今もっともブレイクが期待されている男女混成4人組、緑黄色社会が全国6カ所を回るツアーを開催。今年3月にリリースしたセルフタイトルの1stフルアルバムの10曲を中心に演奏した2時間弱のステージは、現在のバンドの勢いを印象づけるものとなったが、アンコールではこの秋にミニアルバムをリリースすることと、東名阪で対バンツアーを開催することも発表。前に進み続けるバンドの勢いをダメ押しでアピールした。
超満員の観客が力強い手拍子で歓迎する中、スタートダッシュをキメるように演奏した1曲目の「真夜中ドライブ」で、いきなり長屋晴子(Vo&Gu)の伸びやかな歌声に気持ちを掴まれた。観客の胸を射抜くように歌う長屋をはじめ、全曲が“渾身の!”という表現に相応しいバンドの演奏は、平均年齢21.5歳の若いバンドならでは。それがトゥーマッチにならないのは、彼らの楽曲がエモーショナルなロックだけにとどまらない幅広い魅力を持っているからだ。
この日、彼らは1stフルアルバムの10曲を含む新旧の全17曲を披露。中盤、ピアノバラードにアレンジした「regret」と、挫折が前を向くきっかけになるという想いを込めた「Re」の2曲をじっくりと聴かせると、「君が望む世界」からアンセミックな曲を並べた後半戦はコール&レスポンスを交え、観客を巻き込みながらぐいぐいと盛り上げていった。
本編ラストは「大人ごっこ」。アーバンでメランコリックな曲を、なぜと思っていたら、白熱する演奏がラストスパートをかけるようにテンポアップ。選曲の真意はさておき、そこにはライヴバンドならではの矜持が窺えた。癖のあるフレーズを涼しい顔でキメる小林壱誓(Gu&Cho)、見た目同様にプレイもやんちゃな穴見真吾(Ba&Cho)、ピアノとシンセを使い分け、キャッチーなフレーズを加えるpeppe(Key&Cho)のプレイも含め、バンドの演奏からはさらなる可能性が感じられた。この日、音源化前にもかかわらず演奏した新曲2曲は、バンドが前のめり気味に進み続けていることも印象付けたのだった。
撮影:安藤みゆ/取材:山口智男
緑黄色社会
リョクオウショクシャカイ:写真左より、peppe(Key&Cho)、小林壱誓(Gu&Cho)、長屋晴子(Vo&Gu)、穴見真吾(Ba&Cho)。2012年活動開始。長屋晴子の力強く透明で時に愛らしい独特な歌声、キーボードのpeppeの型にはまらないフレーズ、ギターの小林壱誓の柔らかいコーラス、バンドを支える穴見真吾のベースライン。同級生3人と幼馴染で組まれ、お互いを知り尽くした4人がそれぞれの個性を出し合い、さまざまなカラーバリエーションを持った楽曲を表現し続けている。