“壮大なライヴ”をテーマに掲げ、フレンズが挑んだNHKホールワンマン公演。オープニングのSEに使われた映画『2001年宇宙の旅』のメインテーマ――シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」も、宇宙空間を意識したセットもその一環だ。ライブは「パーティーしよう!」でスタート。早速、コール&レスポンスで会場が一つになった「Hello New Me!」から「Wake Up Baby」「シンデレラガール」とテンポよく曲を重ね、「NO BITTER LIFE」から「ベッドサイドミュージック」までの3曲は、ズッ友ホーンズを迎え、曲が持つアーバンな魅力とパーティー感をいつも以上に際立たせながら、会場をぐんぐんと盛り上げていった。
1曲目から総立ちの観客は手を振ったり、声を上げたり、曲によっては、おかもとえみ(Vo)の振りに合わせ、踊りながら楽しんでいる。懐かしいブラックビスケッツの「タイミング~Timing~フレンズcover ver.」の“壮大な”前振りだった中盤の寸劇「塁は友を呼ぶ」もズッ友(=フレンズのファンの呼称)にはすっかりお馴染みのお笑いコンビ、ラブレターズと後半、ダンサーとしてライヴに加わるTEMPURA KIDZを迎え、いつもよりもスケールアップ。“ブラックビスケッツと共演したい”をはじめ、おかもとの突拍子もない発言に、ひろせひろせ(MC&Key)が困惑するMC中の2人のやりとりにも思わずニヤリとさせられた。すっかりライヴの見どころの一つになってきた。
しかし、今回のフレンズはと言えば、ひろせが出したお題にメンバーが答える大喜利を含め、曲間のバラエティー要素に頼らず、三浦太郎(Gu&Vo)、長島涼平(Ba)、関口塁(Dr)――ライヴハウス・シーンで長年、活躍してきた腕利きたちが支える演奏や、どこかノスタルジックなウェルメイドなポップソングそのものの魅力でバンドのスケールアップを印象づけることに挑戦。もちろん、おかもとの伸びやかな歌声(ピアノバラードの「咲かないで」では観客を釘付けに!)、そして、ラップを交えながら客席を煽るひろせのパフォーマンスもホールにふさわしいスケールを感じさせるという意味で見ごたえあるものだった。
そして、後半戦は、ひろせによる“もっともっと声を出していけますか!?”を合図に「常夏バカンス」、再びズッ友ホーンズが加わり、“一緒に踊ろうね”というおかもとの呼びかけに観客が応えた「原宿午後6時」「塩と砂糖」、そして観客のシンガロングがさらに大きな一体感を生んだ「夜にダンス」とつなげていき、“東京ドームでワンマンライヴ”というバンドの目標を改めて語ると、本編ラストはしっとりと「街」で締めくくった。
そんなところが渋谷系ではなく、敢えて神泉系を掲げるフレンズらしいと思いながら、もちろん、そこで終わるわけがなく、アンコールはアーバンな魅力もある新曲「地球を超えても」と、ズッ友ホーンズが加わった人気曲「Love, ya!」というダンスポップナンバー2曲をダメ押しで披露。カラフルな照明の中、客席に下りて、ギターを弾いた三浦を含め、バンドの演奏が白熱した後者では、大団円に向かって、そこにいる全員が♪パラッパッパ~と歌った。彼らのライヴではお馴染みの光景。しかし、この日、ホールに響きわたるシンガロングの声の大きさもまた、“壮大な”という言葉がふさわしいものだったのだ。
取材:山口智男
フレンズ
フレンズ:2015年6月に結成された“神泉系”バンド。16年5月に東京・THREEにて初のワンマンライヴを開催。会場および通販限定で発表した1stミニアルバム『ショー・チューン』が好評を博し、各地のイベントやフェスに多数出演。17年4月に初の全国流通盤となる1stアルバム『ベビー誕生!』を、同年11月に2枚目の全国流通盤となるプチアルバム『プチタウン』を、18年3月にはEP『ベッドサイドミュージックep』をリリースした。