ふたりのギター

お客の帰った 店の奥
あなたのギターを 聴いている
なんにも言わない この人の
今夜のギターは 泣いていた
冷たい夜の 真ん中で
どうにもならない ことばかり
あなたの奏でる 悲しみを
ぬぐってあげたい 夜だった

見る夢見る夢 消えてゆく
ひとつもいいこと ないけれど
心と心を かさねれば
少しはからだも あったまる
ふたりはどこか 似ているの
おんなじにおいが しているの
あなたの爪弾(つまび)く メロディーを
愛しく思った 夜だった
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