北川景子が主演の映画『ファーストラヴ』に書き下ろした主題歌&挿入歌!

 2021年2月10日に“Uru”がニューシングル「ファーストラヴ」をリリース。今作には、島本理生の小説を原作とした、北川景子が主演の映画『ファーストラヴ』主題歌「ファーストラヴ」と挿入歌「無機質」が収録されております。“初恋”を意味するタイトルでありながら、決して単なる甘酸っぱいラブストーリーではない、サスペンス・ミステリー。登場人物それぞれが抱える<ひび割れたままの記憶>に、Uruはどのように寄り添い、そしてどんな“愛”を描いたのか…。その想いをメールインタビューにてお伺いしました。また、歌詞に対するこだわりやカップリングとして収録されている、優里「ドライフラワー」の魅力についても明かしていただきました。是非、その言葉をシングルと併せて受け取ってください…!

(取材・文 / 井出美緒)
ファーストラヴ作詞・作曲:Uru幸せを願うことさえ怖くて 泣き方もわからずに怯えていた
肩を抱く誰かの温もりに 顔を上げると そこにあなたがいた
その腕の中聴こえてきた音は とても優しく温かい音でした
一つずつ心が解けていく
あなたと出逢い 初めて愛を 知りました
もっと歌詞を見る
蓋をしたくなるような、本心とか人の弱い部分を切り取りたくなる。

―― ステイホームの期間が続いておりますが、Uruさんはどのような“おうち時間”をお過ごしですか。

どちらかというと元々出不精な方で家にいる事は苦ではないのですが、出てはいけないと思うと不思議なもので、急に外に出たくなったりもします(笑)。変わらず、楽曲の制作作業やファンクラブSABACANのコンテンツ制作をしたりして過ごしていますが、毎日のお料理に時間をかける事も増えました。「こうやっておくと便利」など自分なりの時短テクニックみたいなものも編み出しました。

photo_01です。

―― 自粛期間中やコロナ禍によって、ご自身の曲作りに何か影響や変化がありましたら教えてください。

私の曲は、心の中のジクジクと湿っていて痛い部分に手で触れて撫でるような歌詞が多いですが、素直に涙を流せるような曲も良いけれど、この状況だからこそ、心の底から元気が湧いてくるような前向きな曲も届けたいと思い、作ったりしていました。

―― Uruさんは以前(2020年)のインタビューで「心が動いたときに楽曲が生まれることが多い」と回答してくださいました。人と会う機会が減ることで感情の動きが低下してしまいがちにもなりそうですが、最近の“心が動いた瞬間”というと?

人と会うことで得ていた自分の感情の気づきみたいものは確かに少なくなっています。でも、毎日のニュースやSNS、自分の元に届くメッセージなどで目や耳に入ってくる、自分とは違う場所でも一生懸命に毎日を過ごしている方の苦しみや痛みを知ると、胸がギュっと狭くなって絞られていくような感覚になります。

昨年、悲しいニュースが続いた時期には、ちょうど前回のシングル「振り子」をリリースする事が決まっていて、取材の時にその想いを話していると涙が止まらなくなってしまうほどに、自分の届ける音楽や歌詞のあり方について真剣に考えました。

―― 2021年は、2016年6月に「星の中の君」でデビューされてから5周年となるアニバーサリーイヤーでもありますね。この5年間での【Uruさん的ベスト3】な出来事は何でしょうか。

①ミュージックステーション初出場の際、音楽を本気で志そうと決意するきっかけをくださったスキマスイッチさんにお会いして、ご挨拶ができたこと。

②子どもの頃から観ていた「レコード大賞」で特別賞を頂き、出演させていただけたこと。

③コウノドリや中学聖日記など、実際の撮影現場にご挨拶に行かせていただき、こんな風に撮影しているのか…と、とても驚嘆したこと。

―― Uruさんの楽曲は、とくにドラマや映画との相性がよく、どの作品にもその一部かのように想いが溶け込んでいる印象を受けます。作品とのタイアップの際、もっとも大切にしていることは?

メロディが決まった時や楽曲全体の構成や雰囲気が決まった時、歌詞が決まった時、その都度、頂いている映像や台本が手元にあれば、デモを流しながらもう一度読んだり観たりし、その作品に寄り添えるものかどうか、その作品を制作されている皆さんがどんなイメージやメッセージを持っているかなど、いろいろな角度からいろいろな事を想像して作っています。

―― また、その歌声にも唯一無二の魅力があり、いつも心が震えます。ご自身の声にはどのような特性・特徴があると思いますか。歌うときにとくに心がけていることなども教えてください。

よく聞かれることではあるのですが、自分ではよくわからないですね…。歌う時に心がけているのは、歌詞の聴き取りやすさと、話しているように、語っているように歌えたら、という事です。

―― 歌詞を書いていて「難しい」と感じるのはどんなときですか?

難しいと感じることは沢山あります。こんな歌詞を入れたいという、心の中では書きたいことがあるのに、そのまとまりのない漠然とした枠組みと想いを言葉にして要約する作業に時間がかかってしまったり、一番言いたいことがわかっているはずなのに、それに合う言葉が見つからず、時間がかかってしまうこともあります。

辞書で調べたり、ひとり言をブツブツつぶやいて録音したものを自分で聞き「それってこういうことじゃない?」と、自分で自分に問いかけてみたり…。その時によってやり方は違うのですが(笑)。メロディが先に生まれた時も、この部分はこの母音になるようにしたいと思っても、その単語を生み出すのが難しかったりしますね。

―― 年齢や経験を重ねるにつれ、歌詞に書きたいテーマや恋愛観、人間観の変化はありますか?

例えば恋愛の曲だったら、人に相談できるようなストレートな心の内を描くことが多かったのですが、大人になるにつれ、入り組んだ先の奥の奥の方に、本当は気づいているけど触れないようにしている、みたいな秘めた想いを描いてみたり、表現の仕方も、直接的な言葉を使わなくなったり、そういった変化はあるかもしれないです。でも逆に、「好き」とか「愛している」のような直球な歌詞も書いてみたいなと思ったりもします。結局のところ、あまり変わってないんですかね(笑)。

人間観の変化は、良くも悪くも大人になるとわかってくる人間関係の歪とか、どうしても選択していかなければならない事とか、そういう綺麗事では済まないジメッとした部分をメモに書き残す事が増えたかもしれません。表面だけで捉えず、裏側も考えるようになったのは、賢くなれたと思えばそうですし、余計なものが備わってしまったと思えばそうですし。どちらにしても、私だけじゃなく多くの人に共通することだと思うので、共感してもらえるような感情や想いは大切にしたいです。

―― Uruさんは歌詞で、感情のどのような面を切り取りたくなることが多いですか?

前述の回答と重複してしまうかもしれませんが、私はきっと、蓋をしたくなるような、本心とか人の弱い部分を切り取りたくなる事が多いのかもしれません。

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