一枚の葉書

3年ぶり届いた 一枚の葉書に
誘われて 開けた扉
なつかしい埃(ほこ)りの匂い

座り慣れてたはずの 固いベンチ・シート
思いがけなく痛くて
過ぎた時間がここにある

不思議なものだよね、想い出は
ひとつ見つけると 拾い集めたくなる
そして いつか夢中になるの

笑顔でしか思い出せなかった
あなたが悲しく振り向いたことや、
早い夕暮れ 囲まれて行くのが怖くて
空っぽの明日に 逃げたことも。

花の季節が去ると 陽射しが強い街
タイムカードの時間を
気にしながら駅へ急ぐ

最後まで口をきかず 昨日見つめあって
ふっと、お互い いたわりあった
ふたりの後悔の日々

冷たいものだよね 想い出は
一つ間違うと 今日がとてもつらいよ
そして、やがて 胸で逃げてゆく

涙でしか思い出せなかった
Kissがホントは嬉しかったことや
あなたでしか思い出せなかった
愛に、今頃 泣きそうなことも

愛に、今頃 泣きそうなことも
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