今年デビュー20周年を迎えたシンガーソングライターのemikoが6月30日、『emiko 20th Anniversary Special Live』を東京・下北沢Com.Cafe 音倉にて開催した。“人を想う”...そんな歌たちを、さまざまな伝え方や表現方法で変化させながら、安堵感を湛えたその歌声で、20年間、歌い、届け続けてきたことを改めて感じる、そんな一夜だった。
数多のレパートリーの中から、テーマ別に届けられる楽曲たち。宇戸俊秀(Pf&Acc)、松田ari幸一(Hp&Ag etc)とともに、「会いたくて」ではやさしさと温かさを擁した声を聴かせ、「いとおしい夜だから」では“この想いよ伝われ!”と伸びやかな歌声を場内に広げる。「ポトフ」では楽曲のキャッチーさも交え、一気に会場を弾んだ雰囲気に変えて、まずはストレートに伝えられない恋心が詰まった曲たちが歌われた。
続く、切ない歌たちのゾーンでは、冬の愛しい温もりを想起させた「雪舞」、後悔を感情たっぷりに歌い上げた「追憶 〜明かりの消えた部屋〜」で切なさと愛しさを募らせていく。さらに、この日は新曲も初披露。“『NHK みんなのうた』のような曲になってほしい”との想いで作られた「働き蜂」はほっこりとした楽曲で、日々の疲れへのねぎらいとともに、明日はさらに良い日になることを信じさせてくれた。
後半は元気&応援ソングが場内に活力を与える。友達に元気になってもらいたいとの想いを込め作られた「横顔」や、自身もブルースハープを吹き交えて歌った「春のスタートライン」は、デビュー20周年という節目だからこその“これからも私は私らしく”という想いや心機一転の気概を感じさせ、本編ラストの「冷たい雨」では“これからずっと歌い続けていく”という彼女の熱い想いも伝えられた。
アンコールではピアノの弾き語りにてデビュー曲の「どんなにつらい事があったとしても」を披露。そして、また次の目標に向かって進んでいくという強い気持ちを込めて、最後に「遠い空」をやさしくも力強く歌い、これからも自身のペースでしっかりと歌い続けていくと、会場に詰めかけたファンと約束を交わし、デビュー20周年を掲げたスペシャルな一夜は結ばれた。
撮影:岡 健三/取材:池田スカオ和宏
emiko
エミコ:1995年、江古田マーキーで行われた第一回SMC公開オーディションで合格。99年5月に「どんなにつらい事があったとしても」でメジャーデビュー。初めて自分で作詞作曲した同曲が人気アニメ『逮捕しちゃうぞ the MOVIE』にイメージソングとして収録され、『逮捕しちゃうぞ 墨東ワンダフルSTORY』にもオリジナル曲「Yell〜あなたの隣で〜」が収録される。01年12月に1stアルバム『Lonely Lonely』、04年6月に2ndアルバム『青空のYU・KU・E』、04年11月に3rdアルバム『鎌倉天気雨』、そして14年5月にはデビュー15周年を記念したアルバム『Honesty』をリリース。近年ではピアノの弾き語りスタイルで、都内を中心に北海道から沖縄まで全国各地でライヴを行っている。