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LIVE REPORT

ハルカトミユキ

『ワンマンツアー 青写真を描く』

2014年02月08日
@渋谷CLUB QUATTRO

東京では大雪警報が発表され、45年ぶりの積雪を観測。そうした只ならぬコンディションにもかかわらず、開場時にはすでに大勢のお客さんが詰めかけていただけに、1曲目の「絶望ごっこ」が無事に始まった時にはなんだか少しホッとした。とは言え、記念すべき初のワンマンツアーのファイナルに懸ける本人たちの集中力と楽曲のヒリヒリとしたムードに、すぐさま会場全体が惹き込まれていく。「マネキン」のAメロでは、ミユキ(Key&Cho)がステージ前方に飛び出してジャンプ&クラップ! そんなアクションとちょっぴりグロい歌詞とのギャップも楽しく、ハルカ(Vo&Gu)は轟音ギターを掻き鳴らしながら力強く歌う。おなじみの佐藤亮(Gu)、梨本恒平(Ba)、中畑大樹(Dr)も磐石のサポートだ。そして、勢いそのままに「mosaic」では攻撃性とエモーションを解き放ち、間奏などアレンジでも観客を大いに唸らせた。

“絶望の歌じゃなく、希望の歌です”という紹介から始まった「ドライアイス」。鮮烈な言葉のチョイスや媚びないスタンスが取り沙汰される彼女たちだが、この曲や後半に演奏された「シアノタイプ」「ナイフ」で、儚く美しいメロディーが映えるハルカの歌、それに切なく寄り添うミユキの鍵盤とコーラスこそがハルカトミユキの本質であることを再確認させてくれた。中盤では、ハルカが弾き語りで披露した「長い待ち合わせ」、MVのキュートなダンスをミユキが軽快に踊り切ってみせた「Hate you」、ミユキがハンドマイク×シンセのパフォーマンスでガンガン引っ張るインスト曲「7nonsense」と振り幅の広さで圧倒し、オーディエンスもどんどんヒートアップ! また、ミユキの痛快なアプローチに呼応してハルカが笑顔が見せ、その気持ちがほぐれていくさまが印象的だった。

“私は誰のことも信じてなくて、みんな敵だと思ってて。私たちみたいな立場の人も同じことばかり歌うし...。でも、こんな私たちの歌を、今日来られなかった方たちを含めてたくさんの人が聴いてくれてて、これなら未来を信じてもいいなと思いました。本当にありがとうございます”。そう語るハルカの表情には清々しさがあった。ラストは“比喩ではなくて、きっと命を懸ける感じで来てくれたはずなので、魂を込めてそれに応えたい”という言葉から、渾身の「Vanilla」。ステージが全開でライトアップされたサビでのヴィヴィッドな爆発力は圧巻だったし、2人にとってのターニングポイントと言える曲でライヴを締め括ったことが心地良い余韻を生んでいた。インディ時代のナンバーも数多く披露した今ツアーを経て、ハルカトミユキが今後どんな未来を見せてくれるのか。とても楽しみだ。