開演前に鳴らされていたBGMに割って入るように響く鼓動音。一斉に響き渡る歓声の中、ステージ後方の巨大LEDに心臓の3Dが写し出され、その血管を通って宇宙空間へといざなわなれる。そして、流星の映像とともにメンバーが現れ、最後にKREVAが登場!
...しかし、派手なのはセットとKREVAの衣装ぐらいで、音を届けるのは3人のビート・クリエイターとKREVAの4人のみ(唯一、アンコールの「シンクロ」で古内東子をフィーチャリング)。この編成は“ROUND ZERO”から変わっていない。ロックバンドがライヴを積み重ねてグルーブを高めていくように、ライヴハウスツアーだった“ROUND 1”、ライヴホールを回った“ROUND 2”を経て彼らも成長し、1万人クラスのアリーナであってもイニシアチブをとり、威風堂々としたパフォーマンスを繰り広げていた。また、ニューアルバムのツアーということで、『心臓』のナンバーが矢継ぎ早に繰り出されるのだが、中盤は旧アルバムの楽曲...それもソロ5年間を遡るかたちで披露されていく。そのセクションでもスキルやビート感の成長を見せていたと言えるだろう。再び『心臓』のナンバーに戻ったのが「Tonight」。本ツアー中、楽器も弾けない、譜面も読めないKREVAがボコーダーの弾き語りに挑戦し続けた楽曲であり、それもまた彼のトライアルだった。ライヴというエンターテインメントを通じて伝えられる、挑戦と成長。それこそが本ツアーのテーマなのである。ソロ5周年ということで、さらなる高みを目指すKREVAの気持ちが渾身のアルバム『心臓』であり、32公演にも及んだ本ツアーに込められていたということだ。もちろん、それは“NEXT STAGE”へと続く...。