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LIVE REPORT

Halo at 四畳半 ライヴレポート

【Halo at 四畳半 ライヴレポート】『Halo at 四畳半 ワンマンツアー 2018-2019 "悲しみの朝の愛し方"』 2019年2月9日 at マイナビBLITZ赤坂

2019年02月09日
@マイナビBLITZ赤坂

昨年10月にリリースしたメジャー1stフルアルバム『swanflight』を引っ提げ、12月2日の新潟から、年を跨いで全国9カ所を回ったHalo at 四畳半(以下ハロ)のワンマンツアーが2月9日にマイナビBLITZ赤坂でファイナルを迎えた。この日は開演直前まで雪が降っていたことや、MCでメンバー自身が明かしたように、ツアー期間中に渡井翔汰(Vo&Gu)と片山 僚(Dr)が熱を出して高松公演があわや延期になりかけたことを考えれば、無事に満員御礼のファイナル公演を開催することができた喜びはひとしおだったと思う。中盤、渡井は“千葉のバンドである自分たちが東京に帰ってこられる――東京に待ってくれている人がいることが嬉しい”と語ったが、それも含めていろいろな想いにあふれ返った2時間の熱演だった。

“声を聴かせてくれ!”という渡井の言葉に、早速、観客がシンガロングで応えた1曲目の「ヒーロー」をはじめ、シンガロングやコール&レスポンスを交えて大きな一体感を作り上げたのは『swanflight』からの11曲に新旧の代表曲を加えた全19曲。ぎっしり埋まった客席を見渡した渡井は“これだけいろいろな人がいるんだから、いろいろな時期のハロを観せたい”と選曲理由を説明。新旧どちらの曲に対しても変わらない観客の反応は、一曲一曲しっかりと、その想いを届けながらファンを増やしてきた、これまでのハロの活動を彷彿させたのだった。

“自分たちが音楽といろいろな人に助けられたように、今度は俺たちの番だと思っています。幸せが続かない時、躓いた時、隣にいられるバンドでいたい。この音楽が耳元で鳴るように。もう少し頑張ってみたいという想いが生まれるように。これが俺たちからの恩返しです”。ライヴの終盤、渡井が語ったその言葉は、ツアーで各地を回りながら、今一度確信した想いだったに違いない。その想いがこれまで以上に強いものになったことは、気迫に満ちた演奏が観客を釘付けにした本編最後の「悲しみもいつかは」の最中、渡井が放った“この音楽が救ってやる!”というひと言が物語っていたように思う。

その「悲しみもいつかは」をはじめ、悲しみを歌いながら、そこに希望を見出す詩情に満ちた渡井の歌の魅力ももちろんだが、激しく感情を迸らせる一方でバンドが繰り広げる絶妙なアンサンブルは、やはりライヴで観てこそだ。その激しいプレイで、楽曲と言うよりもむしろライヴそのものを加速させる齋木孝平(Gu)のギターや、8ビートを刻みながらスラップやオブリを交え、演奏に耳に残るアクセントを加える白井將人(Ba)のベースもさることながら、この日一番印象に残ったのは「アルストロメリア」でアンセミックな曲調に相応しい大きな景色を作り出した片山のドラムプレイだった。単にギターロックのひと言では片付けられないそのアンサンブルは、ぜひライヴで体験することをお勧めしたい。

“もっとでっかい夢見ようぜ!”(渡井)という言葉を受けるように“叶えたい夢があるから、ここではまだ泣けない。泣くまで、一生ついてきてください(笑)”と感極まってライヴで泣いてしまうことが多い白井は言った。昨年10月、メジャーデビューという夢をひとつ叶えたハロはツアーファイナルを迎えたこの日、新たな夢に向かって走り出す。

アンコールで6月にミニアルバムをリリースすることと、7月19日にバンド史上最大キャパシティとなるZepp DiverCity Tokyoワンマンに挑戦することを発表した彼らは「魔法にかけられて」でライヴを締め括る...と思わせ、“最高の時間をありがとう。終わりたくないからもう1曲やります!”(渡井)と最後の最後に、初期から歌い続けている「シャロン」を演奏した。“歌え!”という渡井の言葉に応え、観客のシンガロングが会場中に響き渡ったことは言うまでもない。

カタカタと音を立てながら映写機が光を放つ中、SE代わりに詩の朗読を流したオープニングに対応するように、終演後にはメンバーによる手書きのメッセージがバックドロップに映し出されたことを最後に付け加えておきたい。そんなところにもツアーファイナルを特別なものにしたいというバンドの想いが感じられた。

撮影:オチアイユカ/取材:山口智男

Halo at 四畳半

ハロアットヨジョウハン:2012年結成。千葉県佐倉市出身の4人組バンド。バンド名は銀河を取り巻く“Halo”と現実を象徴する“四畳半”の間に位置する存在という意味。ヴォーカルの渡井翔汰による力強さと温かさが共存する楽曲と圧倒的な歌、精力的なライヴ活動でオーディエンスを魅了し、着実に実力と実績を伸ばす。18年10月17日、初のフルアルバム『swanflight』でメジャーデビュー。