モンマルトルの丘

せつなかった 胸がうずいたよ
苦しかったよ 愛していたよ……

名も知らない
栗色の髪の 白い肌の女
さめざめと泣いた別れ……
あの朝の 町角で
めぐりあい

よりそうは モンマルトルの
丘の道……

吐息(といき)して まさぐるは
ちいさい手よ……

ほろほろと 花は散り
しのび泣く……

紅のばらはつち色になえ
別れゆく運命(さだめ)のかなしさ……
しのびこむ あおざめた
月の影……

やるせなく 悲しみに
胸ふるえ……

栗色の 髪ぬらし
しのび泣く……

ゆきずりに 赤く咲く
花ひとつ……

紅のばらはつち色になえ
別れゆく運命(さだめ)のかなしさ……

あの時の ふたたびは
めぐり来ず……

せつなくて 悲しくて
遠い日よ……
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