20曲近くをおよそ2時間かけて演奏するワンマンライヴにすっかり見慣れてしまった僕だが、このPragueのデビューシングル「Slow Down」のレコ発ライヴは9曲、およそ1時間弱。だが、彼らがライヴで観せようとしたものは曲数の多さ、時間の長さが問題ではなかった。何せ、トピックスが多い。金野倫仁(Ba)と伊東賢佑(Dr)による、ブラックミュージックを彷彿とさせるグルービーなビート。そこに乗る鈴木雄太(Vo&Gu)の歪んだギターのサウンド、リフがロックバンドとしての主張もしている。加えて、時折感じる彼の歌謡曲的な歌い回しのあるヴォーカルと歌詞に込めた反骨精神。決して異なる3つのバンドの音楽性を言ってるのではなく、これらがもれなくPragueの楽曲の中にあった。“何だこれ!? でもノれるし、歌詞も気になる”。初めて彼らのライヴを観た人はこう思うかもしれない。シンプルなサウンドで歌を前面に押し上げた「Roam」。12月9日に2ndシングルとしてリリースされる「Light Infection」はとにかくドラムが重く、ベースもブンブン鳴っている。ギターもハイボルテージで掻き鳴らされ、その中毒性も瞬発力もあるロックに打ちのめされた。そして、彼らがこのステージに立つことになったロックとファンクが融合した「Slow Down」など、多様な楽曲に終始、体は揺れながらも驚いた。加えて、終盤の伊東のMCでは“面白いことをMCで話すのがモットーでして”と自分でハードルを上げながらも、小粋なネタで笑いを取る。音楽性はもちろん、そのキャラクターも貪欲というか、シンプルに欲張りというか、野心の表れというか、Pragueには果てがない。