『ap bank fes’11 Fund for Japan』が、7月16、17、18日の3日間、掛川市・つま恋で行なわれた。今年は3月に起こった東日本大震災を受けて、フェスの全収益を復興支援へ充当し、また、被災地のひとつである仙台市でライヴの模様をパブリックビューイングで中継するなど、7回目となった今回はこれまでのテーマでもあった“環境問題”“エコ意識の共振・共鳴”に加え、“Fund for Japan”という新たな取り組みが加わった。また、本フェスは出演者の顔触れが毎年話題となるが、今回は“ひとつになろう”という思いのもと、小田和正、ASKA、一青 窈、スキマスイッチなど、今まで出演したことのあるアーティストが数多く出演。miwa、MINMI、JUN SKY WALKER(S)など初参加組を含め、3日間で24組が参加した。3.11以降、多くのミュージシャンたちは、自分たちは何ができるのだろう、音楽の役割とは何だろうと、自問自答を繰り返してきたことだろう。あの日以来、同じ歌なのに意味合いが変わった歌がある。あの日以降に作った新曲がある。歌いたかったカバー曲がある。この場所から伝えたい思いを出演者たちは音楽と言葉で届けてくれた。桜井和寿は“今年の『ap bank fes』は、いつもとは違って復興支援のためのイベントです”と言い、Mr.Childrenとしてどうしてもこの曲をやりたいと真っ先に思ったという「もっと」を選んだ。MINMIは「レクイエム」に盛り込んだ童謡「ふるさと」をオーディエンスとともに歌った。一青 窈は「時代」(中島みゆき)、ASKAは「廃墟の鳩」(ザ・タイガース)、加藤登紀子は「Power to the people」(ジョン・レノン)をカバーした。また、今回は印象に深く残るMCも多かった。被災地にボランティアに行ったというスガ シカオは“ひとりでできることは限られていて歯痒かったけど、ここに呼んでもらえたことも復興支援のひとつ。呼んでもらえて良かった”と言った。ヒップホップ界の重鎮、RHYMESTERの宇多丸は“震災とか原発でパーティーなんかしてる場合じゃないと一瞬躊躇してしまうけど、逆だろう! 厳しい現実があるからこそ、それに対抗するために音楽やパーティーはあると思うんですよ!”と言い放った。小さな声だったけれど、Coccoのたくさんの思いが詰まっていた“歌う場所をありがとです”。“僕らには音楽しかできないけれど、音楽で少しでも日本が元気になってくれたら”という言葉に込めた藤巻亮太(レミオロメン)の強い願い。小田和正は自身の全国ツアーで訪れる予定だった仙台の人たちに“必ず行きますから、待っていてください”と約束した。私たちの明日へとつながる歌が、7回目の『ap bank fes』には、たくさんあった。最終日のつま恋の夜空には大きな花火が何発も上がった。その花火には、来年もこの場所でまた逢いましょうというみんなの願いが込められていたんだと思う。
出演:miwa、MINMI、秦 基博、一青 窈、スガ シカオ、真心ブラザーズ、レミオロメン、ナオト・インティライミ、Salyu、スキマスイッチ、BONNIE PINK、トータス松本、ASKA、JUN SKY WALKER(S)、My Little Lover、RHYMESTER、Chara、Cocco、KAN、加藤登紀子、小田和正、the pillows、Mr.Children、Bank Band(出演順)