とてつもなく生々しいバンドだった、HaKUは。高音域の辻村有記(Vo&Gu)のヴォーカルは息を吐くようにウィスパーで、「tou-gen-kyo」という楽曲では深呼吸する息がそのままマイクを通してフロアに広がっていく。藤木寛茂はギターのみで電子音的な音を奏で、ベース、ドラムはパンクバンドと思うくらい激しかったりタイト。メロディーの展開も起伏が多いのだが、奇をてらったようなものでなく、すっと体に入ってくる。一見、低血圧然とした、緻密で細やかな音像なのだが、頭で考えたような音楽ではなく、メンバー4人の体からそのまま湧き出たようにエモーショナルな衝動でもって音を鳴らしているように思えた。爆音でシャウトする音楽だけがロックではない。いかに生々しいかなのだ。