ツアーのHow toを忘れたと言っていたが、そんなことを微塵も感じさせないのはさすがだと思う。1年9ヶ月振りにリリースされたアルバム『バースデー』を引っ提げ、これまた久しぶりの全国ツアーに赴くスネオヘアー。今日がその初日であり、会場は期待に胸躍らせて待ち構えていたのは言うまでもない。
スネオヘアーの第一声は“久しぶりだな、おい”。街で偶然出会った旧友に声掛けるようなラフさが観客にとってはうれしかったりする。ステージは楽器とメンバーと照明、そしてスクリーンに今回のジャケットデザインが映し出されるという、至ってシンプルな構成。付け加え、演奏も淡々と進んでいくのだが、不思議と胸には熱いものが込み上げてくる。楽曲の良さ、歌詞に込められた思い、優しい歌声、そういったものがダイレクトに突き刺さってくるのだ。その中でも「サフラン」で、温かなバックライトを受け演奏する姿がとても美しく見えたのは印象深い。激しいロックチューンや浮き足立たせる軽やかなナンバー、そして少し切なくさせるバラードだったりと、さまざまな切り口で魅了し、時間はあっと言う間に過ぎていった。
本編はあまりにも綺麗な終わりすぎたと思ったのか、“最後はやっぱりこの曲であったまってくれ!”と鉄板の盛り上がりナンバー2曲も披露。ダブルアンコールにも答え、無事にツアー初日を締め括るのだった。
MCでもお分かりになるとは思うが、本編とアンコールともにステージを小走りで降りていったりと、彼の茶目っ気ぶりが憎めない。ツアーは始まったばかりなので、楽曲同様、人々から愛されるスネオヘアーを身近で感じていただきたいものだ。