―― 挿入歌「無機質」は、歌詞のリンクから、どこか主題歌「ファーストラヴ」の<あなた>側の感情にも感じられ、愛することでも人は救われるのかなと思うことができました。「無機質」にはそんな“アンサーソング”的な面もあるのでしょうか。
そういう聴き方も素敵ですね!意図したものではないですが、2曲とも、塞ぎ込んでいた自分に注がれた愛によって、次第に柔和されていく様は共通していて、一対になる曲だと思っています。
―― 「ファーストラヴ」と「無機質」それぞれ、とくに“書けてよかった”と思うフレーズを教えてください。
「ファーストラヴ」は、<絡まって解けない糸>が<解けていく>、そして最後は、新しく安心できる場所に<結んでいく>という流れを、心の内を表すフレーズとして書けてよかったです。
「無機質」は、冒頭の<道に迷ったと思ってたけど 僕はまだ進んですらいなかったみたいだ>です。シャッターのお話に通ずるのですが、”君”に会えた事によって自分を俯瞰で見る事ができ、ずっと止まっていた何かがやっと動き出すような感覚を書けたような気がしています。
―― 今回、カバー曲としてセレクトされた優里「ドライフラワー」はどのようなところがとくに魅力的でしたか。また、お気に入りのフレーズも併せて教えてください。
なんと言っても、まず優里さんの「歌」です。細かい装飾音符が散りばめられていて、とても魅力的な歌だなあと惹きつけられました。本当はまだお互いを想い合っているような、第三者のこちら側がもどかしくなる、切くて歯痒い歌詞もすごく魅力的でした。
<まだ枯れない花を 君に添えてさ ずっとずっとずっとずっと 抱えてよ>の箇所が、今まで本心を言えずにいたのに、唯一素直になっているところで、キュンとしました。
―― 「ファーストラヴ」は<私>と<あなた>、「無機質」は<僕>と<君>ですが、人称の使い分けの基準・こだわりはありますか?
特にこだわりはなく、その曲の雰囲気やテーマによってどれがいいかを選んでいます。
―― 作詞の際にマイルールはありますか?
ルールのようなものは、特にないんです。スタンダードな表現は使いたくないと思う事もありましたが、その言葉がスタンダードという位置を得た理由を考えてみると、それはやはり皆さんが共感でき、生きていく上で一度は感じたことがあるからこそスタンダードに成り得たのか…と思うと、そんな言葉たちの大切さに気づき、抵抗はなくなりました。
―― Uruさんが歌詞面で影響を受けているアーティストがいらっしゃいましたら教えてください。
アーティストというより、読む本の中でその描写の仕方が「なるほどなあ…」と思う事が多いです。
―― 最近「歌詞が良いなぁ」と思った楽曲がありましたら教えてください。
宇多田ヒカルさんの「Wait & See ~リスク~」です。曲が大好きだったのですが、ふと口ずさんでいたら、その時の自分の気持ちと突然ピタっと重なって、改めて歌詞の良さを感じました。
―― Uruさんは以前(2016年)「歌詞を書くこととはどんなことですか?」という質問に「ニュースの原稿と一緒」「(ニュースと同じように)歌詞にも気持ちとか風景とか物語を届ける役割があるので」と答えてくださいました。それは今でもお変わりありませんか? 新たにご自身にとっての“歌詞とは?”という価値観で変化してきた面はありますか?
ほとんど変わってないと思いますが、届ける側からではなく、受け取る側で考えた時に、やはりその歌詞は素直な気持ちを引き出す磁石的な役割をしてくれていたらいいなと思います。
―― 最後に、Uruさんのこれからの夢、目標を教えてください。
毎日を、1つ1つの事を一生懸命に過ごしているので夢や目標がないのですが…。変わらず歌を歌っていきたいです。