グループ史上初のベストアルバム『-バンもん!BEST- 極仲良的世界』を完成させたバンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIが、リリース日の5月19日に発売記念ライヴを行なった。コロナ禍の影響により万全な感染対策を施した上で“有観客+配信あり”という形態で開催。会場となった新宿BLAZEには平日にもかかわらず多くのファンが集まり、開演前から6人の登場を待ち構える観客でいいムードが広がっていた。
暗転した場内にオープニングSEが流れ、鈴姫みさこ、恋汐りんご、ななせぐみ、望月みゆ、甘夏ゆず、大桃子サンライズの順番でステージに姿を現す。客席から熱い拍手が湧き起こり、ライヴは疾走感にあふれた「6 RESPECT」からスタート。フィジカルなダンスを展開しながら交互に歌い、ステージ全体を使った華やかなパフォーマンスを織りなすメンバーの姿と、キャッチー&アッパーなサウンドに客席のボルテージが一気に高まる。ライヴが始まると同時に場内は、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIの世界へと染め上げられた。
「ゴッドソング」でさらに加速したあと、最初のMCへ。メンバー紹介に続いて“私たちの初のベストアルバム『極仲良的世界』リリース日でございます! この記念すべき日に、平日でお時間も早い中駆けつけてくれて本当にありがとうございます。今日は目いっぱい楽しんで帰ってもらえたら、私達も嬉しいです”と望月みゆが挨拶。メンバーの笑顔からは有観客でライヴができたことへの嬉しさが伝わってきたし、オーディエンスが“声出し禁止”というルールをしっかり守って熱い拍手や鳴り物(今回のライヴは鳴り物持ち込みOKだった)で応える姿も印象的だった。
続くセカンドブロックではハイテンションな「キメマスター!」とファンクとパンクを融合させた「イミ・ナイ・ダンス」を披露。6人それぞれが個性を押し出しながらパフォームするステージを観ていると、“バンもん!は本当にキャラが被ったメンバーがいないな”と改めて思う。シルエットや髪型、歌声、歌い方、ダンスの振りの大きさなどが六者六様でいながらケミストリーやチーム感を生み出す彼女たちは不思議な存在と言える。
それを可能にしているのは、個性はバラバラでいながら価値観や惹かれるものが同じというメンバーが揃っていることが理由だろう。好みが同じであれば楽曲やダンスの振付け、ライヴの演出などでメンバーの意見がぶつかることはなく、強い説得力を生むことにつながる。さらにメンバーがそれぞれの個性を尊重し合っているため、彼女たちは常に自分自身でいることができる。その結果、全ての瞬間でメンバー全員が輝いていて、それはバンもん!の大きな魅力となっている。
ななせぐみと甘夏ゆずが『極仲良的世界』のリリースに伴って全国ツアーを実施することを告知したあと、“私たちの気持ち、受け止めてください”(甘夏ゆず)という言葉とともに「ショコラ・ラブ」と「ピンヒール」を披露。明るいライヴの中で素早く気持ちを切り替えて、エモーショナルな情景を描くあたりもさすがだ。温かみや切なさを湛えた世界観に惹き込まれたし、こういったナンバーはメンバーひとりひとりが歌うパートが長いため、よりそれぞれの個性を味わえることもポイント。“ライヴ中のひと休み”という雰囲気は微塵もなく、非常に観応えのあるセクションとなっていた。
ライヴ後半ではさわやかなアップテンポの「White Youth」と新曲の「O」を続けてプレイ。バンもん!のライヴはほぼ全編にわたって鈴姫みさこがドラムを叩き、望月みゆがベース、甘夏ゆずがギターやシンセを手にするシーンが多いことも特色だ。3人が奏でる躍動感にあふれたサウンドとキュートな恋汐りんご、軽やかにステージを行き来して歌うななせぐみ、情熱的なダンスと歌で魅せる大桃子サンライズの取り合わせは生の楽器が鳴るライヴならではの熱気を放ち、観ていると気持ちを駆り立てられずにいられない。オーディエンスは盛大な盛り上がりを見せ、「O」を聴かせたあとにメンバーがステージから去ると同時に、客席からはアンコールを求めるアツい手拍子が湧き起こった。
アンコールの拍手が鳴り止まない中、サプライズで「レジェンドあいらぶゆー」のMVを解禁。その後、MVの衣装であるサファリジャケット姿でメンバーが登場し、「レジェンドあいらぶゆー」を披露した。明るい楽曲とミュージカルを思わせるパフォーマンスで客席を大いに沸かせたあと、鈴姫みさこが『極仲良的世界』がオリコンのデイリーチャートで2位を獲得したことを告げる。“本当に、みんなのお陰です。もんスター(ファンの愛称)ありきでバンもん!だと思っているし、みんなのためのバンもん!、私たちは私たちのためのバンもん!という存在でバンもん!があり続けるといいなと思うので、自分のために楽しめることを、いっぱいバンもん!を使って楽しんでもらえたらと思います。これからも人生一緒に楽しみましょう!”という鈴姫みさこの言葉でライヴを締め括り、終演後の場内は心地良い余韻に包まれていた。
ショートライヴでいながら充実感のある内容で楽しませてくれたバンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI。“ポストアイドル”“大人アイドル”と名乗り従来のアイドル像にとらわれないスタンスから異端児的な見られ方をすることも多い彼女たちだが、ファンに笑顔や幸せ、癒しなどを与えるアイドルの本質的な部分を追求していることも注目だ。正統的なスタンスを貫いた上で、“好きなことをしている時が一番可愛い”ということを示している姿は本当に魅力的である。活動を重ねるに連れて独自の魅力をどんどん深めていることもあり、今後のバンもん!はさらに多くのリスナーを虜にしていくに違いない。そんなことを予感させる上質なライヴだった。
撮影:キセキミチコ/取材:村上孝之
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
バンドジャナイモン!マックスナカヨシ:2011年、神聖かまってちゃんのドラマー・みさこが、かっちゃんとふたりで結成。“ツインドラムあいどる”として活動を開始し、12年10月にミニアルバム『バンドじゃないもん!』でメジャーデビュー。その後、メンバーチェンジを繰り返し、14年に現在の6人体制となる。15年には初の全国ワンマンツアーを成功させ、16年5月にシングル「キメマスター!/気持ちだけ参加します。」で再メジャーデビュー。18年11月にグループ名を”バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI”に改名し、21年5月に初のベストアルバム『-バンもん!BEST- 極仲良的世界』をリリースした。