夜霧の運河

霧は男の ため息か
それとも女の 寒い吐息か
お前と別れた あの日から
俺には帰る 場所がない
港のような 女だった
割れた裏窓 夜霧の運河

ふらり気ままに 逢いに来て
温もりむさぶり 次の港へ
本気になるのは 野暮なんて
男はいつも 愚か者
懺悔のように 酒を呑んだ
月も見えない 夜霧の運河

夢は男の いい訳か
それとも女の 淡い願いか
旅から旅への 暮らしには
こころが眠る 場所がない
さみしく微笑う 女だった
泣いていないか 夜霧の運河
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