瑠璃

部屋の隅のベッドには
かけがえのない命があって
そんな僕の気も知らぬまま
すやすやと寝息を立ててた

部屋の隅のベッドには
捨てられない首輪があって
2つとも使われないまま
二度ともうない帰りを待ってる

なんて思ってたんだろう
例えば名前
これで正しかったの?
いつか教えてね

瑠璃の色お前は
楽しかったかい僕は楽しかったよ
青を選んだかい
虹のふもとで待っててね
言葉のいらない世界で
どんな話をしようか

少しずつ耳が遠くなって
一歩また一歩、重くなって
でもなんだか身軽に見えた
忘れていくのも悪くないな

日々小さくなる
身体を見つめて
それは怖かったろう
話ができたら

瑠璃の色お前と
家族になれてうれしかったよ
海は苦手だった
気の毒な名前付けられたんだね
橋を渡ったらすぐ呼ぶよ
悪いけど忘れないでね

忘れたくないから

瑠璃の色お前は
幸せだったかい 僕は幸せだったよ
青を選んだかい
虹のふもとで待っててね
言葉のいらない世界で
どんな話をしようか
また遊ぼう、弟よ

部屋の隅のベッドも首輪も
捨てないよ
いつでも帰っておいで
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