鹿児島発ダンスヴォーカルユニットの1 Believe FNCが12月16日、東京で2度目となるワンマンライヴを成功させた。同ユニットは女子5人組の1-Girlsと男子5人組のStefaと女性ダンサーたちで構成されており、この日のチケットは完売。もちろん今夏、東京では初だったワンマンライヴを経てのリピーターもおられたであろうが、今夏発売された1-Girlsの「Happy Days」、Stefaの「想い出の365日」の波及や前回ワンマンでの評判もあり、初見の人たちも多く見受けられた。
開演までの間、上述の初ワンマン時の映像が投影されていたステージ前方スクリーンが上がると、そこには1 Believe FNCのメンバー全員がスタンバイ。まずはユニット全体のダンスからライヴはスタートした。全体でのシンクロやアクロバッティングなダンスはもとより後半からは、それぞれのソロも披露。各々個性の活きたダンスで場内を魅了していく。
その後、1-Girlsがステージに残り、ダブステップサウンドに乗せて「I only have eyes for you」が情熱的にライヴを走り出させると、続く「Happy Days」ではハッピーな時間が場内に広がっていき、歌同様の幸せな時間が共有されていく。また、“みんなが笑顔でいられますように”との想いを込められて歌われた「Look up at the sky」では、同曲通り会場の至いたるところで笑顔の花が次々に咲いていくのを観た。
初MCでは“完売するのが信じられなかった”と各メンバーが嬉しそうに語り、CHIKAが“今日は最後まで楽しんでいきましょう”と会場との盛り上げのアライアンスを育んでいき、会場のレスポンスとともに入った「Let's Party」では会場内の一体感も手伝って、歌同様に《1人じゃない感》を実感することができた。
中盤に向かうダンスパートではStefaにバトンが渡された。まずはテクノサウンドに乗せ男性ダンサー陣がキレのいいダンスを。そのままEISU、SEANのふたりのヴォーカルも加わって「運命の人よ」へ。切なさとともにライヴが再び転がり始める。Stefaに限って言うと、やはり今秋に新ヴォーカルにSEANが加入し、より明るくなったというか、グループ全体が変化した印象を受けた。特に力強い部分をSEANが担い、がゆえにユニゾンになった時の力強さも生まれ、さらにコントラストとしてEISUの歌声のやわらかい部分を映えさせていた。それは特に次曲の「この瞬間」に表れていた。どんな苦しさがあっても乗り越えてやるとの秘めた決意と、その向こうの勝利が待っていることを改めて想い起してくれるかの同曲が、これまで以上の確信性を持って響いたのも、この体制に変わったことが大きいと感じた。
“YU-GAへの掛け声に嫉妬した”とはリーダーで先日誕生日を迎えたばかりのTOMOYA。“5人になってまだ慣れず戸惑いもあるけど、頑張っていく”とEISUが続け、結成して初めて披露した思い入れの深い「Love is overs」へ。この曲のポイントはハーモニーやユニゾンもだが、追いかけるコーラス等のツインヴォーカルならではのハーモニーのバリエーションだろう。届かない愛が場内にあふれていく。
中盤はStefaのヴォーカル陣のみでバラードコーナーが。ここからは持ち前の切なさが映えた曲たちが次々と会場に染み渡っていく。自身にとっての“憧れ”を“あの場所”に例えて歌った「あの光る場所へ」では切なさの中に秘めた信念を感じさせてくれ、大切な人を願い歌った「願い」、さらに「想い出の365日」では同曲のポイントでもある転調部分にて惹き込みつつも、見事なファルセットも交えたヴォーカルにて贈られていった。
その後、クリスマス衣装に着替えた1-Girlsとダンサーたちも合流。この日、集まってくれたお客さんに抽選でクリスマスプレゼントが贈られ、そのまま1-Girlsとダンサーたちにて、この時期ぴったりの「笑顔のハッピークリスマス」で会場中を笑顔に。また、この日への感謝も含めて伝えられた「Anniversary」では、ありがとうの感謝の気持ちが場内にあふれていった。
ここでバトンが再びStefaに。新メンバーSEANが自己紹介をし、その特技でもあるボイパを披露。その口から生み出される多彩なヒューマンビートボックスの上、ダンサーが各々自身のダンスを融合させ、この日ならではのスペシャル感を与えてくれる。
そして、ラストスパートに向かう景気付けの意味合いも兼ね、ダンサーたちによるダンスタイムが。各人による躍動的でトリッキーなダンスが場内を魅了していく。バトンが再びStefaに渡ると、会場にワイパーを起こした「僕の夏と君の夏にありがとう」が季節をグッと夏へと引き戻し、自身最速のナンバー「愛してる...君を」では同曲をダンサーたちがどう乗りこなすかを楽しみに臨むも、TOMOYA、TAKATO、YU-GAの3人は躍動感と力強さをまるで楽曲を可視化させるが如くのダンスを披露。SEANのロングトーンのヴォーカリゼーションも印象的であった。
ラストのブロックは1-Girlsにマイクが渡り、諦めずにこれからも続けていく決意を表した「君だけ」を歌唱。“この曲を聴いてみなさんが笑顔になってほしい”との願いを込めて歌われた新曲「Smile」の際には、サビのキャッチーなフレーズも特徴的な同曲につられて、気付けば会場中に笑みの繚乱が生まれていた。そして、ラストは「どんなときも」で“これからも一緒に歩いていこう”と歌われ、会場中のワイパーとともに幸せな気持ちのままライヴの幕を下ろした。
ちなみに1 Believe FNCの“FNC”は、“F=Feel、N=Never Give Up、C=Challenge”の意味を持つという。そこにはメンバー全員が夢や目標に向かい一丸となって前向きに挑戦し、いつかそれらを叶える想いが込められている感がある。この日、彼・彼女たちのその夢や目標がまた一歩近付いたように私には映った。
撮影:関山一也/取材:池田スカオ和宏