マラブンタ・バレー

喰いばまれた体を包むものは
真赤な血のしたたりだけ
望むものもない倦怠の一時を
チーズの匂いがほぐしてくれる

あやぶまれた命を救うものは
名もない作家のひとり言
あせる事もない腹の出た男に
やせた犬供がじゃれついている

鉄ごう子に囲まれた俺達は
闇の中で何を夢みたらいいのさ
笑って騒いでわめきちらして
カラッポの頭で狂い咲くだけ

疲れはてた体をふるわせるのは
あのバカ供の歌う演歌だけ
ネクタイしめて役所に通えば
待つのは死んだ魚の目だけ

ハナミズたらしてグチグチ言う奴ぁ
犬小屋で残飯食べてりゃいいのさ
歴史のコワサを知らない奴とは
一体どっちか考えもんだね

鉄ごう子に囲まれた俺達は
闇の中で何を夢みたらいいのさ
笑って騒いでわめきちらして
カラッポの頭で狂い咲くだけ
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