「最幸論」

風が僕を追い越して
ブレーキが空に叫んだ
耳から落ちたイヤホンの音
スローモーション消えてった

君のその赤い眼鏡で
僕の心を、覗いてよ
魑魅魍魎、見えるだろう?
善悪さえ曖昧な判断

今日もご機嫌てやつが
半永久的に僕を支配
虚構に満ちた微笑みが
君への贖罪 辟易のディクション

未来永劫 安らぎなんてない
鏡に囲まれた世界で君は生きていくの?

君が右手を差し出して
僕も右手を差し出した
交わりさえ是認されない
狂った世界で見出した

正解を消して すぐ消して 今すぐ僕を消して
迷い込んだ森の中 見上げた空を彷徨って
このまま消して すぐ消して 僕の存在 非両立関係
この声は誰にも届かない 僕に突きつけられた「最幸論」

受け入れたこの生命に
心地いい誰かの声明
今日も世界の片隅で
自暴自棄なカタルシス

バラバラになったマネキンが
打ち抜く心の右顧左眄
君の手が浮遊して
そして彷徨った

君が右手を差し出して
僕が差し出した左手に
減少傾向 むき出しの感情
強制認識 強がりの表情

消して すぐ消して 今すぐ僕を消して
迷い込んだ森の中 見上げた空を彷徨って
このまま消して すぐ消して 携帯もテレビも月明かりも
不器用に手を握り返すだけの この僕を消して
世界を消して 宇宙を消して 月も星もこの空も希望も絶望も
君以外のすべてを僕から奪い去って
このまま消して すぐ消して 君の光で今すぐ僕を消して
この声は誰にも届かない 無気力な真実に身を委ね
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