネェ…
一人つぶやく カウンター

冬に埋もれた 小さな店に
暖簾の代わりの 軒つらら
暮らしに追われて 縛られて
女盛りも 見過ごした
ここの町しか 知らないからネェ…
テレビ相手に 呑むお酒

きっと今夜も 吹雪いて荒れて
馴染みのお客も 部屋の中
明日になったら 雪掻いて
三度変わらず 駅に行く
雪が溶けたら 見つかるかもネェ…
明かり灯して 春を待つ
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