2月2日にORESAMAがキャリア最大規模となるワンマンライヴ『ワンダーランドへようこそ~in STUDIO COAST~』を新木場STUDIO COASTで行なった。年始に配信リリースされた「ワンダーランドへようこそ/秘密」のインタビューでトラックメイカーの小島英也は、2019年の目標を“原点回帰”と口にしていたが、ライヴ初めとなったこの日、ここまで積み重ねて作り上げてきた彼らの魅力と世界観が具現化された一夜となった。
ライヴバージョンにアレンジされた「ワンダーランドへようこそ」のイントロが鳴り響く中、ステージを覆っていた黒幕が取り払われるとメンバーが姿を現しライヴがスタート。ミラーボールが放つ無数の星と、色とりどりのライトでレインボーカラーに染めあげられた会場内は、まるで宇宙を旅するスペースシップの様相。DJ MONICOとベースの三浦光義のサポートメンバーふたりが作り出すグルーブ感あふれるボトムに、アグレッシブな小島のギターと銀色の衣装に身を包んだぽんの伸びやかな歌声がのったORESAMAサウンドが放たれると、ファンでぎっしりと埋めつくされたフロアーは瞬く間にワンダーランドという異空間になった。
ファンクやエレクトロを軸に、さまざまなアイデアを取り入れたポップミュージックユニットというイメージが強いORESAMAだが、彼らの魅力はそれだけではない。この日印象に残ったのは「Hi-Fi TRAIN」「Trip Trip Trip」「デジタルラブ-Remix-」などアッパーなナンバーを立て続けに披露した前半を終えた中盤に、“切なかった気持ちとか、届けられなかったどうしようもない気持ちを押し込めてある引き出しをちょっとだけ開けてもらって、みんなの記憶や思い出のフィルターを通して、あなたが物語の主人公として、この曲を聴いてもらえたらとても嬉しいです”というぽんのMCから歌われた、メロウなスローナンバー「秘密」。ORESAMAの曲には前向きな気持ちや強い意志を持って前に進むアッパーな曲であっても、心の内側にある切なさが描かれているものが多い。ゆったりとした優しいメロディーと語り掛けるような歌声で聴き手の中にスッと入ってくる「秘密」はその切なさが色濃く出た楽曲で、ぽんと小島でしか作れないORESAMAの持つ世界観の芯にある部分に触れたような気持ちになった。
レーザーや照明を多用したパーティー感あふれる演出も、ORESAMAライヴでの楽しみのひとつ。今回のワンマンは日本屈指の大型クラブである新木場STUDIO COASTでの開催ということもあり、ライティング、サウンドともにベストマッチングで、恒例となっているMONICOのDJパートはもちろん、彼らの音には欠かせないアタックの強い低音や、きらびやかなシンセの高音も余すところなく体感出来て体を動かさずにはいられなかった。特に「ホトハシル」以降「銀河」「流星ダンスフロア」という本編ラストのパートは、小島のシャープでファンキーなギターカッティングや、三浦のスラップベースのグルーブ、どこまでも届きそうなぽんの可愛らしくも力強い歌声とそれら全てをまとめながら色をつける MONICOのDJがひとつの大きな渦のようになってフロアーを駆け巡り、音源では味わえないORESAMAが作り出すライヴサウンドに心も体も踊らさせれた。
4月にニューシングル「OPEN THE WORLDS」をリリースするORESAMA。新木場STUDIO COASTでのワンマンを成功させて、次はどんなライヴを見せてくれるのか楽しみだ。
撮影:江藤はんな(SHERPA+)/取材:山村哲也
ORESAMA
オレサマ:渋谷から発信するふたり組ユニット。80'sディスコをエレクトロやファンクミュージックでリメイクしたミュージックを体現! その新感覚はイラストレーターうとまる氏のアートワークやミュージックビデオと相乗効果を生んで新世代ユーザーの心をとらえている。2018年4月には待望のメジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』をリリースした。