野衾忍法帖

小人なら 語るに落ちる
大人とて 猿の筆が滑る

行き摩りの 皆様は 物見笠 素見騒きか

偶人なら 騙るに墜ちる
厭人とて 恋うること忘らぬ

行き摩りの 皆様は 物見笠 素見騒きか

知らぬを 只 貶め
見えぬを 只 推し遣る
吐いた唾 飲まねば解らぬ

御座なりを 已めて 奇ぶ 火を灯す
疑りを 込めて 怪士を愛でる

知らぬを 只 貶め
見えぬを 只 推し遣る
知らぬを 只 知らせて
見えぬを 只 見遣りて
要らぬを 只 聴して
食えぬを 只 往なして

刮ぎ見れば ひらりと野衾
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