朽ちるまで“ヘヴィメタル”という自身のアイデンティティーにこだわり、あえてその看板を標榜し、それを背負う覚悟と決意、忠誠とアライアンスが改めて固く契られた一夜であったーー。
3年振りの新作『Hide and seek』とともに回る東名阪ツアーが池袋手刀でワンマンにて幕を開けた。5カ月振りのライヴにして、1年振りのワンマンでもあったこの日。上述の新作全曲を中心に人気曲&久々の曲が織り交ぜられ放たれた。
前半は新作『Hide and seek』から頭の3曲を連射。スピードメタルに乗せ、“本能を解き放ち覚めよ”と「Hide and seek」にて梅原“ROB”一浩(Vo)が煽れば、hibiki(Ba/Support)のスラップも交わり、ふたりのギタリスト、HIRO(Support)のザクザクとしたリフと梶谷禎のソロも炸裂した「Play with the evil」、佐藤潤一(Dr)のフィルと三連のバスドラから入った「Lurking in the darkness」ではアンガーで激情系の哀しみを湛えた音楽性のもと、シンセの同期と韓国のメタルコアバンドMESSGRAMのヴォーカル陣によるプリセットされた深い歌声とがマッチし、新しい側面を味合わせてくれた。以降は人気曲群が放たれる。中でもライヴでは久々のダンサブルな「Liar」がツインギターのユニゾンも映えさせ、「Via Dolorosa」ではラストに向けてのシフトアップが場内をぐいぐいと惹き込んだ。
佐藤のドラムソロを交えた後半も新作の曲たちが耳を惹いた。疾走感のあるモーターサイクルメタルな「Killer in the home」、ミッドでエヴィルな「Human system」ではhibikiのスライドベースも活かされ、本編ラストのパワーメタルな「Dictator ship」ではROBもロングな渾身のシャウトをキメる。
アンコールは自身の出自が誇示された。スラッシーな「I'll take you to the top」では会場もヘッドバンキングで呼応。ラストの東京ワンマンでしか演らないドゥームでサタニックな「Be Carry In Gambling」では、ROBもハイとローを歌い分け、その存在感と共に誇らしげに高々とメロイックサインが掲げられた。
ライヴ中のMCにて“生きている限り俺はヘヴィメタルを裏切らない! 新曲も作ってる。やる以上は進み続け、ここからはセンターで君臨してみせる!!”と力強く誓ったROB。今後も彼らは疾走し続ける。ヘヴィメタルという脈々と受け継がれ独特の進化を遂げてきたこの音楽性に誇りを持ち、それを背負って。
撮影:shusei/取材:池田スカオ和宏
MEPHISTOPHELES
メフィストフェレス:1984年結成。80年代ジャパニーズメタルの最後の砦と言われ、多数のメディア、ユーザーから注目を浴びたが87年に解散。01年に突如として復活を遂げ、初のアルバム『METAL ON METAL』でメジャーデビュー。その後、07年に再始動ライヴで一時復活し、15年にアルバム『devils on metal revitalized』をリリース。そして、18年に約3年振りとなるアルバム『Hide and seek』を発表。