春蝉

春も終わりと 鳴く蝉に
俺の心が また痛む
別れ言葉も ないままに
何処(どこ)へ消えたか 一夜草(ひとよぐさ)
なくな なくなよ なくもんか
なけば未練が こみあげる

逢えば短く 終わるけど
命重ねて つぎの世も
語り明かした あの夜を
今もせつなく 思い出す
ないて なみだが かれるまで
なけば倖せ きっと来る

夏に咲けない さだめでも
悔いはないわと 涙ぐむ
名残惜しんで くれるのか
つのる寂(さみ)しさ 花しぐれ
なけよ なけなけ なきあかせ
ないて明日へ 飛んでゆけ
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